雑貨店「ゆっくり」のお店の片隅。

小さいけれど、お茶を飲めるコーナーが設けてある。

ケータイでの長電話を終えたモモちゃんは、そばにいたりりィさんに言った。
「あら、長電話しちゃって、ゴメンなさい」
りりィさんの方も、いろいろ店内の雑貨やドールを見ていたので、気にせずに微笑んだ。
「いいえ、いいのよ」

彼女は、ちょっと興味深そうに聞いた。
「で、どうでした?デフォ子さんのそばに、“はっちゅーね人形”があったかしら?」
モモちゃんは答えた。
「はい、彼女のそばにも、あったそうです」
そう言って、不思議そうな顔をした。

りりィさんは、ニッコリと笑って、軽くうなずいた。


●電話みたいに、声が聞こえる人形

「ふぅん。なんか、この“はっちゅーね”の人形、ヒミツがあるみたいね」
2人のやりとりを聞いていたリンちゃんが、売場にある、はっちゅーね人形を見て、言った。

「そうね。不思議な人形ね」
りりィさんは微笑んだ。

リンちゃんは、目を大きく見開いて言った。
「ひょっとしてサ…」
「うん?」
そばで聞いていた、天使の衣装のレンくんが聞く。

「たとえば、この人形が2つあってさ、そのそばにいる人の声が聞こえるとか。電話みたいに」
「まさかぁ。何言ってんの」
レンくんは、笑った。

頭に付けた、天使の輪っかが揺れている。


●読者のみんなに伝えましょう!

すると、リンちゃんとレンくんのそばに、一人の女の子が寄ってきた。
手に、さっき買ったテト・ドールのデビちゃんを、大事そうに抱えている。

女の子は、売場にテト・ドールと並んで置いてある、はっちゅーねを見た。
「このお人形も、おもしろいねー」
リンちゃんは、思わずその子の顔を見てうなずいた。
「ウン、なんか、ちょっとフシギな人形みたいだヨ」

リンちゃんはそう言って、ちょっと考えて、大声で言った。
「そうだ。今日のこと、ブログに書こう!」
うなずきながら、腕を組む。
「けっこう、私のブログ、読者が多いんだよ!」

レンくんはそれを聞いて、ちょっと不安そうな顔をした。

「また、余計な事書くなよナ。…お、おい、何を撮ってるんだよ?」
リンちゃんは、レンくんの天使のコスチュームを写真に撮ったのだ。

「読者のみんなに伝えますよ」
そして、片目をつぶった。
「可愛いテト・ドールのこと、フシギなはっちゅーね、そして、愛しのレン兄さんの勇姿をね!」(o^ー゜)/

(次回に続く)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌(167)  テト・ドールと、はっちゅーねと、レンくん。

兄貴おもいの妹は、相手の気持ちにお構いなく、優しさを振り撒きます。

閲覧数:85

投稿日:2012/09/09 19:02:50

文字数:1,028文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    こんにちは! 風邪引いていたので、遅くなりました。早速、拝読させて頂きました!

    不思議名人形ですよね~。はっちゅーねさん。さぁ、どんなカラクリがあったのか? 楽しみです!

    しかし、ブログに記事書くのは問題無いとして、写真はやばいかも。レン君、ピーンチ!

    私もブログはたまに更新しているんですが、こういう美味しいネタを拾いに行くのも出来ないし、どうもとん挫になりがちです。でもブログを読んでくれる人がいると嬉しいですよね。

    それにしても、レン君の天使姿、脳内イメージで考えても、とってもプリチーです。天使の輪が揺れるところもなんともかわいいです。

    それでも次回も楽しみにしてますね。

    ではでは~♪

    2012/09/11 13:39:34

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、感想、有難うございます!

      >でもブログを読んでくれる人がいると嬉しいですよね。

      ほんとですね。でも、更新や投稿はなかなか難しい時もありますよね。
      レン君のような(いじられ)キャラが、そばにいるといいですけど(笑)


      >それにしても、レン君の天使姿、脳内イメージで考えても、とってもプリチーです。

      脳内イメージのレン君をぜひ、拝見したいですね!機会があれば見たいなあ。

      >天使の輪が揺れるところもなんともかわいいです。

      なるほど! それに本人が嫌がってると、周りは逆に面白いですよね?

      また感想を聞かせてください!

      2012/09/12 23:14:12

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