ブックマークした作品
-
プロローグ
興味深い事実は多くあるが実際に公表することのできる話はほんの一部だ。
その一部の中には真実を語っているとは言い難いものある。果たしてどのような形になるのか…私にも分からない。
現在、取材を進めてはいるが世に出すことは困難であろう物語を以下に記す。
鏡の中の住人
塔に夜は来るか
プラトーの...悪ノ娘の処刑人
センリ
-
「カイル兄様が遊びに来るぞ!」
まさに喜色満面といった笑みを浮かべるリリアンヌ。
「よかったですね、リリアンヌ様」
アレンは穏やかな表情でそれに応える。純粋な祝福と、これでしばらくは上機嫌でいてくれるだろう、というほんの少しの安堵も込めて。
「遊びに、ではなくお仕事なのでは……」
「何か言ったか...Lucifenia's taiRoL!?
織奈
-
「つまらん!つまらん!つまらあああああああああん!!」
ルシフェニア王宮、鏡の間。そこに一人の少女の声が響く。その叫びは誰の耳にも届くことなく消えた。
少女の名前はリリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュ。この国、ルシフェニア王国を統治する王女である。
今日は彼女の14歳の誕生日であり、各国の要...悪ノ娘 橙のアンプロンプチュ
IRis
-
自宅にも井戸端会議にも居らず、
おそらくと目処をたてていた第3の場所…居酒屋へとシャルテットは足を運んだ。
「あぁ、やっぱりッスね」
座ったままでも窓から外の景色を眺める位置に茶色の髪の女性はいた。
グラスには赤い液体が入っており、チビチビと飲んでいたようだ。
空きビンは見あたらない。
「夕方前から...居酒屋にて
ogacchi
-
私の目の前には一人の男が座っている。見かけは質素だが生地も仕立ても一級品な服に青い髪。画材道具の入った鞄を持っていれば旅行客に見えるとでも思ったのだろうけど、護身用の長剣にはばっちりマーロン王家の紋章が入っている。……というか、忍ぶ気が全くないんじゃないかこの人。
「好きなものを頼んでくれて構わな...青ノ妹
粉末緑茶
-
話をしよう。
その共同墓地は格好の遊び場だった。旧王都という街中では子供たちの遊び場は少なく、近場で人気のなく木々に覆われたそこは最適だった。
私が「彼女」に気付いたのは、ある日のこと。
かくれんぼの場所探しの最中、ある墓標の前の彼女を見つけた。その修道着は確かエルド派のものだ。
私は目の前の「彼女...悪ノ娘 黄のアンコールあるいはビス
万華
-
『悪の娘』を捕らえることができた。
それが確信となった途端、ジェルメイヌは膝から崩れて座り込んだ。
安堵と満足。そして、革命で命を落とした者への謝罪。色々な感情がまぜこぜになり、足から力が抜けた。
端から見ると怪我で意識を落としたと思われたのだろう。
近くに居たカーチェスがジェルメイヌの体を支えよう...革命のあと
ogacchi
-
部屋の窓から海辺を眺める。地平線の向こうまで永遠と続いている海。もし、この海の水が全てお酒だったら、私はそれを全て飲み尽くすことができるだろうか。そんな荒唐無稽な考えがふと脳裏を掠めた。
こんなたわいない考えが浮かぶのも、5年前から続く案件にようやく、本当の意味で終止符が打たれたからだろう。
...英雄ノ追憶
IRis