「ねぇ、待って、待ってってば!」
「着いて来るな、レンチ女。お前が居るとロクな事が無さそうだ。」
「私にはりんごって名前があるの!この辺り来るの初めてだから道判んないのよ!」
「はぁ…何処行きたいんだよ、案内するからとっとと其処行け。」
「もぉっ!そんなんじゃモテないわよ!女の子にはさっきのお兄さんみたく
 紳士的に優しくしないと!」
「あんなの真似出来るか!大体…!」
「往来で何を騒いでいるんですか、貴方達は…。」

呆れ果てた声の主は翡翠だった。と、後ろには変装してるつもりの冰音リヌ…。お熱い事で…。

「ああぁ~~~リヌちゃんっ!!やっと会えたぁ~~~!!」
「きゃぅっ?!…りんご先輩!!」
「知り合い?!」
「『すのぅほゎぃと』のりんご先輩ですよ!使土さん知らないんですか?この前の
 コンサートでもMCを…。」
「知るかよ…。」

矢鱈アイドルに詳しいのも個人的にどうかと思うんだが、どうやらレンチ女はリヌを探していたらしい。良し、後はもうこの二人に押し付けて帰って寝るか。

「あれ?リヌちゃんどうしたの?発信機なんて持って…。」
「え?」
「え…?」
「ほら、このペンダント。判り難いけどここ開けると…ね。」

途端に翡翠の顔色が変わった。レンチ女からペンダントをもぎ取るとそれを踏み壊した。

「翡翠さん…?」
「リヌさん…いえ…皆さんすぐ此処から離れた方が良い。もしかすると…!」
「――っ!上だ翡翠!!」

重い金属染みた落下音、真っ黒な服、歪なメタルアーム…そして…。

「全ては奇跡の名の下に…。」
「きゃあああっ?!ななな、何よこのイカレてますな人!!」
「バカ!さっさと逃げろ!お前がどうにか出来る相手じゃない!」
「だ、だけど…!そうだ警察…!」
「警察に助けて貰える身分でも無くてね…。行け、大通りに出て人ごみに居ろ!
 翡翠!2人を連れて逃げろ!」
「使土さん?!」
「リヌさん、早く!悔しいが私では相性が悪過ぎます!さぁ貴女も!」

この前より道幅が狭い分動き難い…かと言ってこんな奴を大通りに出したらそこ等中ぶっ壊して大惨事…だったら…!

「全ては奇跡の名の下に…。」
「チッ…!」

この動き…匂い…Bタイプはおそらくニホンザル辺りか?だったらこの前の奴より上下移動される可能性も…アームも少し形が違うな、速さに重点を置いたのか?なら重接続ポイントは急所である両肩、解体ポイントは…。

「そこだっ!」
「ぎゃぅっ?!」

小さい悲鳴と共に右腕の装甲が落ちた。やっぱり鎖骨点で交差接続…多分両腕落とせば戦力が削げ…。

「全ては奇跡の名の下に…。」
「――なぁっ?!」

もう一人…?!ヤバイ…間に合わな…!!

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -58.銀の銃弾が呼ぶ者-

危ない後ろ~~~!!(@Д@;)

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投稿日:2010/06/19 11:10:09

文字数:1,131文字

カテゴリ:小説

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