タグ:ごめんなさい黒うさ様
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THE HEREAFTER R-Mix “RESURGENCE” SIDE:δ
あれから。
あの、まるで時が止まってしまったかのようだった“その”瞬間からどれくらい経ったのだろう。
あの頃は年の暮れだっただろうか。だとすれば、もう三ヶ月か。
(そっか。まだ、それだけしか経ってないんだ……)
...ReAct 14 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT PART3 M-Mix SIDE:γ
そこに居たのは、自分だった。
目の前に立つその姿は、確かに違う。
ショートカットで、黒いワンピースで、つり目がちで。
何もかもが違う。なのに、それは確かに、自分だった。
国際病院の屋上で、レンと会うとは思っていなかった。ミク自身...ReAct 13 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT PART2 R-Mix SIDE:γ
病室にやって来たものの、レンはどこかへ散歩にでも行ってしまったのか、彼の姿は見当たらなかった。
嫌な予感を振り払い、リンは先に用事を済ませてしまおうと意を決して向かいの病室にも入ってみたのだが、そこも空だった。
本来は内向的なリンが...ReAct 12 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT PART1 L-Mix SIDE:γ
その屋上へと続くガラス扉を開くと、キィィ、ときしんだ音を上げた。
病院の屋上は、実際には意外に広い。だが、頭上に広がる夕焼け空のせいか、それとも屋上を取り囲むフェンスのせいか、いまいちその広さが感じられなかった。むしろ、なぜか逆に狭く...ReAct 11 ※2次創作
周雷文吾
INTERMISSION3 R-Mix
逃げ出して来てしまった。
嫉妬の炎に焼け焦げそうになっていながらも、そう考えて後ろめたい気持ちになるだけの理性はかろうじて残っていた。
だが、今のままレンと顔を合わせてしまえば、彼にもつらくあたってしまう事は彼女自身分かっていたので、少しだけ時間をあける...ReAct 10 ※2次創作
周雷文吾
INTERMISSION2 L-Mix
翌日、レンが病室で目を覚ました時には、リンは既に居なくなってしまっていた。
普通に考えれば、単に大学に行ってしまっただけなのだろう。だが、レンにはどこか腑に落ちなかった。
リンは、基本的に学校の成績は良い方だ。だが、授業や講義への出席率はあまりかんばしく...ReAct 9 ※2次創作
周雷文吾
INTERMISSION1 R-M:ReMix
深夜の国際病院の五階。そこにある一本の廊下を挟んで、二つの部屋で二人の思いが交錯する。
どうすれば良かったのだろう、と彼女は頬の痛みを堪えながら自問する。
相手を心配するという事。それは、相手を傷付けない上で何よりも重要な事では無いのだろうか。
...ReAct 8 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK6 R-mix side:β
はっと目を覚ます。
目元が、涙で濡れていた。
懐かしいと、彼女はただそう思った。
夢に見たのは、あれはいつの頃の事だっただろうか。
(小学校の頃、じゃなかったかな……)
二人で一緒に見た夜空。まばゆく輝く満月。
けれど結局、あのすぐ後に母親...ReAct 7 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK5 L-mix side:β
「リン! 外!」
「なぁに? あたし、眠いよ……」
「いいからいいから。外、すっげー明るいんだぜ!」
そう言って、まぶたを擦りながらぐずるリンを、レンは引っ張っていく。
「ほら、こっちこっち!」
「そこは危ないから、ママがダメって……」
「バレやしな...ReAct 6 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK4 before-side:β
あれから。
あの、想像すらしていなかった絶望的な光景を見てしまってからどれくらい経ったのだろう。
あの頃はまだ寒くなり始めたばかりの頃だっただろうか。今はもう雪のちらつく年末だ。大学はもうすぐ冬休みになるし、あと数日で聖夜もやって来る。
(そっ...ReAct 5 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK3 after-side:α
部屋を出る。
だが、特段ミクには行き先が決まっている訳では無かった。何も考えていなければ、いつものようにまた病院の屋上に行ってしまうのだろう。
彼女自身は、それでも別に構わなかった。ただ、ずっとあの部屋に一人ぼっちでいるのは気が滅入ってしまう。誰...ReAct 4 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK2 L-mix side:α
少年はベッド脇のキャビネットの上に置いてあった注射器――と言うにはいささかカジュアルな物ではあったが――を手に取り、カートリッジを取り付けると、ためらいがちに自らの左腕に刺した。
注射器から体内へとカートリッジ内のインスリンが注入され、血液内を巡る...ReAct 3 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK1 M-mix side:α
あれから。
あの、まるで時が止まってしまったかのようだった“その”瞬間からどれくらい経ったのだろう。
あの頃は初夏だっただろうか。だとすれば、もう五ヶ月か。
(そっか。もう、半年近く経ってるんだ……)
白い部屋の白いベッドに横たわっていた少女は...ReAct 2 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT ≒ SIDE:γ
今、温もりが消えさってしまったその場所で、三人の男女が立ちすくんでいた。
それは宵闇、ちょうど日の沈んだ時刻だった。その瞬間、まるで時が止まってしまったかのように三人も動きを止める。ビルの屋上。つい先程まで、外周をぐるりと取り囲んでいるぶしつけなフェンス...ReAct 1 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT the second half of side:C
マンションの一室の扉の前で、ミクは深く深呼吸をする。
(ルカ。分かってる……よね)
ルカに全部、余す所なく説明させなければならない。最悪は、このナイフで脅してでもだ。どんな結果になろうとも、自分を騙したその報いを彼女に受...ACUTE 11 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT the first half of side:C
「ん、ん……」
ベッドからそんなうめき声が聞こえてきて、ルカは背後を振り返った。
「あれ、俺……ルカ?」
自分がなぜルカの部屋のソファで寝ているのか理解出来なかったのだろう。カイトは身体を起こすと、暗い部屋の中で立ち尽くし...ACUTE 10 ※2次創作
周雷文吾
INTERMISSION2 M-mix
「……。そう、そういう、こと」
自分の部屋に座って、会話の途中で唐突に通話の切れたケータイを冷ややかに見つめ、ミクはぽつりとそう言った。
(まさか、ルカはあれで誤魔化しきれたとでも思ってるのかしら)
ミクの前では約束を守っているふりをして、彼女の見ていない...ACUTE 9 ※2次創作
周雷文吾
INTERMISSION1 L-mix
「はぁ……」
なんとか寝たままのカイトをソファに横たえて、ルカはため息をついた。
(私、いったいカイトの何なんだろ)
カイトが好きだったのは、ミクだった。ならばルカは、一体カイトにとってどんな存在だったというのだろうか。
自分よりもミクの方が好きだったと...ACUTE 8 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK6 after-side:B
「もしもし」
てっきりカイトからの着信だと思っていたルカは、ミクから電話が来たということに少なからず動揺していた。そのタイミングの良さ――ある意味では、それはタイミングが悪かったのだと言えるかもしれない――に、言い知れぬ不安を抱く。
『ルカ? 今、電...ACUTE 7 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK5 L-mix side:B
「はぁ……」
ため息をついて、ルカは留守番電話サービスにつながったケータイを切った。
その見る者を魅了せずにはおられないほどに美しく整った彼女の表情は、ウェーブのかかった長い髪に隠れているせいで窺うことは難しい。だが、艶やかな髪の隙間から見えるその...ACUTE 6 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK4 K-mix side:B
気付けばかなりの時間、そのバーでウイスキーを飲んでいた。
時計を見て、慌ててカイトはそのバーを出てきたのだ。
それから、酩酊感に足下をふらつかせながら、まだ雨の降る中カイトはルカの家へと向かっていた。
(ルカのやつ……怒ってるかな。遅くなったこと...ACUTE 5 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK3 before-side:A
昼間よりも夜の方が賑わっているような、そんな繁華街の道に一人の少女が立っていた。
背中に大きなリボンがあしらわれた漆黒のワンピースに、特徴的な長いツインテール。まだ幼さの面影が残るその少女には、色鮮やかなネオンと雑多な喧騒に包まれ始めた夜の繁華街...ACUTE 4 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK2 M-mix side:A
雨に濡れながら、ミクは走っていた。
雨が降るなどとは思っていなかったこともあり、傘など持ってきていなかったのだ。だが、彼女が走っているのは雨のせいだけではなかった。雨が降り出した頃、まだミクの目の前にいた男の姿を捜していたのだ。
彼女のその長い髪...ACUTE 3 ※2次創作
周雷文吾
FLASHBACK1 K-mix side:A
逃げ出してきてしまった。
たまたま入ったビルの三階にあったバーで、適当に頼んだウイスキーのグラスを見つめながら、カイトはそう後悔した。
一口そのウイスキーを喉に流し込むと、カッと焼け付くような痛みすら感じる。ウイスキーの旨さなどカイトにはいまいち...ACUTE 2 ※2次創作
周雷文吾
THE PRESENT ≒ side:C
凍えるほどの冷たい部屋に、三人の男女が立ちすくんでいた。
それは深夜、ちょうど日の変わる時刻だった。“その”瞬間、まるで時が止まってしまったかのように三人の動きが止まる。部屋の中で動く物といえば、せいぜい時計の秒針くらいだろう。室内ではその時計の針だけが...ACUTE 1 ※2次創作
周雷文吾