振り返った瞬間、アームが飛び散る様に剥がれ落ち、黒いBSがその場に崩れ落ちた。

「…お前…!レンチ女!何で…?!」
「全ては奇跡の名の下に…。」
「36点の多重間接型構造、重接続ポイントは両肩、解体ポイントは鎖骨点による
 交差接続…合ってる?!」
「正解だ!」

地面を蹴るタイミングはほぼ同じ、なら勝敗を決めるのは…。

「ごぷっ…!」
「レンチの長さ…なんてな。」
「全ては…き…せきの…。」
「寝てろクソ猿!」

どうやら2人だけだったらしく辺りは静かになった。まさか短期間であんなサイコな奴何体も相手にする羽目になるとは…。

「ふにゃあああ~~…。何なのよこいつ等…。」
「【MEM】研究所の新装備だ。多分『処刑派』の奴等だろう。」
「何言ってんのよ?【MEM】は医療機関なんでしょ?こんな兵器とか開発する訳
 無いじゃない。大方こいつ等もテロ集団の【TABOO】に決まってるわ。」
「…ま、そう思うならそれで良いんじゃね?じゃあな、助かった。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」

こう言う好奇心強そうな奴は厄介なんだ、下手に首を突っ込めば仲間だと思われ今みたいに巻き込む可能性だって出て来る。関わらない方がお互いの為だ。余計なトラブルの種にもなりそうだし…。

「待ちなさいよ!」
「いっ!……ってぇ~~~~!!ドライバーを投げるな!バカ女!殺す気か!」
「バカじゃない!りんご!ねぇさっきの奴本当に【MEM】の物なの?断言したなら
 何か知ってるんでしょ?」
「…大体お前何で此処戻って来てんだよ!逃げろって言っただろ!」
「あ、危ないと思ったから…!現にピンチっぽかったじゃん!」
「迷惑なんだよ!」
「ひゃっ!」

レンチ女は怯えたのか両手で頭をガードした。しまった、少し言い過ぎたか…罪悪感が…。いや、しかしここで引き下がらせないと絶対まずい事になりそうだしなぁ…。

「教えてくれなきゃこの携帯バラッバラに分解するから…!」
「いぃっ?!バッ…!お前…!返せ!」
「嫌!教えてくれなきゃはんだ接合一本単位まで分解してやるんだから!」
「遊びじゃないんだぞ!返せ!」
「あの爆破のせいでネムリはBSになったんだから!!犯人が居るなら絶対許さない!!」
「ネムリ…?」
「お願い…!教えて…!」

目に一杯溜まった涙が、今零れた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

BeastSyndrome -59.ドライバーと毒りんご-

投げちゃダメです。泣かせちゃダメです。
どっちも責任取りなさい。

閲覧数:153

投稿日:2010/06/19 18:28:19

文字数:976文字

カテゴリ:小説

ブクマつながり

もっと見る

クリップボードにコピーしました