夕涼みを抜け出して
帰り道 巻き戻した
そろそろ日も傾いて
寄り添っては伸びる 歩道を伝う影
僕らはそこを歩いた
夏茜が横切った
過ぎゆく夕凪に雲は浮かんだ
何気ない風景の片隅で僕は
揺れるその影を眺めていたんだ
「夏めく空を憶えていて」
「夏めく道を憶えていて」
行く当てもないくらいの儚い想いは
ただそこにあって
夏めく全て、憶えていたい
いつでも思い出せるように
町を彷徨うたびに近づくこの夏の匂いが
やがて忘れてしまう儚いものだったら
分かっていた
夜は明けて灯りは消されること
口の開いたラムネ
もう元通りに戻らないってことも
遠花火が瞬いた
音だけが耳に咲いた
この目にはずっと枯れない花を映した
果てしない後悔はあの雲の向こうで
今も揺れながら灯っているんだ
「夏めく空を憶えていて」
「夏めく道を憶えていて」
行く当てもないくらいの儚い想いが
まだそこにあって
夏めく全て、憶えていた
今でも思い出すんだよ
夜を彷徨うたびに近づくあの夏の匂いは
やがて忘れるくらい儚いと思っていた
いつしか二人は大人になって
互いの歩幅がまた重なって
その時、なんて言葉にできたら
僕はあの夏を笑えるだろうか
七月某日 午後九時の
海へと吹く風に打たれ
僕らは歩き出す
取り留めのない終わりだって
何処かでまた会うときに 笑っていたいから
「じゃあいつか」って いつまでも待って
それきりになっても
またあの道を歩いていく
それが僕だけであっても
町に近づくたびに漂うあの夏の匂いだ
何が起きたってもう醒めないあの夏で二人は
空に溺れるくらいずっと息をしている
僕らは幕切れが待っている
一つ一つ また夏を終えていく
それでもただ花が咲いている
あの夏のことをまだ想っていたんだ
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