＃７



ミクとレンが、みんなの刀のことを放していると、突然、インカムに通信が入った


「みんな！バグだ！こっちに向かっている！あいつら、突然出現しやがった！」


声の主はカイト


「数は？」


インカムを通してメイコの声が聞こえてくる

同時に複数に通信がいくようだ


「わからない……けど、ここ最近なかった、かなりの数だ。みんな、気をつけてくれ！」


カイトの余裕のない声にミクは息をのんだ


「大丈夫か？」


隣にいたレンが肩をぽんと叩く


「は、はい……でも、ちょっと怖いです……」

「はは……当然だ。俺だって……」


真剣な目をしているレン


「とにかく、初戦でいきなりは無理だ！ミクさんは、ルカさんと一緒にここの防衛を頼むよ。俺らは前線に出る！」


ミクはただ、黙って頷くしかなかった




















施設の外……遠くの地平線に黒い塊がうごめいている


「じゃぁ、ここのことは頼んだわね」


メイコがミクとルカを見てそういった


「はい！」


ルカは大きく返事をした


「……ミク！しっかりしなさい！気持ちで負けちゃだめよ！」


メイコの言葉にミクが頷くと、二コリとわらってメイコ、リン、レンはうごめくバグの大群に走っていった




「大丈夫でしょうか……」

「メイコさんたちなら大丈夫よ。それよりも、私たちはここを死守しましょう！いくらメイコさんたちでも、あの数、全ては防げないだろうから」


ルカさんは薙刀を振りまわし、構える


「いざとなったら、中にカイトさんもいるんだから、大丈夫……大丈夫……大丈夫よ、ルカ、しっかりしなきゃ！」


そういって自分に言い聞かせるルカだった











「やぁぁぁぁぁ！！」


ミクの刀が黒い塊を切り裂く


「ミクちゃん、伏せて！」


ルカさんの言葉に反応し、素早く伏せるミク

すると、その上を薙刀がはらわれる

そして、ミクの後ろにいたバグが真っ二つ


「あ、ありがとうございます」

「私も戦闘はあまり得意じゃないから……気をつけて」


ルカとミクは初戦にしては、いいコンビネーションで敵を追い払う

前線のメイコたちが善戦しているようで、ここにくる敵の数はかなり少ない


「カイトさん、状況は！」


ルカが通信でカイトに連絡する


「あぁ、みんなよくやってくれているよ。でも、いっこうに敵の数が減らないんだ」


カイトは感知能力で、戦場の状況を感知できる、いってみれば動く指令本部のようなもの


「数が減らないって！レンさんたちがあんなに倒してるのに！」


遠くからでも感じる三人の尋常じゃない気迫


「おそらく、どこかに親玉がいるんだ！それを倒さないと！」

「そんな……感知できないんですか！」


ルカが大きく声を荒げる


「やってるけど……数が多すぎて……」

「バグ達も進化し続けているってことね……」


ルカがとても悔しそうな表情をしている


「とにかく！みんな、気をつけて！見つけたら、報告する！」


そういって、カイトとの通信が終わった


「親玉って……バグにも、そんなのがいるんですか！」

「そうね……バグは元々誰かがつくったと言われているわ。絶対に裏に誰かいるわよ！」


ミクにとって初耳な情報







「んー？誰かお探しかい？」


そのとき、ミクたちの後ろから、聞いた事のない声がした

ミクとルカは後ろを振り返り、ぴょんと後ろに飛んで距離をとった

そこにいたのは……大きな鎌をもったポニーテールの女の子


「え……あ、あなたは……ネルちゃん！？ど、どうして……」


ルカは驚きを隠せない様子で目を大きく見開いていた