数日後、安田研究室。
 「おい、ケイ」
 「何です、長瀬先輩?」
 「今、暇か?」
 「論文を書くのが一段落したので暇といえば暇ですが…」
 「なら、俺の話につき合ってくれないか?」
 「まあ、構いませんが…。どうせ、大した話じゃないですよね?」
 「よく分かったな」
 「そりゃ、もう何度もつき合わされてますから」
 呆れたように佐藤がいう。そんな佐藤に長瀬は大学の自動販売機で買った缶ジュースを手渡した。
 「ほれ、これやるから」
 そういって席に座る長瀬。
 「全く、ジュースで懐柔って…、ジュースじゃ最近の子供も懐柔できない気がしますが…。で、話って何です?」
 呆れながらも、缶ジュースは良い気分転換になると思った佐藤。
 「いやな、ケイはリンちゃんファンだけど、そうなった理由をしりたくてな」
 「ああ、それですか」
 缶ジュースを開けながら佐藤が話す。
 「僕が幼稚園の頃に、初めてボーカロイドをしったのがリンちゃんの曲だったんですよ。それからのめりこんでいったんです。リンちゃんをしった当初は活発そうな所が好きで、その当時は近所にあんな感じの明るくて、活発なお姉さんがいれば良いなと思ってましたよ。年月がすぎ、リンちゃんの年齢を追い越した今では、ああいう妹がいれば良かったなって思ってます。リンちゃんみたいな性格なら、落ち込んでいる時にも励ましてくれそうですから」
 「ケイは妹はいなかったのか?」
 「妹どころか姉もいませんよ。全員男です」
 「ふーん」
 「せっかくですから、長瀬先輩がMEIKOさんのファンになった理由も教えてくださいよ。何かきっかけはあるんですよね?」
 「俺か?俺がMEIKOさんのファンなったのは結構遅くて中学の時だったな。ファンになった理由は曲というよりMEIKOさんの性格かな。あのきっぷの良さそうな感じが好きだな。それにMEIKOさんだったらどんな相談でも乗ってもらえそうじゃないか。そこが好きだな」
 「確かにMEIKOさんにはそんな所がありますね」
 佐藤が相槌を打つ。
 「あと、酒が飲める年齢になってからは、しゃれたバーで優雅にお酒を飲んでそうなルカさんと比べて、気楽に酒を楽しんでそうな感じがするのが好きだな。…あくまで俺の考えだけど。安田教授のお宅にお邪魔した時に、MEIKOさんにお酌してもらった時は最高だったぜ」
 「そんなことがありましたね。彼女にしたいとかそういう感じですか?」
 「いや、それはあり得ないな。MEIKOさんはKAITOさんの嫁だから」
 即答する長瀬。
 「…そういう所はちゃんと線引きしてるんですね」
 感心したように佐藤がいう。
 「当たり前だろ。…そんなことを話してたら、もっとMEIKOさんについて語りたくなったぜ。まだ時間あるか?」
 「ジュースをもう一本いただれば、時間は作ります」
 「くっ…、分かったよ、もう一本買ってくらぁ」
 巧く長瀬の足元を見る佐藤。まんまと一本食わされた長瀬はそういって席から立ち上がった。

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初音ミクとパラダイムシフト4 3章8節

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投稿日:2017/03/09 21:48:46

文字数:1,260文字

カテゴリ:小説

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