僕はようやく声を取り戻した。
まだぎこちない話し方だが、少しずつ僕は変わっていった。
僕を拾ってくれたマスター。
そして…暖かく声をかけ続けてくれたMEIKO。
なんとかして恩返しがしたかった。
「KAITO~?今、手伝える?」
そんな事を考えていたらMEIKOが部屋に入ってきた。
僕は頷いてMEIKOと一緒に部屋を出た。
「今日はミクが帰ってくるからご馳走にしなきゃね!」
MEIKOはとても張り切っていた。
その隣で僕は"ミク"と言う子がどんな子か想像してた。
「ミク…」
「ん?気になる?」
MEIKOは微笑みながら僕に聞いてきた。
僕はそれに小さく頷いて答えた。
「んー、まぁ会ったらわかるわよ。良い子だからすぐ馴染めると思うし。」
僕らはそんな会話をしながら…と言っても、僕は相槌を打つ程度だが…
夕食の準備をしていた。
1時間後
「姉さん、ただいま~!」
玄関の方から元気な声が聞こえてきた。
「あら?帰ってきたみたいね。」
MEIKOはそう言いながら玄関へ向かった。
僕はどうしたら良いのかわからず、その場で緊張しながら待っていた。
程なくして、MEIKOが戻ってきた。
その後ろにマスターとツインテールの女の子がいた。
「ほら、ミク、挨拶しなさい?」
ミクはMEIKOに促されて1歩前に出てきた。
「あ…う、うん。…えっと…初音ミクです。よろしくお願いします。」
「こ、こちらこそ…よろしく…お願いします…」
僕とミクは顔もまともに合わせられずに、頭を下げた。
それを見たマスターは、安心したような声で、
「KAITOは声が出るようになったのか…」
そう言った。
「驚いた?良い声してるでしょ?」
MEIKOは笑顔でマスターに振り返った。
ミクは僕と二人を不思議そうに交互に見比べた。
「えっと…声が出るようになったって?」
ミクは当然のようにその疑問をぶつけた。
そしてマスターはミクに手短に僕の説明をした。
「そっか…辛かったんだね…。でも、もう大丈夫だよ!私達がいるから!」
ミクは笑顔でそう言った。
それが僕のココロに刺激を与えた。
「そうね…もうKAITOは独りじゃないものね」
そうMEIKOは付け加えた。
僕はもう独りじゃない…
ここは僕を受け入れてくれる。
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