はとやの投稿作品一覧
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死ぬか死なないか。見せ掛けの二者択一の人生を生き続けるくらいなら最後に遺書でも残してとっととドロップアウトが望ましい。死んだらやり直せないなんて保障はどこにもないのが不安だけれど、リセットでも電源オフでもどちらでもいいだろう。終わりよければ全て良し。終わらないのは遺書かそれとも人生か。あるいは続か...
雨の讃歌 後篇
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「いつになったら止むのかねぇ」
「さあ」
「梅雨ってのはどうして毎年来るのかねぇ」
「さあ」
「雨男ってのは辛いもんだねぇ」
「梅雨だからだよ」
「梅雨男よりはマシかもなぁ」
「じめじめしてそうだね」
「マジメマジメしてるより嫌だな」
「惨め惨めな思いをするよりいいんじゃないかな...雨の讃歌 中篇
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う「どうも、うさ吉です」
へ「へび子です」
う「二人合わせて」
う「うさ吉へび子です」へ「キューティーへび子です」
う「え?今なんて?」
へ「うさ吉へび子でしょ?」
う「うん、そうなだけど。今全然ハモって無かったような気がしたんで」
へ「それまるでうちが悪いみたいじゃんな。始まったばっかりで気悪いわ...ボイドラボツ脚本
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書いては消し書いては消しを繰り返し、最期に電源ボタンを二度押した。文才が無いのは今に始まったことではないけれど、思い残すことが何一つ無いとは思いもしなかった。辞世の句だって十七字あるのにそれにすら満たないとはいよいよ生きている理由がわからない。人生も時世の句のように終わらせたいものである。もっとも...
雨の讃歌 前篇
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「……根に持ってたんですね、鏡」
部長から受け取ったノートを閉じ、私は言った。無言でノートをしたためてたからてっきりデスノートに私の名前を書いてるのかと思ったけれどどうやら違ったらしい。恨みを事実虚構(あるいは妄想)を入り混ぜて物語に昇華するのはさすが文芸部部長。部長の肩書きは伊達じゃない。
...stripe 2本目
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桜も終わり新緑芽吹く五月、というのは関東以南の暖かい地域ばかりで僕らの住む地域は五月に入ってようやく桜の見頃を迎える。入学式に吹雪なんてのも更にあるくらいだ。
というか、今年の僕がそうだった。
と言っても大して語るようなことは無い。ギャルゲーチックな運命的出会いもなければ漫画的奇人変人もない。...stripe
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毛布の上の心地よさは何にも代え難い。特にお天道様の元に干したふわふわのふかふかは独り占めしたくなる。あの上にいる間はどんな掃除機の音も雨の音も僕には届かない。
そんな毛布にくるまるともっと気持ちが良い。暖かい物に包まれる幸せ、守られてる感じ、「天にも昇る心地」とはきっとこの事なんだろう。空を飛ん...塒(ねぐら)探しの時 五篇
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公園に着く頃には雨もすっかり上がり雲の隙間から陽が少し射し込んできた。公園は茶色い水溜まりばかりでいつもの顔ぶれは見当たらない。いつもここにいる気がしてたけど雨が降ったらさすがにこんな場所には居れないだろう。ベンチの下も穴ぼこ山の中も濡れそうだし、一体みんなどこで寝るんだろうか。
誰もいない静か...塒(ねぐら)探しの時 四篇
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日が昇って日が落ちて月が昇って月が落ちて、明るくなって暗くなる。目が覚めて眠る様に気分の明るい日暗い日ある様に天気は毎日変わる。
僕は晴れた日が好きだ。晴れた日には毛布がふわふわになるし遠くへ行ける。 僕は雨の日が嫌いだ。寒いしうるさいし毛布も気持ちよくない。
雨もいいぞなんて爺ちゃんは言って...塒(ねぐら)探しの時 三篇
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熟れたレモン色の光に刺激され目が覚めた。どうやら私はカーテンを閉めずに眠ってしまったらしい。
どれ程酒を呑んだのだろう、眠る前の事は何も思い出せない。それでも呑んだ事だけは覚えてるのだから記憶とは不思議なものだ。幸い、頭と目がぼんやりするだけで頭痛はない。
さて二度寝しようとカーテンに手を伸ば....PING
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知ることと分かることは違う。初めて友達と出会った時、僕はそんな事を言われた。爺ちゃんと知り合って爺ちゃんの話を聞いて、初めての冒険で出会った相手にそんなことを言われるなんて思いもしなかったけれど、今はなんとなくだけど言葉の意味を分かりつつある。爺ちゃん風に言うなら百聞は一見に如かず。爺ちゃんと違っ...
塒(ねぐら)探しの時 二篇
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毛布の上の心地よさは何にも代え難い。特にお天道様の元に干したふわふわのふかふかは独り占めしたくなる。あの上にいる間はどんな工事も空飛ぶ蚊も僕には届かない。
「天にも昇る心地」と寺の爺ちゃんなら言うだろうが確かに空を飛んでるような気持ちだ。晴れた日に飛ぶ鳥もこんな気持ち――心地なんだろうか。鳥の言...塒(ねぐら)探しの時 一篇
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遺書
どんな人間であれ夢や欲求を持つ。それが私のような駄目人間でもだ。むしろ駄目人間だからこそ欲深いのかもしれない。現にこうして死を覚悟した今も夢を叶えようとしている。
私の夢は小説家になること。いや、小説家なんて仰々しい夢だ。自分の文章を売って食べていきたいと考えたことなんて一度もない。ただ...灰の夢