イレギュラーはアカシックレコードの夢を見るか?
投稿日:2018/09/13 15:11:04 | 文字数:4,055文字 | 閲覧数:1,362 | カテゴリ:小説
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悪夢を見るアレン君の話。
歴史に潰される、魘された彼はそう呟いた。
趣味を盛りに盛りました。お互いを警戒し合った距離感の二人が好きです。めっっっっっちゃ好きです。
タイトルは有名な某SF小説から。
公式コラボ悪ノSS 4作目
9.13 誤字を修正しました
◇◇◇
これは夢だ。
早々に彼がそう確信した理由は他でもない。宮殿の廊下に、本来ならばいるはずもないものがいたからだ。
加えて、窓ガラスも割れているというのに他の侍従達が騒ぎ立てている様子は無い。
目の前の事柄全てがあまりにも不自然だ。夢なのだろう。今、彼の前にいるこの「熊」は。
地を這うような低い咆哮。漂ってくる不快な獣臭。
現実であれば、自身の命の危うさに心臓が縮みあがりパニックになっていたであろう状況下であったが、アレンはいたって冷静だった。
時間は少し前に遡る。
夢の中において、時間の概念があるのかは些か疑問ではあるが。
ルシフェニア王宮、鏡の間。天井を飾る国王と三英雄の天井画を時折見上げながら、アレンは鏡の間の清掃を行っていた。鏡の間と回廊には肖像画や歴史画、彫像が並んでいる。天井を見上げれば、レヴィン教聖書の内容を描いた天井画が広がっている。
この王宮は絢爛豪華であるが、アレンはどうにもこういった空間が苦手だった。
数年の間、豪奢とはかけ離れた城下町の家で暮らしていたからかもしれないと思った事もあったが、思い返せば幼い頃からどこか居心地の悪さを感じていた。生まれつき、あまり得意ではない。
まるで、「歴史に潰されそう」な感覚に陥るからだ。
額縁や彫像の埃を払い、窓や床、各装飾品を布で磨いていく。そんな最中、自身の背後に不穏な気配を感じ、アレンは恐る恐る振り返る──すると、そこには涎を垂らしてアレンを睨み付けた「熊」が立っていた。
そして、話は冒頭へ戻る。
人は何を恐れるのか。この空間と熊ならば、どちらが恐ろしいのか。
太い爪が大理石の床につく度に、ガツンと重い音を立てる。
(……どうしたものか)
たとえ目の前の熊が夢であったとしても、襲われて爪で肉を抉られたり、顎で骨を砕かれたりするのは心地いいものではない。
いつか刃を向けた使用人からリリアンヌを守る際に使ったように宝剣で応対しようにも、今立っている場所からは、武器になりそうなものは遙か遠い壁にかかっている。取りに行くには少し時間が足りなそうだ。
(逃げるが勝ちだ)
アレンは一目散に鏡の間から廊下へ飛び出した。
廊下を一目散に走り、突き当たりの大図書館へ逃げ込む。
(……っ、)
息絶え絶えに駆け込んだはいいものの、目の前に広がった景色にアレンは自身が逃げ込んだ場所に後悔した。
鏡の間と同じく、天井の高い空間。ここにも天井画が描かれ、壁にはいくつもの歴史画や宗教画が並んでいる。加えて、広いその部屋には天井近くまで背の高い本棚が所狭しに立っている。
鏡の間よりもここの方が酷い。
──歴史が押し寄せてくる。歴史に、押し潰される。
背後で扉が開く音と、低い唸り声がした。思っていたより熊の足が速い。
後悔するのは後にして早く対策を取らねばと、移動式の梯子をたぐり寄せ、本棚の上の方へとあがっていく。
本棚の上に腰掛けて、本でも読みながらしばらくここでやり過ごせばいい。
天井に程近い一番上の棚に入っていた『エヴィリオス史』と書かれた本を手に取る。その、瞬間。
(────しまった)
本日二度目の後悔。そう思った時には遅かった。
本に手を伸ばした瞬間、ほんの少し足元への注意が逸れていた。
梯子の下にいつのまにか熊が立っており、体当たりをした衝撃で大きく梯子が揺れる。
アレンはその衝撃に足を踏み外し、梯子の上から空中に放り出された。
大図書館の天井は高い。つまり、天井近くまで伸びた本棚の高さも相当なものだ。アレンがいたのは本棚の一番上……落ちるだけでも、怪我をするには十分な高さだ。
(早く醒めればいいのに。こんな夢)
落ちる。夢だからか、スローモーションのようにゆっくりと本棚の間を落ちていく。
落ちながらにも関わらず、思考は冷静だ。
『本棚に囲まれた空間を落ちていく』なんて、どこかで読んだ童話のようだなどと思いながら、歴史が詰まった書物、それが無数に並んだ空間を落ちていく。
ふと、本棚がぐにゃりと歪んで見えた。
錯覚かと思い直そうとした時には、歪みは大きくなり、本棚はアレン目がけて倒れ込んでくる。
天井画や、壁の額縁も、アレンを中心にして引き伸ばされるように覆い被さってきた。
(潰される。……歴史に、物語に、押し潰される)
まるで襲いかかってくるような重圧に、アレンは歯を食いしばる。
そして、息が詰まる程の衝撃がアレンの背中を襲い、視界に黒い幕が落ちた。
◆◆◆
「人は結局、何を一番恐れると思う?」
桃色の髪をした魔道師が紅茶を飲みながらそう言った。
少年は何も答えない。
「何が起こっているのか、起こるのかわからない……そんな状況に人は一番パニックを起こすわ」
ふわりとティーカップから紅茶の湯気と香りが舞う。
少年は何も答えない。
「ねえアレン、貴方は何が一番怖い?」
一瞬、魔道師の瞳の色が黄金色に光った。
少年は何も答えず──にこりと微笑んだ。
◇◇◇
「やあ。ご機嫌はいかがかな、アレン君」
頭上からかけられた声と、差し込んだ光。落ちるような感覚と共にアレンは目を開けた。
オレンジ色の空を背にして、男がアレンを──箱の中を覗き込んでいる。
悪夢のせいか冷や汗をかいた身体を起こし、アレンは立ち上がった。
「……あまり、良くは無いですね」
「酷い顔だ。怖い夢でも見たのかい?」
差し出された男の手を取り、引き上げられるようにアレンは箱の外へと出る。
赤い夕日が広大な黄金の稲穂畑を照らしていた。その景色にアレンは目を丸くする。
「……天界に朝夜の概念は無いものかと思ってました」
「おや? アレン君、ここで夕焼け見るの初めてかい?」
「ずっとこの中に閉じ込めてる本人が言いますか、それ」
「ははは、それは申し訳ない」
一欠片も申し訳ないと思って無さそうな調子でけらけらと男は笑った。
箱の蓋を閉め、男は箱の端に腰掛ける。アレンを隣に座るよう促し、どこから出したのかタンブラーに入れたコーヒーを飲み始めた。
ふわりとコーヒーの湯気と共に、香ばしい香りが舞う。
「それで? どんな夢見たの?」
「熊に追われる夢を。それから、歴史に潰される夢を」
「歴史に潰される?」
抽象的なアレンの表現に、男は首をかしげた。
「生前から、天井まで絵画や本棚で埋まっている広間とか、大図書館が苦手だったんです。全ての方向から、今までその国が歩んできた歴史、英雄の生き様や死に様……ありとあらゆる歴史と物語が、押し寄せてくるみたいで」
「ふぅん。歴史に潰される、ね。面白い例えだ。……アカシックレコードをつけっぱなしで寝るからそんな夢をみるんだよ。疲れたら電源を落としてから寝るといい」
「ええ。次回からはそうします」
ため息を一つ落とし、アレンは目頭を指で押さえた。
死後、魂となったアレンは、天界で隔離され過ごしていた。理由は分からない。だが、目の前の男が神に似た力の持ち主であり逆らうのは難しかったこと、加えて従えば双子の姉であるリリアンヌに会う方法を提示すると言われ、渋々従っているのだった。
男がアレンを幽閉したBLACKBOXのシステムの一つにアカシックレコードというものがあった。エヴィリオス地方をはじめ、この世界で起こった事柄をすべて記録する機能だ。
アレンは男に言われ、それを使って自分が生きた時代や生まれるよりも前の時代の事柄を学んでいた。
有名なヴェノマニア事件やバニカ=コンチータ行方不明事件、そしてルシフェニア革命。
大罪の器なるものの存在を知ったのも、アカシックレコードの記録からだ。
ドラマティックだと見入るものもあったが、しょうもないと切り捨ててしまい退屈に見つめ続けるだけのものもあった。今日も、アレンはそういったつまらない事柄を見続けて、電源をつけたまま寝落ちてしまったのだろう。
「でも驚いた。アレン君にも怖いものはあるんだね」
「僕はただの人間ですよ。怖いものなんて沢山あります」
「本当かい?」
男はからかうように笑う。アレンの眉間に皺が寄ったことにも、楽しそうな気配を隠さない。
その表情に若干苛立ちながら、アレンは生前の出来事を口にした。
「……生前、王宮で魔道師エルルカと話したことがあるんですけど。人は、『何が起こっているのか分からない』状況が一番怖いって。言い得て妙だなと思います。確かに、訳が分からないってのは、とても怖いですから」
自分が今置かれている状況を指してか、隣にいる男を指してか。
言いながら、皮肉めいた口調で言ったアレンの眉間の皺は更に深くなる。
「カミサマっぽいことを言おうか」
ふふん、と男は上機嫌に鼻を高くしながら立ち上がると、タンブラーをどこかにしまい両手を開いて語り出した。
「人が恐れるものは、大いなるもの……即ち不可解なものだ」
「……それはイコールで繋げていいんですか」
「勿論。自分よりスケールの大きいもの、次元が一つ大きいもの、須く理解するには不可能だ。抗うことさえ出来ないと理解する……否、理解できない者だっているだろう。だから不可解。だから、恐ろしい」
口元に三日月を浮かべ、男は続ける。
「人間にとっての『her』であり、悪魔であり……そして、神もそうだ」
「その”不可解なもの”を恐れるなら、やはり僕は貴方を一番恐れなきゃですね」
「……いいね。何事もその気概で挑むといいよ、アレン君。世界は案外、恐ろしいものの方が多いんだからさ」
自身を睨み上げたアレンを見て、けらけらと男は笑う。
「それから」
言って、男は箱の上から稲穂畑の広がる地面へ飛び降りる。
振り返り、変わらず笑みを浮かべながら、疑念の目を向けるアレンをゆっくりと指差した。
「僕にとって『君』も、十分”恐ろしい”よ。それも覚えておくといい」
夕日の色を溶かしたような、黄金色の稲穂が揺れる。
アレンは何も答えず──にこりと微笑んだ。
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とある画家の肖像
◇◇◇
年をとった。
肖像画を描けなくなったのはいつからだろうか。
──否。描けなくなっていた、と気付いたのはいつだったか、と考えるのが正しいかもしれない。
若い頃は絵を沢山描いていたし、画家を目指していたこともあった。
とある画家の肖像
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ネコの屍
好奇心は猫をも殺すなんてよく言うが、幼い頃の私の好奇心は、猫の死体に打ち壊された。
なんのことはない、町外れに人だかりが出来ていたから近付いただけだ。
私と同じくらいの年頃の女の子や男の子が輪になって何かを見ており、私も気になって覗き込んだ。
そこには──猫の死体があった。
大きな鳥に襲われたのだろう。首や腹には痛々しい傷があり、開かれた目は虚空を見つめていた。
ネコの屍
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茜空ノ修道女
「……やっぱり、ここにいたのね、リン」
視線の先には、リンと呼ばれた修道女が立っていた。夕闇に映える金の髪がまぶしい。砂にしゃがみ込んだリンは、服が濡れることを厭わず、ぼーっと水平線の彼方を見つめている。
夕の赤に輝いた、一筋の頬の輝き。
それは、幻か。
「……あぁ、クラリスか」
茜空ノ修道女
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悪ノ娘 黄のアンコールあるいはビス
話をしよう。
その共同墓地は格好の遊び場だった。旧王都という街中では子供たちの遊び場は少なく、近場で人気のなく木々に覆われたそこは最適だった。
私が「彼女」に気付いたのは、ある日のこと。
かくれんぼの場所探しの最中、ある墓標の前の彼女を見つけた。その修道着は確かエルド派のものだ。
私は目の前の「彼女」に見とれていたが、声をかけてみる。私の方を振り返った「彼女」は微笑んで口を開いた。
悪ノ娘 黄のアンコールあるいはビス
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夢の中でなら
遠くから私を呼ぶ声が近付いてくる。
すごい勢いで。
一瞬誰か分からなかったが、「カイル兄様~!!」とドレスの重さを感じさせないくらいの速さでやってきたのはリリアンヌだった。よくあのドレスで走っていて転ばないものだなと感心しつつ、王女がそんなことをしてはいけないよと窘める。その言葉を受けしゅんとしている彼女をみてなんだか懐かしいような感覚を覚えた。それはリリアンヌの姿が子供の頃の姿だったからだろう。初めて出会った頃の彼女はこんなにも小さかったのか。そしてこのリリアンヌの姿を見てやっと理解する。これは夢だ。最近まともに寝ていなかったから政務中にうたた寝でもしてしまったのか。もしそうならちゃんと休んで下さいと怒られてしまうな。そんなことを考えているとリリアンヌがあ、と声を出す。
「もう、アレン遅いじゃないっ」
「リリアンヌがはやいんだよ」
夢の中でなら
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工作員の試練
私の名前はネイ=フタピエ。『悪ノ娘』リリアンヌ=ルシフェン=ドートゥリシュに仕えるメイド……というのは仮の姿。
その正体はリリアンヌに悪魔を取り憑かせ、悪政による内部崩壊を引き起こすために送り込まれた工作員であり、知られざるマーロン国第十三王女である。
無事王女付きのメイドとして王宮の中枢に潜り込み順調に計画を実行していたが、今私の胃はキリキリと痛み心臓は早鐘を打っている。
その理由はリリアンヌがイライラした表情をさっきからずっとしているからだ。彼女のイライラが高まればとりあえずストレス解消の為に誰かが首を刎ねられる事など日常茶飯時だがその矛先が私に向けられてもおかしくない。私は彼女のお気に入りのメイドというポジションにうまく収まる事が出来たが、僅かでも気に入らない事を私がしたのならその瞬間に私への興味は失われリリアンヌは容赦なく首を刎ねるよう命じるだろう。悪魔が憑依している以上彼女がいついかなる行動をしてもおかしくないのだ。(その悪魔を憑依させたのは私自身だが)
もちろん自分が仕向けた事で自分が死ぬことになるなんて結末は「クソッたれ」以外の何物でもない為それを全力で回避すべく全神経を集中させているのだが……リリアンヌが何に対してイラついているのかわからない。
工作員の試練
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逆さの塔に名を刻む
時計塔の針の音が響いている。規則正しく鼓膜を穿つそれは、まるで心臓の鼓動のようだ。
マーロン王国ブラッドプール地方北部、キャッスル・オブ・ヘッジホッグ。その中心にある巨大な時計塔の針音は、その風体にふさわしい程大きく、城をぐるりと囲うように建てられた城壁の上にまで届いている。
針の音に合わせるように、城壁の上を歩く人影があった。
太陽の光に照らされて輝く金髪。時折吹き込む強い風に、左耳の上でまとめられた長い髪がふわりと舞い上がり、ひときわ美しく輝いた。
なにやら不機嫌そうに眉をひそめながら、青い軍服を纏った金髪の少女──ネイ=フタピエは城壁の上で物思いに耽っていた。
逆さの塔に名を刻む
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悪ノ娘と魔道士ノ弟子
ルシフェニア王国から離れた場所に位置する“千年樹の森”。修道院での仕事を終えた私は、誰にも告げずこの場所へとやって来た。
森の中にある大きな千年樹と、以前よりも少しだけ伸びた苗木。どこも変わりない様子に、私はほっと胸を撫で下ろした。
クラリスの話によると、この苗木の正体は、大地神エルドの後継者であり彼女の親友であった『ミカエラ』という少女・・・・いや精霊? まあそれはともかく、少女の姿をしていたミカエラは死んで苗木へと変わったらしいのだが、彼女が死んだ原因は私にあった。『悪ノ娘』と呼ばれていた時代、マーロン国王であるカイル兄様との婚約が破談となり、エルフェゴードを滅ぼす事、そして、カイル兄様の想い人だったミカエラを殺すという『緑狩り』を命令してしまった。当時の私は、傲慢で、自分勝手で、カイル兄様たちの気持ちを考えもしなかった。ミカエラだけでなく、エルフェゴードの多くの女性を私のわがままで死なせてしまった事はどれだけ謝っても許されないことだ。
だから、罪滅ぼしも兼ねて時々こうして苗木の様子を見に来ている。もちろん、クラリスにも内緒でね。私の正体を知っても生かしてくれた彼女のために頑張って生きていこうと決めたのだから。
「そろそろ帰らなきゃ・・・。」
悪ノ娘と魔道士ノ弟子
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とある修道女と魔道師
ギィ、と扉の開く音。
「お久しぶりね」と笑う魔道師は、最後に会ったあの日から何一つ変わっていなかった。
私が母に連れられ、彼女に初めて会ったとき、彼女は自らを「悠久の魔道師」と名乗った。悠久の時を生きる、不老の魔道師だと。
……正直、あまり信じていなかった。それも当然だろう。いくら両親の友人とはいえ、自分のことを「悠久の魔道師」だなんて、ちょっとアブない人だから。彼女と同姓同名の名は歴史の授業のときに聞いたことがあったが、どう考えても20歳にしか見えない女性が、500歳近いおばあちゃんとは考えられなかった。
だけど、不老というのも、魔道師というのも、本当だと知った。実際に私は 彼女の使う魔術を母と共に見たし、60年以上見た目が変わっていない ─両親と出会った時期を含めると100年近い─ のは不老ということの証明にならないだろうか。私が歴史の授業で聞いた同姓同名の人物も多分、彼女本人なのだろう。
とある修道女と魔道師
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夕焼けとはんぶんこ
リリアンヌは気まぐれだ。だから使用人たちは往々にして彼女に翻弄されることになる。今、僕もまた彼女の気まぐれに振り回されていた。
「剣術でわらわが負けたことは一度もない。アレン、いくらお主でもわらわには敵わぬじゃろう。」
僕はただニッコリと愛想笑いを浮かべて静かに頷く。誰も君相手に本気出せるわけないだろ、と心の中で密かに毒づきながら。
リリアンヌの午後のティータイム。さっさと食器を下げて山のようにある仕事を片付けるつもりだったのに、リリアンヌは突然自慢話を始めた。延々と自慢話に付き合わされることかれこれ二時間。僕の脚は解放されるそのときを今か今かと待ちかねている。
「剣術だけではないぞ。わらわにかかれば馬術もお手のものじゃ。」
夕焼けとはんぶんこ
悪ノ作品が大好き。クライムワン組はもっと好き。