紅い月にもたれかかる 花はまだ動かず
乾きすぎた口元から 解けた渇望

貴方の肩先に近づいて 牙を馴染(なじ)ませたら
衝動にほら 身を委ねて
黒よりも濃い赤で 塗りたくる夜には
沈黙がよく似合う……

遠吠えするオオカミさえ 恐れをなす夜更け
風にマントひるがえせば「その時」は迫る

何も語らず 眠りについて貴方はユメの中  
無防備な呼吸をさらせば
フワフワと芳香が 私を誘いだす
ひとときの戸惑いといっしょに

甘いこのキズアトを 贈りましょう
飲み干したこの色は 生命(いのち)ある証

ただ貴方の赤さを 求めていた
クレナイが喉を伝ってゆく 
「ごめんね。」

熱を帯びた花ひとひら まだ夢を見ている
紅(べに)をさした口元に 幾重にも罪を

イビツに閉ざされたオリの上 三日月の灯りも
心まで届くことはなく
酔えば酔うほどに 貴方がまだ足りないわ
ひとときの感傷に浸って

甘いこのキズアトを 這わせましょう
飲み干したこの色で 絡む愛の糸

ただ貴方の赤さを 求めていた
クレナイがシーツに咲いている
「ごめんね。」

刻は傾いて 滑り出す時計
呆気なく終わる宴
朝焼けが空を そっと抱きしめる
夜ひとつ、越せずに

それでも 甘いこのキズアトを 贈りましょう
せめてもの烙印(しるし)には 「私」を残して

許されざる赤さの 牙の先で
クレナイがほのかに溶けてゆく
「さよなら。」


~~
以下、発音用のひらがな歌詞
~~
あかいつきにもたれかかる はなわまだうごかず
かわきすぎたくちもとから ほどけたかつぼお

あなたのかたさきにちかづいて きばをなじませたら
しょおどおにほら みをゆだねて
くろよりもこいあかで ぬりたくるよるにわ
ちんもくがよくにあう

とおぼえするおおかみさえ おそれをなすよあけ
かぜにまんとひるがえせばそのときわせまる

なにもかたらず ねむりについてあなたわゆめのなか  
むぼおびなこきゅうをさらせば
ふわふわとほおこおが わたしをさそいだす
ひとときのとまどいといっしょに

あまいこのきずあとを おくりましょお
のみほしたこのいろわ いのちあるあかし

ただあなたのあかさを もとめていた
くれないがのどをつたってゆく 
ごめんね

ねつをおびたはなひとひら まだゆめをみている
べにをさしたくちもとに いくえにもつみを

いびつにとざされたおりのうえ みかづきのあかりも
こころまでとどくことわなく
よえばようほどに あなたがまだたりないわ
ひとときのかんしょおにひたって

あまいこのきずあとを はわせましょお
のみほしたこのいろで からむあいのいと

ただあなたのあかさを もとめていた
くれないがしーつにさいている
ごめんね

ときわかたむいて すべりだすとけい
あっけなくおわるうたげ
あさやけがそらを そっとだきしめる
よるひとつこせずに

それでも あまいこのきずあとを おくりましょお
せめてものしるしにわ わたしをのこして

ゆるされざるあかさの きばのさきで
くれないがほのかにとけてゆく
さよなら

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

クレナイの牙

投稿用→https://piapro.jp/t/6f7X
クールで格好良い、素敵な曲だと思います!
夜のイメージが浮かんだので、吸血鬼の女性の、一夜限りの愛みたいな世界観にしました。
ややホラー感もあるので、苦手だったらすみません。

閲覧数:(計測中)

投稿日:2024/09/18 10:43:08

文字数:1,291文字

カテゴリ:歌詞

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