「…というわけで、海斗先生と明衣子先生の関係を調べたいと思います!」
翌朝、凛は未来に対し、こう言った。
「…え?ちょっ、凛?」
「でも、どこから手をつけていいやら…」
「凛!ちょっと待って!」
1人暴走する凛を、未来が止める。
「何よぅ、未来姉ちゃん。」
「どうして急に明衣子先生が出てきたの?」
「最近、ツーショットをよく見かけるから…」
「ねぇ、凛。遠くから海斗先生を眺めるだけで良かったんじゃなかった?」
「気になるんだもん!もしも2人が付き合ってたら、って考えると…」
凛が俯く。
「…海斗先生だって人間だよ。そりゃ、誰かを好きになることだって、あるに決まってる。それを邪魔する権利なんて、私たちには無いの。誰かを好きになることを邪魔する権利なんて、誰にも無いの。」
「どうしたの未来姉ちゃん?今日の未来姉ちゃん、何か変だよ…?」
「変?変なのは凛の方だよ!今まで見るだけで良かったのに、急に周辺調べだして…まさか、告白するつもりなの?」
「…」
凛は、なにも答えなかった。
確かに告白はしたいが、昨日の愛の告白が頭にちらつく。でも…
「…それでも、私は海斗先生に伝えたいの!さっきの未来姉ちゃんの言葉、そっくりそのまま返すよ!誰かを好きになることを邪魔する権利なんて、誰にも無いの!!」
凛は強く言った。すると。
「私は、凛に愛先輩の二の舞になってほしくないだけなのに…」
未来は泣きながら、走り出した。
「未来姉ちゃん…っ!」
「凛。」
聞き慣れた声に振り向くと、そこには蓮が立っていた。
「蓮…」
「さっき、未来姉ちゃんが泣きながら走って行ったけど…どうしたの?」
「…未来姉ちゃんとケンカした…」
しょんぼりした声で、凛が答えた。
「珍しいな。凛と未来姉ちゃんがケンカするなんて。」
「私は、ただ海斗先生と明衣子先生の関係を調べたいと思っただけなのに…」
「凛、それストーカーになるぞ。」
「うッ…」
「片思いの相手の周りを調べ始めたら、それストーカーの第一歩だろ。間違っても犯罪は犯すなよ。」
まさか蓮に正当な意見を言われるとは思ってなかった凛は、余計腹が立った。
「何よ蓮まで!!」
「だってそうだろ?凛が犯罪者になってからじゃ、遅いんだよ!分かるか?俺はそれが心配なの!」
「でも…!!」
「凛!お前頭がおかしくなってんのか!?一旦頭冷やせよ!冷静に考えろよ!!先生と生徒の恋愛なんて、成立しねぇ!凛、お前、前に言ってたよな?この恋は叶わなくてもいい、遠くから海斗先生を見てるだけで満足だって!!」
ものすごい剣幕で、蓮が言う。
「…」
「俺、先にいくから。」
凛は、その場に立ちすくんだ。
*****
結局、学校に来たはいいが、教室に行ける気がしない凛は、保健室で体調不良を理由に寝ていた。
「どうして…こんなことに…」
枕に顔を押し付け、泣きそうになるのをこらえる。
そこに、カーテン越しに保健医のすっとんきょうな声が聞こえてきた。
「まぁ、海斗先生!?どうしてここに?」
海斗先生の名前を聞き、凛は飛び起きた。
「…え?中等部2年A組の鏡音凛は居るか?えぇ、朝からここに居ますが…」
しかも、自分を探しに来たとは、余計に心が落ち着かないのだった。
「凛さん。」
カーテン越しに、海斗先生の影と声が。
「…はい。」
声が裏返らないよう、凛は慎重に答える。
「入っても良いですか?」
「………はい。」
シャッ。
カーテンを開けて入ると、海斗先生がベッドに腰掛ける。
〈か、海斗先生が近い…!!!〉
凛の心臓は爆発寸前だった。
「ど、どうして海斗先生がここに…?」
「今日は、1時間目の理科を担当してる神威先生がお休みだったので、自習監督として僕が行ったんですが、凛さんが居なかったので、気になって来ました。」
因みに理科の神威先生とは、鮮やかな紫色の長い髪を1つに縛って、いかにも理科の先生ですと言わんばかりの白衣を羽織った、長身の、イケメンの男の先生である。
先生らしからぬ色気を放っていて、生徒の母親に絶大な人気を誇る。
海斗先生が爽やか系なら、神威先生はセクシー系である。
「…凛さん、何かあったんですか?そんな暗い顔をして…」
「…ちょっと、未来姉ちゃんと蓮と、ケンカしちゃって…」
「なるほど。ケンカですか…原因は何だったんですか?」
「…」
凛は答えない。
〈本人の前で、海斗先生が原因ですなんて、口が裂けても言えない…!!〉
「…言えないことなら、言わなくても良いですよ。」
「…」
「本当に仲が良いんですね。」
海斗先生が微笑んで言った。
「え?」
「だって、こんなにも凛さんが落ち込むなんて、いつもはケンカなんかしないんでしょうね。」
「確かに、ケンカなんて滅多にしないかも…」
思い返してみれば、ケンカなんて記憶にない。
「原因が何であれ、自分が悪いと思ったら、早めに謝った方が良いですよ。」
「…今さら、どんな顔して会えば良いか…」
「僕も今、ケンカしてる人が居るんですよ。」
「えっ?海斗先生もケンカするんですか?」
「そりゃ、ケンカだってしますよ。」
「…謝りましたか?」
「………いいえ。もう仲直り出来ないかもしれない…僕は、凛さんに二の舞になってほしくないんです。」
海斗先生が、暗い顔をした。
「先生…」
「…さて、この話はここまでにして、補習やりますか!」
「えっ?」
海斗先生の突然の発言に、凛の思考回路はショートした。
「実は今日の放課後、僕は会議で居ないんですよね。だけど、凛さんの補習はしないといけないし。明日は土曜日だし。それなら、今のうちにやってもいいかな、って。大丈夫ですか?」
「…………はい。」
凛は、鞄から教科書と筆記用具を出して、机に向かった。
「漢字の書き取りから、始めましょうか。」
「あの、海斗先生…」
「ん?」
「明衣子先生のこと、どう思ってますか!?」
凛は、思いきって聞いた。これを逃したら、もうチャンスはないと思ったからだ。
幸い、保健室には2人以外には誰も居ない。
「急にどうしたんですか?」
「理由は聞かないでください。でも、答えてください。」
〈もう好きだって気付かれても良い。それでも聞かなきゃ…〉
「…明衣子先生は…」
凛は、息を飲んだ。
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