【第十四話:少女の過去】

 リンに、彼氏ができた。

 そう報告してきたのは、昨日のこと。
嬉しそうに、あたしでは作ってあげられない笑顔で。

 「ぐみ、あのね……か、彼氏…できた……。」
と、頬を染めて。

 相手は、ミヤ。
学校では、ちょっとお茶らけで通ってるやつだ。

 私は気に入らないけど、お父さんじゃあるまいし、「やめとけ」とは言えない。

 「……ミヤ…か…。」

 あまり、良いうわさは聞かない。

 明るいのはいいところだが、その明るさを誰かれ構わず振りまく。

 独り身だった時はいいだろうが、彼女ができたら、それはやめないと。

 「…そのくらいは、分かってるよね。」

 とにかく、彼氏ができて嬉しそうなのが、あたしは一番うれしかった。

 -5日後-
 
 彼氏ができてからも、リンは私と仲良くしてくれたが、明らかに一緒に居る時間は少なくなった。

 それでも、リンがうれしそうだから、それでよかった。

 
 でも、だんだん、リンは笑わなくなっていった。

 何かあったのかと聞いても、首を横に振るだけだ。

 ミヤと、何かあったのはすぐわかったけど、あたしは入っちゃいけない気がした。

 -1ヶ月後-
 ある日、こんなうわさを聞いた。

 「ミヤは、浮気してる。」

 -2ヶ月後-

 リンとミヤは、別れた。

 ふったのは、ミヤからだという。

 ミヤは、もうほかの女に移っていた。

 リンは、あたしに内緒で泣いていた。

 見つけたのは偶然だったけど。

 「リン…。」

 「ぐみ……、私、降られちゃったやあ…。」

 くしゃりと笑った顔は、やっぱり泣いていた。

 「どうしたら…、良いんだろう……?」

 虚ろな目で言う。

 そんな顔しないで。
壊れてしまいそうだから。

 リンが、消えちゃいそうだから、死んじゃいそうだから。

 「もう、疲れたよ…、ぐみ……。もう、恋なんて……もう、何もかも……」

 ――――やだよ

 そう呟いたのが確かに聞こえた。

 
 あたしが、まもるよ。

 リン。

 もろくて、はかなくて、あぶなくて、きえそうで。
そんな風になった…、そんな風にされてしまった、リンを。

 あたしが、守るから。





 だから、そんなこと言わないで……。





 


 

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憂鬱少女と陰日向

リンちゃんの過去です。

私の経験から。

閲覧数:113

投稿日:2012/07/12 16:48:13

文字数:979文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • しるる

    しるる

    ご意見・ご感想

    おおお!!過去だった!!
    まさかの急展開かとおもった~(・A・;)

    リンちゃん、憂鬱になる前は、頬を赤らめてもじもじするくらいの純粋な子だったわけだ!
    で、これを機に憂鬱モードに入り…レンの登場で前に戻ろうとしてた時の前回、前々回だったわけだな!


    グミは元来、面倒見がよくて、責任感がある子なのねw

    2012/08/25 21:00:02

    • イズミ草

      イズミ草

      過去でしたww
      まあ、この急展開でもよかったんですが、過去ですねww

      超純粋でしたよw
      だんだん戻ってるんですね、前のリンに。


      責任感はすごいと思いますねw

      2012/08/27 10:18:11

  • つーにゃん

    つーにゃん

    ご意見・ご感想

    椿姫ですっ!
    やっぱり、グミはリンのこと好きなんじゃ…
    とか思ってしまう私ってwwwww

    リンの過去にそんなことが…

    2012/07/13 13:03:00

    • イズミ草

      イズミ草

      うーん…どうだろうか?
      そこ言っちゃうと完全なるネタバレなので、抑えておきますww

      リンちゃん辛かったろう…。

      2012/07/14 08:10:36

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