報告も大体終わったし、何と無く疎外感を感じてたので部屋を後にして家に戻る事にした。広々とした高級マンションは羨ましいがどうも性に合わない。所詮庶民なんてそんな物だと思う。

「嫌…っ!嫌です!私帰りませんから!絶対に嫌です!」
「ご両親が心配しますよ?駄々こねていないで戻りましょう,香玖夜さん。」
「嫌です!誰か――!!誰か助けて!!誘拐犯―――!!」

いやいやいやいや!どう見ても面倒事だろ!どっきり?!撮影?!マジだとしても悪いけど無視無視…。

「助けて――!!」

無理無理、無理だって…。

「さ、早く行きますよ。」
「おい!あんた…!」
「何やってんのよ!!この変態が~~!!」

物凄い音を立ててフロントガラスが粉々に飛び散った。ふと横を見るとレンチを持った女が息を切らせている。まさかこの子がやったのか…?と言うか…。何故レンチ?!しかも業務用サイズ!!

「何してんだこのガキ供!!」
「社長!!大丈夫ですか!?社長!!」
「あれ?…あ、いっけな~い!バッグと間違えちゃった…。ごめんなさ~い…。」

普通間違えねぇよ!バッグでもヤバイだろ!そもそもレンチ持ち歩くなよ!頭にツッコミが色々と出て来るが敢えて言わない。ん?ガキ供?もしかして、もしかしなくても俺の連れだと思われてる?!状況把握に戸惑っていると、さっき迄騒いでいた女が隙を突いて走り出した。…ここで逃げますか、そうですか、そうですよね…。

「…待ちなさい!」
「えっ?!ちょ…!!」
「待って~大丈夫~?」
「両方捕まえろ!!」

何で朝っぱらから走らなきゃならないんだ!もう俺この所踏んだり蹴ったりじゃないか?木徒は変な奴に持ってかれるし、堅物の翡翠は何かあのアイドルと良い感じだったみたいだし、バットは…いつも結構女とっかえひっかえだし…何かもうイライラして来たな、何で俺がこんな目に!?

「だ―――っ!!もう何なんだよ!!大体お前のせいだぞ!!」
「えぇ~~~っ!!か弱い女の子に責任押し付けるの~?!酷~い!!私悪くないもん!!」
「フロント粉砕しといてか弱いとか言うな!!バカ!!」
「か弱いもん!見てよ、この折れそうな細腕…これでも…。」
「良いから走れ!バカ女!」
「またバカって言った~~!!」

大声で文句を言いながら往来を全力疾走。正直バカ丸出しだと思うが止まると絶対俺が弁償させられそうな気がするし…。

「きゃあっ?!」
「うわっ?!」
「ふぎゃっ?!」

良し!ぶつかる寸前で何とか回避!俺までぶつかったらそれこそ漫画の世界…。セーフ、俺。密かにガッツポーズ。

「工音使土?何やってんだ?楽しそうだな。」
「楽しくねぇよ!…って、あんたかよ…。」

何故闇月羽鉦…眼鏡の方じゃないのはせめてもの救いだろうか?どっちにしろ力が抜ける…。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -54.踏んだり蹴ったり-

彼は不運と言う設定は無い筈なんだが…

閲覧数:134

投稿日:2010/06/18 21:56:35

文字数:1,176文字

カテゴリ:小説

  • コメント1

  • 関連動画0

  • 門音

    門音

    ご意見・ご感想

    いいんです。こいつはそもそも、私から創られた時点で不運でしょうから。
    …30くらいキャラクターを考えたら、性格だけでなく容姿も被る奴が出てくるんですよね…
    その結果、シドにあんな残念な設定を付けざるを得なかったというw←
    なので、必然と言えば必然なのでしょうww

    2010/06/18 22:21:40

ブクマつながり

もっと見る

クリップボードにコピーしました