JAM
投稿日:2009/08/11 16:39:13 | 文字数:1,703文字 | 閲覧数:63 | カテゴリ:小説
何が書きたかったんだろパート2?
とりあえず文章習作?
KAITOがお前誰状態ですが気にしません(オイ)
最初ボーカロイドの心は云々の話だったんですが……あれ?
まぁいいです←「
――そういえば、木イチゴやら、ブルーベリーやら。あれらに砂糖と水飴を混ぜてトロトロになるまで煮溶かした食べ物。あれは何と言う食べ物だったかな?
それまで目を落としていた分厚い古書をパタンと閉じる。
そうして静かに問えば、君は酷く驚いたように、蒼い瞳を見開いた。
どこまでも暖かい、温室を思わせる空間。頭上に張り巡らされた無骨な鉄骨の間には、透明なガラスが天井一面にはめ込まれている。そこからはどこまでも深く澄み渡った青空が覗いていた。時折楕円形をした飛行船や、美しい彩色の施された鳥たちが気まぐれに頭上を通り過ぎて行った。
そして僕の横には『温室』らしく美しいエメラルドグリーンの葉を茂らせた植物たちの姿。
その埋もれてしまいそうな緑の中に、ひとつだけそぐわない色がある。
青い髪に、蒼い瞳。その纏う衣さえ青を基調としたその人物は静かに僕の傍へと控えていた。遠目から見ても分かるほどの端整な顔立ち。それはその何も映さない表情と相まって彼の存在を造りものめいて見せていた。
「……マスター。それは、本気で言ってるんですか?」
それまでの無表情はどこへやら。
不思議そうな色を瞳に浮かべ、KAITOは小さく首を傾げた。
見た目は立派な青年の姿をしている癖に、時折見せる行動が酷く幼い。
まるで大人の皮を被った子供のようだ。
そういえば、「見た目は子供、頭脳は大人」なんてキャッチフレーズで有名な作品があったなぁ。
なんて、ぼんやりと考えていると。
「マスター」
焦れたような彼の声。
そのいかにも「怒っている」と分かる表情に、思わず苦笑を零した。
――ああ、ごめんごめん。ちょっと考え事をしていてね。
ご機嫌取りに彼の髪でも梳けば、嬉し気に頬を緩ませる。
どうやら僕の目論見は成功したようだ。一拍置いて、僕は話し始めた。
――ええと、何の話しをしていたんだったか……ああ、そうだ名前の話しだ。
で、あれはなんという食べ物なんだい?
「多分……ジャム、じゃないですか? 木の実を砂糖と一緒に煮詰めるんですよね。だったらそうですよ」
――ああ、そうだ。確かにそんな名前だった。
「しっかりして下さいよ、マスター」
そう、彼は苦笑を零した。頭を片手で抱え「まだ若いんですから」と、そうひとりごこちる。なんだいその言い草は。先ほどとは打って変って大人びた仕草を見せ始める彼に、思わず唇を尖らせた。こんなことでは、僕も彼に「子供っぽい」だなんて言えないな、なんて思いながら。
「……でも、何でいきなりジャムの話しなんて始めたんですか?」
今までそんな話しなんてしていませんでしたよね? KAITOがまた不思議そうに首を傾げた。確かに、それまで僕は本を読んでいて、そして彼は歌っていた。
甘い甘い、蕩ける蜜のような旋律で。
その旋律を思い出しながらほうと息を吐く。
耳に未だあの甘さが残っているようだ。
――だから、ジャムなんか思い出しちゃったんだよねぇ。
「……全然話しが掴めませんが……」
――君の歌声は美しい、そういう意味だよ。
その姿と同様に、君の創る世界は今や薄汚れてしまった僕には美しすぎて、眩し過ぎて。
まだ僕が幼く、この世は光に溢れているのだと信じて疑わなかった頃に母が作ってくれた、あの王蜜色のマーマレードのよう。
きっとそれが、僕にとって幸せの象徴なのだろう。
そんな象徴を思い出させる彼の歌声を、美しいと言わずしてなんと言うのだろうか。
――ねぇKAITO、また歌ってくれるかい?
今度は何を歌ってもらおうか。今流行りのポップスなんかじゃなくていい。むしろ昔流行った曲なんかがいいかもしれない。セピア色を思わせるそれらは、今の気分にぴったりだろうから。
「マスター。貴方の仰せのままに」
やけに仰々しいポーズで礼をして、彼はまた歌い始めた。僕が子供の頃に聴き馴染んだ、あの哀切歌の旋律
に乗せて。
それはあまく、せつなく。真夏の世の夢にも似た響きで。
僕はその歌に体を浸しながら、ゆっくりと瞳を閉じ、静かに眠りについたのだった。
End
作品へのコメント2
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