#21



カイトとメイコは、施設の入り口から外を眺めている


「あの時の勝負は、結局、私の勝ちだったわね」

「あ、うん……そうだね」


本当はカイトの方が倒した数は多かったのだが、ハクがいなくなったことで、メイコがひどくショックを受けてしまったので、カイトが自分で負けだと言ったのであった


「あの後……私は自分を責めまくったものね。カイトと張り合いも出来ないくらいに」


メイコが恥ずかしそうに笑う


「そうだね……僕が止めてなかったら、めーちゃんも先生の後を追ったでしょ?」


メイコがゆっくりと頷く


「今思えば、僕ら、若かったね……今なら、めーちゃんと張り合おうなんて、絶対におもわないもの」


そういって笑うカイト


「あら?私はまだまだ若いけど?」


メイコが胸をはってみせる


「ははは、ごめんごめん。そうだね、ははははは」

「ちょ、ちょっと!笑いすぎよ!……もう……ふふふ」


彼らはハクの行方不明という現実を、二人で乗り越えていた



>>>>>>

四年前のあの事件……

ハクがいなくなった後、施設のリーダーにカイトが大抜擢を受ける

というのも、もともとハクは自分の後釜にカイトをすえることを決めていたためだった


最初こそ、反感が絶えなかったわけだが、それからのカイトは、人一倍努力した

武術や体術はもちろん

たびたび、ハクに注意された言動もあらためた

そして、どうしても上手く出来ない時は、メイコに相談もした

その結果、人望、実力ともに一番の人物となり得たのだった




また、そのころ、【例の勝負】の賭けとしていた、【なんでもいうことをきく】は、メイコの提案により


「これから一年間、二人だけの時は、私のことをめーちゃんと呼びなさい!」


という、ふざけた内容だった

本当はメイコも賭けなんて、もうどうでもよかったが、【面白そう】と考え付いた結果だった

案の定、カイトはすごく不服そうに「め……め、め、め、めーちゃん……」と小さな声で呼んでいた

けれど、いつのまにか、それに抵抗を感じなくなり、定着してしまった

今では、メイコの方が少し恥ずかしいという

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ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

0と1に響く言の刃#21

カイトとめーちゃんの過去編終わりw

前回、ちょっと長かったので、今回は短めにw

閲覧数:144

投稿日:2013/04/22 00:01:18

文字数:933文字

カテゴリ:小説

  • コメント2

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  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    肉体の傷というのは治るとき同じダメージで壊れないよう以前より強く再生すると言います。
    心の傷も、正しい治り方をすれば、それは更なる力になるのです。
    めーちゃん若いよ。
    年取ってからは若さが最強の武器になりえr(ゴスッ!!

    2013/04/23 00:25:35

    • しるる

      しるる

      めーちゃんは、そんなに歳をとってません!
      めーちゃんは若くてきれいなお姉さんです!
      最近……いや、まだ早いけど、すこしだけめーちゃんの気持ちがわかる今日この頃のしるるさん

      2013/04/23 21:09:43

  • イズミ草

    イズミ草

    ご意見・ご感想

    ほほえましいですが……みんなそれぞれ傷を負ってるんですね……。
    傷があるから、強くなれるんですよね……

    2013/04/22 18:35:53

    • しるる

      しるる

      そうですね……
      そういうことになるんでしょうか

      あまりずっと暗くならないようにと意識して書いたら、みんなが大人なキャラになっていっている気がします
      むずかしいですね……

      2013/04/22 19:55:00

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