早々と課題をクリアしてしまったのでチコリと2人でラウンジでお茶をする事にした。自分達がクリアになった後皆が飛び出して行ってしまったので心配していたが、甲高い声が時々他のプレイヤーのクリアを告げて居たので2人でホッとしていた。

「意外と順調みたいね、一時はどうなる事かと思ったけど。」
「まさか女同士でもクリアになるとは思わなかったな。」
「そうよね…結構無茶苦茶って言うか、面白ければOKっぽいと言うか…。」

面白いのは嫌いではないが自分に害が及ぶのは頂けないのだろう、私もそうだ。

「コンプリート――!!ハレルヤ様―――!!花壇様―――!!クーリアー!!視聴者の皆様、
 動画はここまで!!MVP投票に移行するっぜぇ―――!!」
「む?コンプリート?」
「あ、全員終わったみたい。」

暫く待って居るとプレイヤーやNPCが疲れた様子で戻って来た。

「あーっつい!すいません水下さい!」
「お腹空いた…。」
「お疲れ様~ゴメンネ~本当に…。」
「全くだ!つかMCが無茶振り過ぎ!」

皆が戻って来てラウンジは急に賑やかになった。皆結構楽しんでいた様でちょっとだけ羨ましいな。

「…もう降ろして下さいってば!ハレルヤさん…!あ、歩きますから!」
「良いから黙りなさい。」

ハレルが浬音を『姫抱っこ』でラウンジに持って来た。皆呆然としている。勿論私も。

「な、何事…?」
「…理解不能…。」
「何があったの?2人共…。」
「浬音さん、何でも良いから食べなさい。」
「あ…あの…ハレルさん、話が見えな…。」
「私は腕力が無いんです。その私が軽く抱き上げられるなどとんでもない、軽過ぎ
 です。因みに身長は幾つですか?」
「ひゃ…158㎝です…。」
「ちっちゃ!」
「私も160㎝だからそんなに変わらないな。」
「体重は?」
「あ…いや、それは…。」
「体重計持って来ましょうか?」
「…ぁぅ…ぁぅ…。」

困り果てた挙句、浬音は私にぽそぽそと耳打ちした。

「40㎏だと?!」
「しぃーっ!しぃーっ!!」
「軽っ!大丈夫なの?!それ!」
「痩せ過ぎ!今直ぐ食え!食って太れ!」
「野菜食べなさい!」
「それは軽過ぎるよ。」
「何でも良いから食べなさい。」
「太りなさい!浬音ちゃん!」

浬音は心配した皆に一斉に「太れ」と詰め寄られていた。なかなか珍しい光景だな。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

DollsGame-43.アロエ-

食って太れ

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投稿日:2010/08/02 01:10:08

文字数:987文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

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