静寂の森は　霧が　降りて
灰色の世界は　その声が　響くだけ

迷子の子すらも　存在しない森
辺りは静かで　動物さえ居らず

いつの頃からか一人　この場所に立っていた
手の中にある記憶は　この調べひとつ

愛を知らぬ歌姫　ただ一人瞼を閉じ
誰を想う事なく　愛の歌を歌う

泉に映った　自分の姿見て
瞳を見つめる　その手を伸ばした

誰にも知られず一人　この場所に立っている
手の中にある記憶は　この調べひとつ

言葉知らぬ歌姫　歌う歌は愛の歌
顔も浮かばぬ人を　そっと待ち続ける

幾度も歌歌っては　幾度も歌なぞって
その指先触れるのは　淡く散る霧

「愛しているの　君を　愛しさが心を舞う」
愛の歌奏でても
何故か一粒の涙

愛を知らぬ歌姫　森にその声響いて
誰かが聴くだろうか　今日も歌を歌う

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せいじゃくのもりは　きりが　おりて
はいいろのせかいは　そのこえが　ひびくだけ

まいごのこすらも　そんざいしないもり
あたりはしずかで　どうぶつさえおらず

いつのころからかひとり　このばしょにたっていた
てのなかにあるきおくは　このしらべひとつ

あいをしらぬうたひめ　ただひとりまぶたをとじ
だれをおもうことなく　あいのうたをうたう

いずみにうつった　じぶんのすがたみて
ひとみをみつめる　そのてをのばした

だれにもしられずひとり　このばしょにたっている
てのなかにあるきおくは　このしらべひとつ

ことばしらぬうたひめ　うたううたはあいのうた
かおもうかばぬひとを　そっとまちつづける

いくどもうたうたっては　いくどもうたなぞって
そのゆびさきふれるのは　あわくちるきり

あいしているの　きみを　いとしさがこころをまう
あいのうたかなでても
まぜかひとつぶのなみだ

あいをしらぬうたひめ　もりにそのこえひびいて
だれかがきくだろうか　きょうもうたをうたう