俺の時は、姉が死んでから止まったままだった。

姉のいろはが暴走した仲間を止める最中に、犠牲になってしまったあの日から。


それからの俺は、まるで中身が全て空っぽになってしまった、ただの殻でしかなかった。
自分自身が消えてしまえばいいのに、と何度も思った。

そしてある日、それを見かねたルカ姫様が俺をグミの元に行かせた。

今思うと、ルカ姫様には感謝してもしきれない。

俺はグミと出会ったことで、再び流れる時を実感する事ができたのだ。
また、人を心から想うという感覚を取り戻させてくれたのだ。




「話って、なんですか?」


「グミヤ、まだ“いろは”のことを引きずっているのか?」


俺は少し口元を緩めて、ピコの瞳をじっと見つめた。


「いいえ、もう平気です。 あなたは?」

ピコはいろはの許婚だった。
だが彼は俺とは違って、冷静に姉の死を受け入れたのだ。


「あぁ、まだ少し胸は痛むが、前ほどではないよ。」


「そうですか……」



「でも、良かったよ。 前までの君は本当に酷かったから。」

ピコの言うとおり、前の俺は見るに耐えない姿だった。
でもグミのおかげで変わったのだ。

「グミのおかげですよ……」

「そうか 」


不思議と、胸がざわついた。
無性にグミに会いたい。



「大事にしろよ、グミヤ」


「はい……」


そうしてピコは部屋から出て行った。


再び1人となった部屋は、なんだか虚しくて寂しくて。

「グミ……」



なんだか眠くなってしまった。


重い瞼を閉じて、俺は、それはもう深い眠りについた。





――――――
――――――――......



グミヤの寝顔は、とても可愛い。
意外とまつ毛が長くて、顔はもの凄く整っている。


「グミヤ……」


あのことをグミヤに言ったら、なんて言うだろうか。

私を引き止めてくれるだろうか、それとも頑張れ、と言って背中を押してくれるのだろうか。

どこか後者を願った。


きっとグミヤは、背中を押すだろう。
グミヤが傍にいてくれたら私はなんでも出来るかもしれない。


「グミヤ……、私、メイコさんを助けたい。 グミヤにまた、会えるかな?」


反応はない。
よほど疲れていたのだろうか。

1ミリも動かない。


私は意を決して、部屋から出た。

あぁ、最後に「頑張れ」って言ってほしかったな。


私は、ミクさんの部屋に向かって歩き始めた。






ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

Bloody Girl 16


もうすぐ、最終回!!だと思いますwww


読んでいただき、ありがとうございました

閲覧数:283

投稿日:2012/11/16 19:26:24

文字数:1,040文字

カテゴリ:小説

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