黄昏の記憶さん

KAITO兄さんに惚れてボカロ浸り。作詞と視聴とときどきイラスト。

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Lagoon532

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イチオシ作品

悪ノ御話.2 ‐悪ノシリーズ小説編‐

それは、およそ十七年前の出来事だ。 その当時、まだ国王は健在で、民も安らかに生きていた。 そんな国はたいてい強大で、時に様々な国の羨望の的となる。この王国、黄ノ王国もそうであった。 王国の裕福さ、平和さを羨む国は、数多くいた。中には下に出てよしみを結ぼうとするもの、我が物としようとするもの、様々であったが、黄ノ王国は善き国王のおかげで、それらの危機から逃れ続けていた。 けれど、そうやって国を保つのには、限界がある。 そう、海を渡った場所にあるとある国……栄華に満ち、智謀、武勇に秀でた軍事国家の蒼ノ帝国が、密かに黄ノ王国をつけねらい、十数年に渡る準備のもと、ようやくその牙を剥きだしたのである。 「グスタフ殿、この度は無事に王族の血を永らえることができてまことにめでたい結果に終わりましたね」 「いやいや、クロードの援軍がなければ、我が国も危なかった。改めて礼を言う」 矢を幾千と突き立たせた城の中で、二人の覇者が談笑をしていた。一人はこの黄ノ王国の主、グスタフと、もう一人は蒼ノ帝国の主、クロードである。この二人は血筋上、従兄弟の関係にあった。グスタフが兄、クロードが弟である。二人の歳の差は20余りであったが、互いに国王としての身分柄、その違いをあまり感じさせなかった。 今回二人が共にいるのは、黄ノ王国が叛乱を起こしたことに理由がある。 何の心当たりもなく、国民達がいきなり刀を、槍を、弓を手に取り、王族の城へと攻め込んだのだ。 第一日目は、国民の勢いに押され、王族は城の少し手前まで攻められた。 けれど、その次の日の朝、民が今まで進んできた道を振り返ってみると、そこには蒼ノ帝国からの援軍がひしめいていたのである。これにより国民は混乱し、王国軍は無事に叛乱を鎮圧した。 今はその夜、薄墨色の景色に血や死体の色は隠れてしまい、玉座は再び、同じ輝きを取り戻し、王族の皆も城の奥から再び戻り、国民も懺悔によって心を改正した。国は再び平和へと向かい始めたのである。 「何々、グスタフ殿は私の従兄にあたる者。同じ王として、見捨てることなどできますまい」 「わざわざ海を渡ってまでこんなにも大勢の援軍や復旧軍、かたじけない」 グスタフはそう笑うと、手にしていたグラスのワインを口に含んだ。 その光景を見て、クロードも静かに微笑む。 「普通に見た限りでは」とても平和な光景であった。 そう、表面上、普通に見た限りでは。 クロードはその夜、また船に乗って自身の国へと帰っていった。 「ただいま帰った」 城に着くなり会議室へと向かった彼は、旅着を脱ぐのもわずらわしく、そのまま参謀たちを集めて席についた。 「帝王様、無事に事は済みましたでしょうか?」 参謀の一人が、嬉々とした表情を必死に抑えながらも、若干声を震わせて囁いた。 「うむ、完璧だ」 侍従の持ってきた紅茶をすすり、喉を潤した後、クロード……蒼ノ帝国帝王、世界の覇者になろうという野心を持つ者は、自身の結果を確認するかのように、計画の報告をした。 「我が帝国軍は、実に巧みに黄ノ王国の国民に扮してくれた。その他にも、国民を叛乱へと誑かす檄文、抵抗者を捕らえておく部隊、どれも見事だった。グスタフ殿も、私の薬を交えたワインをしっかり飲んでくれたしな」 私の薬……それは、飲んだ者の身体を次第に弱めていく、一種の毒薬だ。効果が現れるのには非常に時間がかかり、およそ5年後に発症、それから2、3年で飲んだ者は病にかかり、死ぬ。 これはある意味、誰が飲ませたのかを完璧に隠蔽することのできる、都合のいい薬であった。 そう、蒼ノ帝国、いや、蒼ノ帝国帝王は、残酷なほどに慎重で、狡猾で、冷酷であるのだ。自分の目的のためなら、その他関係ない命がいくら消えようとも構わない。たとえそれが自分の親戚であっても。 「そういえば、カミーユの体調はどうだ?まだお産には入っていないな?」 カミーユとは、王妃、クロードの正妻である。 「はい、まだでございます。しかし、もうじきに迫っていると医者が言っていたので、しばらく黄ノ王国に関しては置いておくことをおすすめしますが……」 「わかっている。我が子が生まれる瞬間を逃すほど、我は馬鹿ではない」 妖艶な冷笑を浮かべながら、クロードはふん、と軽く鼻を鳴らした。 「しかし、もう一つ仕組んでおくことがあったであろう。あれの準備はもう済んだのか?」 「はい。黄ノ王国が落ち着き次第、送り込もうと思います」 「怠り無くやるようにな」 クロードはそう言って、自分の計画が少しずつ、確実に進んでいることに満悦の笑みを浮かべると、席を立ち、寝室へと向かった。 「子供の名前はどうしようか?」廻廊を進みながら、クロードは独り言を呟いた。しばらく思案したが、 「よし、生まれたのが息子ならば、カミーユのカと、イト(己の意思を貫く者)を組み合わせ、カイトと名づけよう…我が息子の名にふさわしい……」 と思いつくと、また満足して、「カイト……響きも悪くない」と微笑みながら、歩き続けていった。 その数週間後、無事にカミーユは子供を出産することになる。めでたく皇子で、名前はクロードの考えの通り、カイト・フィア=バルロッサ……蒼ノ帝国、王族バルロッサ家の長男として、カイトと名づけられた。 一方数年後、黄ノ王国は王妃がグスタフの子を身ごもった。 近隣諸国はこの機に応じて何とかよしみを結ぼうと、様々なお祝いを贈って、あるいは持ってきた。 もちろん、クロードの率いる蒼ノ帝国も同様である。 「おめでとうございます、グスタフ殿。ついに跡継ぎがお決まりになりましたね」 「ああ、これで私の身も楽になるというものだ」 グスタフははじめての子を持つにしては、歳を取りすぎていた。そのため、余計に今回の子供には期待がかかっているのである。 グスタフはしばらく諸国の王と挨拶を交わしていたが、やがてクロードと二人きりになるようにした。これも、親戚のよしみである。しばらく二人は雑談をしていたが、やがてクロードが言った。 「そういえば、グスタフ殿の幸せを祈って、今回、我が国一と称される占い師を連れてきまたのでございました。跡継ぎについて占わせましょう」 蒼ノ帝国は、多くの魔法使いや占い師の出身地としても有名である。 「おお、それはありがたい!私も、かねがねそなたの国の占いとやらを見てみたかったのだ」 「それでは、早速はじめますか?」 「ああ、頼む」 グスタフは心の底から嬉しそうに微笑んだが、クロードは仮面の下で、「無用心すぎる、やはりこの国は我が治めねば…」と考えていた。 もともと、連れてきた占い師というのも、すべて図りごとである。魔法使いに未来を予見させて、そのことを上手く利用し、跡継ぎを廃らせようとするクロードやその参謀たちの魂胆であった。 「ふむ………」 全身黒装束に、頭巾や宝玉などでいかにも占い師な雰囲気を作っている男は、感慨深げに呟いた。 「国王殿の跡継ぎとして生まれてくる子供は、双子でございます」 実は、これも全て事前に魔法使いが予見した内容である。 「双子はどちらも見目姿麗しく、国王殿の子供に相応しい者へとなるでしょう」 この部分は嘘である。前者は保障できないし、後者は王を安心させるための出任せだ。 「けれど、いいですか、重要なことが一点あります」 男は、そこで一旦言葉を切った。部屋にくゆらせた香の匂いが、ゆったりと漂っている。男の右にはグスタフ、左にはクロードが立ち、正面にはグスタフの王妃がベッドに横たわっていた。 「何じゃ、重要なこととは」 グスタフは既に、子供が双子であること、いずれ素晴らしい者へと成長することを聞き、かなり興奮していた。 だから、占い師の横でかすかにクロードがにやりと微笑んだことに、気づかなかった。 ここからが執念場である。クロードにとって、将来的にかなり重要な場面だ。そして、グスタフにとって、黄ノ王国にとって、これから生まれてくる双子にとって、悲劇を引き起こす要因となる場面。 「はい、生まれてくる双子のうち、跡継ぎは絶対に胸元に薔薇の印がある者にしてください。たとえ印を持つ者が病弱でも、愚かでも、ええ、たとえ女であっても、絶対にそちらを跡継ぎにするように。薔薇の印は、真っ赤にその跡継ぎに刻み付けられています。それはいずれ、世界の覇者として名を馳せる者の印です。そちらを立てずにもう一方を立てれば、龍のかわりにトカゲを取るようなものであり、天使と悪魔を取り違えるようなものです。このことは、絶対にお忘れなきよう……」 薔薇の印…世界中の魔法使いのうちでも、一握りの者だけが掛けることのできる、呪い。 それから14年後になっても、リンと名づけられた王女の胸元に、その真の意味を知らずに眠っている、呪いの印。

第二話。グスタフ、クロードといった名前は私が勝手に決めました。
個人的にはカイトの名前の由来がほくほく(ry

え、薔薇の印の意味?
それは後になればわかる(と思います…、多分)。

第三話→……執筆中……

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投稿日時 : 2009/10/19 20:36

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