市場で、シーカーは僕に本と日記帳を買ってくれた。
「シーカー、僕は文字が読めないが」
そう言うと彼は、家に帰ったら僕に文字の読み書きを教えると言った。
夕焼けが、石畳に影を伸ばす帰り道。その橙色が暖かくて綺麗だと思えるのは、人間になった利点だと思う。
家の鍵を開け、ドアを開いたシーカーが突如硬直した。なんだか今日はシーカーがよく固まる日だななんて思いながら、僕はその横から家の中を覗き込む・・・シーカーが硬直した理由がよく分かった。僕自身も硬直した。

「やっほー、『シーカー』君。相変わらず嬉しい反応してくれるねぇ。あ、そっちの子は誰? 君が他の誰かと一緒にいるなんて、珍しい事もあるんだね」

「・・・カイト先輩」
はぁっ、とシーカーは少しわざとらしいため息をついた。どうやらこの不法侵入者はカイトという名前で、シーカーとは知り合いらしい。
「シーカー、これ、誰だ?」
硬直が解けたシーカーは足音荒く家に入ると、何故か安楽椅子を揺らしていた黒マントにフードでろくに顔のわからない男の首根っこを掴んだ。
「サンディ、これはカイトと言って・・・まあ、私の本業の方の先輩だ」
謎すぎる、シーカーの『本業』。
もし黒いマントその『本業』の共通点なら、まるで死神や殺し屋だ。
「せっかく先輩が忙しい仕事の合間を縫って来てあげたのに」
「誰も来て欲しいなんて言ってません。いつものようにオルレアンに来てもらった方がずっと楽です」
シーカーが敬語で話していた。
なんだか、その方が違和感は少ない。
不意に、カイトが厳しい顔になった。
「『本業』の方に関して、副業で医師をしている俺から話がある―――奥、空いてる?」
シーカーも表情を引き締めた。僕の頭を優しく撫で、「留守番してて」と言うとカイトを連れて奥に行った。
僕だけがそこに残された。

というか。
留守番と言ったって、何をすればいいんだろう?

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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【白黒P】捜し屋と僕の三週間・6

真実にカスるものの、結局気付かないサンディw
そして、カイトが再登場!
相変わらずの不法侵入者ですw

閲覧数:191

投稿日:2011/06/29 20:06:34

文字数:797文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    1~5含めて読ませてもらいましたよー
    話の展開自体面白いし、これから先も気になるところ サンディのかすりっぷりも中々良い味でてますねw
    執筆続きファイトです!

    2011/06/30 00:44:57

    • 零奈@受験生につき更新低下・・・

      零奈@受験生につき更新低下・・・

      読んでいただきありがとうございます!

      この話は「鎌を持てない死神の話」の続編として作っています。
      サンディにかすらせたのは・・・書いているうちにやっぱり書き手の私がシーカーの正体を知っているためどうしても危うくなったので、お気に入りの小説に出てきた「勘がよくて真実に肉薄するものの、無意識レベルな勘なので気付かないキャラ(それは刑事だったですが)」にしました。
      「鎌を持てない死神の話」も読んでくれると嬉しいです。

      ではではw

      2011/06/30 18:03:35

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