「グミちゃん!!」
「何?」
「いやぁさぁ、明日夏祭りじゃん?」
「で?」
「いや、で?じゃなくて。一緒に行かない?」
結構かるーく言ったけど、俺の中では超大事なこと。
一か八かでやっと誘おうと決心して話しかけたんだから。
おっと、自己紹介してなかったな。
俺は始音カイト。
グミちゃんが大好きです!!
青い髪がトレードマークだよ!
で、お誘の返事は…
「嫌。」
ですよね…!!
でも少しくらい考えてくれても…
「何で!!」
「嫌だから。」
「俺のこと、嫌いなのか?」
「だったら?」
肯定した!
ひどい…!
さすがにキツイよ…
「じ、じゃあさ!ミクとか…ほら、レンも誘うから、な!?」
「……」
「みんなと一緒ならいいよな!!」
「……行く。」
「じゃあ、明日駅前で待ち合わせな!」
「分かった。」
グミちゃんは言葉数が少ない。
ほとんどの文が1文節で終わってしまう。
「明日さ、ミク夏祭り行かね?」
とりあえず誘ってみるとしよう!!
約束だし。
「えー?だって明日クオと約束しちゃったし。無理かな~」
ミクは無理、と。
「レン、夏祭り行くか?」
「お前と?」
「おう。」
「気持ち悪。男同士で行くとか無理だわ。」
「そういってくれると信じてた。じゃ、グミちゃんと2人で行ってくる!」
「はぁ!?グミと行くとか許さn」
「じゃあな!!」
これで2人きりだ!!
よっしゃ!
「絶対見つけてやる…!!」
「何で?」
「え、いや、約束じゃん。それより行こうぜ!!」
「2人は?」
「行けないらしい。俺らで楽しもうぜ!」
「……」
それにしてもグミちゃんの浴衣姿、可愛いなぁ。
少し控えめの青の浴衣がグミちゃんの緑の髪によく似合ってる。
相変わらず笑わないけど、今日はワクワクしてる印象を受けるなぁ。
「何か?」
「いや、可愛いなって。」
「お世辞は良いです。」
初めて2文節で返してくれた。
「お世辞なんかじゃないよ、スゴイ似合ってる。」
言ったあとから恥ずかしさが込み上げる。
「ありがとう。」
グミちゃんが初めて笑った。
まるで花が咲いたようだ。
それから俺たちは金魚すくいやらわたあめやらりんごあめなどを見て回った。
金魚すくいに一生懸命になっている少年がいたっけな。
グミちゃんは終始無表情だった。
さっきの笑顔は何だったんだ。
「あ。」
「どうしたの、グミちゃん。」
「何でもない。」
見ていたのは射的。
何か欲しいものでもあるのかな?
「グミちゃん、何か欲しいものある?」
「別に。」
「いいからいいから。俺がただたんにやりたいだけだから。俺景品要らないし、グミちゃんにあげようと思ってさ。」
これは「俺取ってやるから選べ」って言った方がよかったのかな…
「…くま。」
「熊?あれね、オッケー。」
実は射的は得意。
唯一夏祭りで出来るのは射的だけだ。
あとの金魚すくいとかかたぬきとかくじ引きとか出来ない。
だからこういうので見せないと!!
「グミちゃん、取れたよ。」
熊の人形はあえなく俺に撃ち落とされた。
「彼女さんかい?」
射的のおじさんが聞いてきた。
「残念ながら、違いますよ。俺は好きなんですけどね。」
いちいち赤くなる顔。
「片想いか!!青いなぁ。」
「じゃ、おじさん、貰いますよ。」
「始音くん。」
初めて名前で呼んでもらえた。
今日は初めてが多いなぁ。
すっごい嬉しい。
「ありがとう。」
また笑ってくれた。
これは、俺の大きな進歩だよね。
いつか、グミちゃんと一緒に…
なんて、夢見すぎだよね。
「グミ、夏祭り来てくれてありがとな。」
あぁ、また恥ずかしいこと言っちゃった。
呼び捨ても恥ずかしい…
本心だけど。
「……大袈裟。」
確かに大袈裟かもしれないけどね。
グミ、ありがとう。
◆おまけ◆
「グミどこだ!?」
「レン、うるさいよ。リンがいるじゃん。」
「じゃあリンも探せよ。」
「そっとしときなさいな、レンよ。」
「グミーっ!!」
「聞いてないな…。」
fin.
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魔熊
ご意見・ご感想
クーデレなグミちゃん、可愛くて好きだ!!
熊が欲しい、ってアピールするなんて…可愛すぎだろ!!
レンは……リンがいるから大丈夫!!
報われない、グミちゃんへの思いww
前回の話を何気に登場させるとか、すごいんだけど!!
文才に嫉妬する☆
2011/07/23 23:55:44