空の裂傷が黄色い血を流した夜
知り人のキマイラに許しを乞う夜
寄る辺無さを窺知する試験紙みたいな夜
思い出のキマイラが
督促にやって来る明けない夜
時間が止まった

青年が生まれた朝に完成した
小さな円らか機械時計
休まず竜頭を巻いていた筈なのに
今は動かない懐中時計

習慣の香箱が朽ちて
外発内発の摩耗にルビーが痛む
彼は憑いていた魅力が
祓われる音を耳にした

空の裂傷が黄色い血を流した夜
知り人のキマイラに許しを乞う夜
寄る辺無さを窺知する試験紙みたいな夜
思い出のキマイラが督促にやって来る
明けない夜から逃げる様に家を出た

見通しは言うなれば赤子か蜜か
小さな円らか屍と
明くる朝の質屋に向かう足の軽やかは
自棄という麻酔だ

漸く辿り着いて早々
店主は去なした 返る蜻蛉を見る目で

彼の時計に
「綺麗だけど済まないね」と言い残した
一層の事嗤われた方が良かったのに
向きになるにも投げ出すにも及ばない
積み上げた時間を徒爾にしまいと
針がひくついていた
哀れな愛着だ

Quit or Stop or Quit or Stop or Quit or…
Stop

身体左右の不快な温度差で
幾日ぶりかの陽光を知り
彼は何だか全てが馬鹿らしくなった
絶望健忘 今の内が希望

捨てる度胸を売り
捨てない度胸を買い直す
お釣りが来るならそれを握り締めて
あるかすら分からない工房へと旅に出る
思い出のキマイラを
踏み倒す様な勢いで行く
時計は無価値な侭 止まった侭
なのにどうして行く

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
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壊中時計-歌詞

閲覧数:51

投稿日:2021/04/24 00:24:07

文字数:650文字

カテゴリ:歌詞

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