憂鬱な夜明けだった
眠れぬままに 布団を抜け出して
ぼんやりとくらい モザイクの歩道を
ぼくは踏み出した

小さな町の中の大通り
時折行き交う車
ふと気がつけば
向こう側の歩道を踏んで
誰かが 歩いていた

散歩にはまだ寒くて
その人は薄着に
見えて少し心配した
車が通り過ぎる度
その人がどこへも
消えていないことを確かめた

通りかかる 交差点は
どこも赤信号で
近づけないことを
がっかりして ほっとして

憂鬱な夜明けだった
眠れぬままに 布団を抜け出して
憂鬱な夜明けだったのに
おそろいのモザイクを踏んで歩く
その人のことで 心の中が いっぱいに なっていく

とても短い間で
その人と少しだけ
隣り合わせたのは
間を車が通り抜ける
その人とは交わらない
けれど遠ざからなかった

大通りと橋の境で
一度だけ目が合った
逆光 人影は人影のまま
僕を不信に思ったかな
それとも…

僕らの道は分かれた
君は東に 僕は西に
君は朝日を目指すんだろう
僕が目指す土手は
川面が一番輝いて見えるんだよ

きっと二人とも眩しい景色を見るだろう

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

彼は誰

タイトルは「かわたれ」と発音しますです。夜明けですね。
「彼」は性別も年齢も不明にしてありますが、
書くときはKAITOとMEIKOをイメージしていました。

ふっとすれ違っただけとか、電車で同じ車両に乗り合わせただけとか、
それだけの人にも親近感を感じてしまう瞬間があります。

閲覧数:65

投稿日:2008/12/10 01:07:21

文字数:472文字

カテゴリ:歌詞

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