＃２２－３「元気に駆け回るみんな」





「ミク様！つきました！」

「え？ここは…公園だよね？」


そこは寮の近所の公園、子供たちが元気よく駆け回っている


「はい！あ、あのベンチに座りましょうか」


そういって、グミはミクを無理やり引っ張ってベンチに座った




「あの…グミさん？どうして公園に？」

「私、子供たちが遊んでいる姿って好きなんですよね！かわいくて！」


そういって、グミが二コリと笑った


「あ！でもでも！リリィみたいな意味じゃないですからね！！」


グミが慌てながら、釈明する



「わかってますよ。グミさんは子供が好きなんですね？」


ミクが笑いながら答えた



「はい！ミク様はどうですか？子供好きですか？」

「うん。もちろん！あ、それより、グミさん…私のことミク様って呼ぶのはやめてくれないかな？」

「え？！……もしかして、私のような下等なものに名前をよばれたくないっていうことですか？！」


グミはショックを隠しきれずにおろおろとしていた



その様子をみていたミクはわらいながら、


「違うよ！ミク様っていう呼び方じゃないくて、ミクって呼んでほしいなって思っただけだよ。グミさんの方が年上だし、私、そんな【様】っていわれるようなことしてないし」


と、言った


「え？と…とんでもない！私にとっての憧れの人を…【恩人】を…呼び捨てになんて出来ません！」


ミクは、この時少し引っかかるワードがあったが聞き返さなかった


「いいよ！ミクって呼んでよ！ね？」




ミクが笑顔で言うとグミは少し考えた後、勇気を出したかのように【ミク】と呼んだ


「わぁ！ありがとう！グミさん！これからも仲良くしようね！」


ミクがそういってグミに満面の笑顔を見せた

しかしその瞬間、グミは顔を真っ赤にして、ボンッと音を立てて倒れた


「あ…またやっちゃった…」


ミクもこの光景に少しずつ慣れてきていた















グミが倒れたのが、寮の近所の公園だったので、ミクは一人で頑張ってグミを寮に運んだ



寮に戻ると、ちょうど、がくぽが仕事から帰ってきていた


「大丈夫でござるか？！」


がくぽはグミを背負って帰ってきたミクをみて心配した


「あ、がくぽさん。大丈夫です。グミさんはいつもので倒れただけですから…」

「あ、いや…グミのことではなく、ミク殿でござるよ。一人で大変でござったろう？」

「えぇ、まぁ…ははは」


ミクは苦笑いをして答えた



「後のことは、拙者に任せるでござる」


がくぽはそういって、グミをミクの背中から、ひょいと持ち上げてグミの部屋に連れて行った




ミクが自室で一息ついていると、後ろから迫る人物がいた


「ミ～ク～ちゃ～ん！！」


ミクは不意に誰かに後ろから抱きつかれた

ミクが後ろを振り向くと、案の定リリィだった


「あ、リリィさん…」

「もう！ミクちゃんがいつまで待っても、部屋に来てくれないから、逆に来ちゃった」


リリィがそういって、舌舐めずりしていた

当然のごとく、リリィの目がギラリと光る


「あ…あの…リリィさん？」

「いただきま～…」

ゴスッ！！


リリィが幸せそうな顔のまま、倒れていく

ミクは、また、グミさんが助けてくれたのかなと思って、顔をあげるとそこにいたのは、がくぽだった


「がくぽさん…？」

「ミク殿、大丈夫でござるか？」

「は、はい！」

「まったく、リリィ殿にも困ったものでござる……」


がくぽはやれやれといった表情をした