初音ミク誕生日記念 番外編
私は起き上がった。
何もなかった。
その時は何も分からなかった。
ただ生きていた。
また私はその日と同じように起き上がる。
「ミク姉ちゃんおはよー!!それとお誕生日おめでとう!!」
「うわ!リンちゃん!?」
ベッドから起き上がろうとした私の上に鏡音リンがちょこんと乗っていた。
「ミク姉、お誕生日おめでとう。」
「ありがとう!」
ベッドの脇にはレンもいた。
「どうしたの?誕生日なのに元気ないじゃん!去年なんか自分が最初に起きてアピールしてたのに。」
「いや、寝起きですから・・・。」
眼を擦りながら起き上がると、リンちゃんは後ろに回り、髪を梳き始めた。
「お姉ちゃんの髪、梳いてあげるね。」
「リンちゃんありがとう。あ、でもプレゼントはちゃんとしたもの頂戴ね?」
なぜか一瞬髪を梳く手が止まったような気がする。
「くく。リンはプレゼント用意すんの忘れて「これで勘弁してもらおう」って言ってたんだぜ!」
「レ、レンー!」
「もう起きたの?」
扉からメイコお姉ちゃんが入ってくる。
「せっかく私が起こして上げようと思ったのに・・。」
お姉ちゃんはそう言いながら頭をかく。後ろに持っている箱はくれるつもりなのか、それとも・・・
「ま、いいか。ちなみに今日は学校あるんだからね。」
「先に行っちゃうの?」
「私は教師だからね。ま、学校でも会えるかもしれないけど。」
そう言うと結局箱は渡さずに部屋から出て行く。
「いってらっしゃい!」
「さて、ミク姉、俺からはこれあげる。」
「えー?レン君がプレゼントこんなの買ったの?」
「それ、レジに出すときはものすごい勇気振り絞ったんだからな!」
それは女の子用のアクセサリー。確かに、十四のレン君には勇気がいるかも?と思いながらも
「ありがとう。」
と、私は笑顔で言う。
「ミク。おはよう。」
「うわ!?どこから出てきたの?」
ベッドの背後からカイトが出てくる。もちろん、さっきまで気配はなかった。
「ひどいなぁ。俺もずっと居たんだけど・・・。」
そういってさりげなくプレゼントの箱を渡してくる。
「誕生日おめでとう。あ、開けてもいいよ。」
「ありがとう。」
開けてもいいよ。じゃなくて、開けて欲しいんでしょ?
紙包みをあけると、私が前から欲しかったペンがちゃんとしたケースに入ってあった。
「えー、これめちゃくちゃ高かったんじゃないの?」
「いや、ミクのためなら全然だよ!」
「お兄ちゃんアルバイトしかしてないのに・・・。」
「気にするなよ。・・・確かに3か月分の給料なくなったけど・・・。」
「何?」
「気にするな!」
眼に涙が浮かんでいるのは気づかない振りをしておこう。
「お姉ちゃんゴムある?」
「うん。これでやって。」
私は後ろで髪を束ねてくれているリンにいつもつけてるのと同じ・・・だけど、マスターがくれた新しい髪ゴムを渡す。
「そういえばルカ姉は?」
「いるわよ。」
扉の向こう側から声がする。
「入ってもいいよ?こんなときまで約束守らなくても・・・。」
「ありがと。改めて、お誕生日おめでとうミク。」
「ありがとう!」
ルカ姉にはこの部屋に入ることを制限してあるのだ。襲われないように・・・。
「ミク。これでいい?」
「ルカ姉。ありがとう!」
ルカ姉のプレゼントは皆のより一回り大きかった。アメリカから帰ってきてからかな?こんな大きなプレゼントくれるようになったのは。
「ま、大きさ分の愛情は込めてるつもりだから。」
「えー?じゃあ、これ、ルカ姉が自分で作ったの?」
「まあね。授業の課題だったのよ。」
こんな大きなぬいぐるみが授業の課題だったのか。
「ま、さすがに一人じゃないわ。先生と友達も何人か・・・。」
「じゃあ、皆にお礼を言っといて。」
「分かった。と、もう時間ね。先に行ってくるわ。」
「行ってらっしゃい!」
「よし」と後ろのリンが溜め息をついた。
「出来たよ。どう?お姉ちゃん。」
リンがそう言うとレンが前で大きな鏡を広げる。
「リンちゃん。ありがとう。24時までが誕生日だからプレゼントくれるのいつでもいいよ?」
「えー!!」
「くれないつもりだったんだ・・・。」
その時、ヘッドホンに警告音が流れる。
「ヤバ!そろそろ行かないと。」
レンは脇においてあった自分のカバンを持つとリンを置いてさっさと学校に行ってしまった。
「レン!ちょっと待ってよ!」
そういってリンちゃんも後を追う。
「ミクも早く着替えて行かなくちゃ。」
「もう着替え終わってるよ。」
「いつの間に!?」
私は机の上においてあったカバンをひったくる様に取って出て行った。
「行ってきます!」
私は今日からもまた生きる。
楽しい仲間と共に・・・!
コメント1
関連動画0
ブクマつながり
もっと見るこの物語は、一人の少年と手違い(?)で届いたVOCALOIDの物語である。
*
やっとだ。
息を大きく吸って、吐く。
そして、
「やっと届いたああ!」
と、思いっきり叫んだ。
隣の住民からうるさいぞーと、声が聞こえた気がしたが、気にしない。
やっと、届いた!VOCALO...【到着】二人三脚-1- 【えっと、お前誰?】
ティーヴ
綺麗にカールした睫に縁取られた、アーモンド形の黒目がちの瞳。形の良いアーチ型の眉に筋の通った鼻。口角の上がった唇は果物のように甘くてつややか。手入れの行き届いた長い髪はトレードマーク。まだ幼さのある輪郭に、少女と大人の境目を行き来するうなじ。細い肩にすらりと伸びた華奢な手足。ちょっと胸元が貧弱なの...
Cafe・我侭姫と無愛想王子・1~WIM~
sunny_m
「メイコさんっ」
五月五日の昼食後。居間で食事を終え、部屋に戻ろうと廊下を歩いていたところ、唐突に背後から呼び止められた。
「カイト?」
駆け寄ってくる足音に振り返る。声で分かった。呼びかけてきたのは青い髪の「弟」だ。私の間近で足を止めて、じっと私を見つめてくる。
頭ひとつ高い「弟」のカイトを...メイコの日【カイメイ】
西の風
開店時間のほんの少し前に森はコックコートに着替えて髪をひとつにまとめて、厨房に立っていた。
「おはようございます。」
先に作業をしていたスタッフの女の子のあいさつに、森もおはようございます。と声をかけながら、手を洗った。
先に作業していた女の子は最近入ったばかりの専門学生だった。短い前髪に小柄な...Cafe・ロータス・イーター 1
sunny_m
…新しいのが流行ってるね。何とかルカっていう
「何とかルカっていうのが、流行ってるのね」
…結構、買ってる人が多いよ。あの人もこの人も買ったって
「あの人もこの人も買ったのね」
…英語が話せるんだって
「英語が話せるのね」
…大人っぽい声なんだ
「大人っぽい声なのね」
…そろそろ君の声にも飽きたから...ハツネミク対話篇
sansui
西の森の中には木々に囲まれた大きなお城がありました。
綺麗な像や美しい庭園に彩られた城。でもどこか寂しく、人々の表情にも陰りが見えます。
「おかしなところ…東も南も北も歌声で溢れていたのに、ここは鳥の囀りさえ聞こえない」
「動物の気配もないね。噂通り魔物がいるのかな…?」
「でもこのお城で働く人々は...うたものがたり ~西の森の城①~
ちかお
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想
ヘルケロ
ご意見・ご感想
ミクさん、お誕生日おめでとうございます^^
本当にほのぼのとしてていいですね^^
私も一応小説書いたのですが……
見てくれるとうれしいです!
2009/08/31 21:27:51