「はじめましてっ!」





インストールされて最初に聞いた声は、水の様に澄んだ 少女の声だった。






私はゆっくりと目を開きそしてゆっくりと周りを見回した。すると再び「こんにちは!」と少女の声が耳に入った。 ・・・耳?
ハッとして真正面を見ると「こっちだよ」と小さくクスクス笑う声が下の方からする。 まさか、と思いつつ私は顔を下げた。



そこには黒髪に水の様な澄んだ蒼色の瞳を持つ9,10歳程の少女がいた。

「はじめまして、メイコさん。貴女のマスターになる“蒼”です。今日からよろしくお願いします」
そう言って少女―いや蒼は私にペコリと頭を下げた。伸ばしてある黒髪がサラリと揺れた。
「はじめまして、マスター。VOCALOIDのMEIKOです。これからお願いします」
私も言ってペコリと頭を下げた。そして下げた顔を上げ蒼をまじまじと見つめた。身長は130cm位だろうか。

・・・こんなに小さい娘が・・・大丈夫なのかしら・・・それに・・・ここ・・・

「はい。パソコンの中です。友達がパソコンに強くて人間の体を電子化させてパソコンの中に入れる様にプログラムしたんです。それで私、ここにいるんですよ」
私の心を読み取ったかの様に蒼は言った。・・・とりあえずこの時点で私は蒼を“只者”じゃない事を悟った。

「・・・ねぇ、メイコさん」
「何ですか?マスター」
私が問うと蒼は「その口調」と言った。

「私はメイコさんよりも年下です。それが設定されたモノだとしても年下な事に変わりはありません。だから私の事も マスター、じゃなくて好きな様に読んで下さい。あ、口調もくだけた感じで良いですよ」
そう言うと蒼はニッコリと笑って私を見た。私は フ、と息をついて「分かったわ、蒼」と言った。
「それじゃあ蒼、貴女も私の事、メイコさん、て呼ぶのは止めにしない?それに口調も。これでお相子でしょ?」
私が言うと蒼は目を瞬かせ、そして今まで見た中で一番明るい笑顔を見せた。

「・・・うんとね、それじゃ めーちゃん、はどうかな?呼び方」
「・・・めーちゃん・・・。うん、それで良いわ。これからよろしくね、蒼」
「こちらこそよろしくね!めーちゃん!」





お互い顔を見合わせて二人して笑うと、私と蒼は握手をした。














それから約6年の月日が流れ、

「皆、お早う」
「お早う御座います、マスター」
「お早う 蒼ちゃん!ねぇねぇ、新しい曲出来た?」
「おいこらリン、開口一番にそれはねぇだろ?あ、お早う御座います、マスター」
「アハハ、レンとリンは朝から元気だね。ね、ルカさん」
「えぇ、そうですねミク姉。お早う御座います、マスター。お仕事の疲れはありませんか?」

今蒼のパソコンには カイト、初音ミク、鏡音リン・レン(CV02、Act2、どちらも)、巡音ルカがいる。因みにこのフォルダにいるリンとレンはCV02の方だ。Actは「なるとは思わないけど喧嘩とかしたらやだから」と言う蒼の意見で別のフォルダにいる。だからActの存在を知っているのは蒼を除けば私だけだ。

「う~んとね、リンの曲はもうすぐ仕上がるから待っててね。あ、ルカさん、疲れなら大丈夫だよ、慣れてるから!」

ニッコリとルカに向かって笑う蒼の顔は9歳の時の女の子の顔ではなく、女性に近い少女の笑顔だった。

「どうしたの、めーちゃん。何時に無く浮かない顔してるね」
頬杖をついて蒼を見ていたらカイトが話しかけてきた。私の次にここに来たから私の表情変化が判るらしい。
「別に・・・。ただ此処に来た時の蒼を思い出してただけよ・・・」
「あ~・・・マスターも小さかったもんなぁ・・・。・・・俺、正直言うと悪いけど、大丈夫かな、何て思っちゃったんだよね」
カイトが言った言葉が私と思った事と一緒だったから思わず私は目を見開いた。
「へ~、あんたもそう思ってたの。・・・実は私もよ。けど、あの子と話してる内に あ、この人の元でなら大丈夫だ、て思った」
「やっぱりめーちゃんもか。俺もだよ。そしてマスターの元で歌う事になってからマスターには何度驚かされた事か。歌う時の音はまずマスターが俺達の声を真似て歌って」
「声の調教も見事よねー。私達旧式タイプですら人間が歌ってる様に思われるのにCVシリーズの調整ともなると人間の域達してるものね」
ハァ、と二人溜息をついて改めて蒼の方を見る。15歳になった蒼は相変わらず笑っている。怒る時は少ない。そして自分が年下(リンとレンよりは年上だけど買った時は12歳だったので)と言う自覚が強い為、あまり偉ぶらない。

「・・・大人になっても蒼はそのままなのかしらね・・・」

独り言のつもりで言ったのにカイトには聞こえていたらしい。「そうじゃないかな?」と私と同じ様に独り言の様に呟いた。

「多分、マスターは変わらないよ。悪い方向には、きっと」
「・・・そうね」

カイトの言葉に私が応えると蒼が「めーちゃん!」と私を呼んだ。

「ねっねっ、新しい曲作ってみたの!タイトルは・・・『紅の月』めーちゃんにピッタリだと思うの。歌ってくれる?」
「えぇ、、もちろん」
私が応えると蒼はニッコリと笑った。始めて会った時のような水の様に澄んだ笑顔。

えぇー、メイコ姉ずるーい。ハイハイ、リンは明日まで待ってよ、ね?ハァ~イ・・・
渋々と引き下がるリンをレンが宥め、蒼はその様子を見た後 パ、と楽譜を出し私に手渡した。

「じゃあ早速音取りしに私の部屋に行こ!」

そして私の手を取り クイ、と引っ張った。私は小さく笑ってから「ハイハイ」と言ってその後に着いて行った。







              この子の所なら大丈夫、そう再確認しながら


ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Hello,my Master

な・・・長い・・・ 
て事で私設定ボカロ、でした。
メイコ姉がマスター(蒼)に始めて会った時のお話です。
他のメンバーのも書こうかな・・・とか思ってましたが面倒臭くなりました(お前な・・・
ここに出てくるボカロとマスターが私の主なキャラです。人物紹介は後々載せようと思います。
では駄文に付き合って下さり有難う御座いました!

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閲覧数:530

投稿日:2010/04/01 19:44:56

文字数:2,384文字

カテゴリ:小説

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  • planetype

    planetype

    ご意見・ご感想

    こんにちは。前作の鎌神その後も含め、今回も楽しく拝見させて頂きました。
    リンの魂は何度も輪廻転生していたんですね。その死の度にレンが看取っていたのかなとか、ミクさんの過去の勇姿(ケルベ瞬殺て(笑)とか、ルカさんの生前とか、想像が広がる楽しい世界観でした。
    何より、ようやくリンレンが一緒に居られるようになって良かった。

    新作は純粋なボカロ達の物語になるようで、楽しみに読ませて頂いていこうと思います。
    天才調律師の少女と、それを取り巻くボカロ達の団欒。
    彼らの悲喜交々の日々の物語を楽しみにしております。
    それでは、頑張って下さい。

    2010/04/03 13:49:31

    • lunar

      lunar

      こんにちは!毎回メッセ有難う御座います!
      そうですか、深朽のケルベロス瞬殺笑えましたかそうですか(←
      やっぱりリンとレンは一緒じゃないと駄目ですよね、結果オーライて事d(ry
      ・・・純粋になるかは分かりませんよ・・・
      蒼は意外と黒い子ですから。えぇ、本当に。
      この次に人物紹介しますのでそれも読んでやって下さい。
      それでは、また。

      2010/04/03 18:55:37

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