村の娘は、夜遅くに山道を歩いていた。

 森は鬱蒼と生い茂っていて、迷うことは明白だった。

 ……というかすでに迷っているのだが。

「……う~ん、確かこの辺ってことは解ってるんだけどなあ」

 村娘は色あせた手紙を持っていた。

 朝起きたら自分が何故か持っていて、何故かこの森を歩いていたというのだ。まったく解らないことずくしである。

 そして、彼女は森を抜けた――。

「……ここは?」

 そこにあったのは大きな洋館だった。

 烏が鳴いていて、それがこの洋館の不気味っぷりをさらに加味していた。

 村娘は、決意して、扉を叩いた。

「誰かいませんか」




≪Bad ∞ End ∞ Night No.01【自己解釈】≫



「おやおや、お困りですか?」

 扉を開けて、声が聞こえた。声はその扉の中にいた紫の髪をした、執事から聞こえてきた。どことなく村娘はこの洋館に人はいないと決めつけていたので正直驚いてしまった。

「いえっ。迷っちゃって……。
 それで、ここに洋館があったんで……。もしかしたら誰かいるかなあ、なんて」

「そうですか。いえ、別に大丈夫ですよ。
 ちょうどこれから夕食を作ろうと思っておりましたので。
 是非、よければいかがですか?」

「いいんですか?」

「構いませんよ。食材なんて一人分増えてもかわりありませんし。
 それに、こんな夜道を歩かせて女の子をほっとくわけにもいきませんですしねえ」

 執事は笑って、洋館の中へと誘った。



 ***



 執事に誘われて、村娘は洋館の中心の部屋へとやってきた。

 そこは大きな長机が置かれていて、等間隔に刺叉型の蝋燭が置かれていた。椅子は8つ置かれていた。まるで最初から村娘がやってくるのを解っていたかのように。

「では、ここでお座りのうえ、もうしばらくお待ちください。
 今、ワインを持ってきますので」

 そう言って執事は村娘に否定の声をあげさせる前に立ち去っていった。

「私、まだ16なんだけどなあ……」

 村娘はただ呆然として待った。部屋には時計の音が響いていた。



つづく

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Bad ∞ End ∞ Night No.01【自己解釈】

書いてみました。
長くなりそうですけど、ゆっくりと書いていきます。

【本家】:http://www.nicovideo.jp/watch/sm16702635

追記:タグは本家動画にて登場しているボーカロイドを登録しています。この解釈小説に登場しているボーカロイドをさしていないのでご了承ください。

さらに追記:05/19再開しました。第四話→

閲覧数:637

投稿日:2012/05/19 17:47:27

文字数:900文字

カテゴリ:小説

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