＊次の土曜日＊


ついに三人目のグミと会う日がやってきた。この日を複雑な思いで待っていた。楽しみでもあり、胸が締め付けられるようでもあった。それでも、二番目のグミを見た時、俺は少しだが彼女に惹かれていた。



「ぐううううみいいいいいやああああああああああ！！！！」








【私（君）の中の】十面相Ⅱ【住人は】







・・・そう叫びながらグミがやってきた。正確に言うと突進してきた。このままいくと突進事故になりかねない・・・ので、俺は自慢の運動スキルを発揮。見事にグミの突進から避難した。


「・・・おはよおおおおお！」


俺がヒラリと避けたのもつかの間、グミは俺に向かって大声で挨拶をしてきた。今日のグミはとてつもなくテンションが高い。三番目は陽気っ子、と。これ、予想な、予想。


「よ、よぉ、元気か？」


「うんっ!!　元気だよっ!!」


俺はこのテンションについていけそうにない・・・。　それでも会話は続けたい。


「行きたいとことかあるか？」


「うーん...どこでもいいよっ！」


「じゃあ、水族館でいいか？」


「グミヤがいいなら!!」


おぉ・・・三番目は素直、っと。　なんとも照れるようなことを言ってくれるじゃないか。それに、おとなしくて、暗めな二番目とは正反対だ。　まぁ、俺とグミはそれから、色々なところへ行ったわけだが。
結果を言おう。とにかく明るい。例えば、水族館でイルカショーを見て、



「おぉおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」


・・・と、これまでに見た事がないくらい興奮していた。次に行った、遊園地では、



「やっふうううううううううううううういいいい!!」


・・・と、コーヒーカップを回しまくっていた。　あれにはさすがに目が回った。とにかく陽気で、遠慮をしない。つまり、裏表がないのだ。ただ、少しばかり、陽気すぎるのが欠点だ。なにをするのもテンションが高い。ちなみに俺が一番命の危険にさらされたのが、このカフェに戻ってくる前に行った、映画館で、ホラー映画を見た時だった。このグミは意外にホラー系が苦手らしい。「バ●オ●ザ●ド」を見たのだが・・・。ついにこの映画の醍醐味、ゾンビが出てくるあたりで、


「うぎゃあああああああああああああああ」


と、他の客に迷惑な騒音で叫びまくり、さらには、俺の首をつかみ、首を絞めてきた。


「・・・！？　ギブギブギブ・・・」


・・・もう少しで俺の呼吸なるものが止まるところだった。あぁ、恐ろしい。そして俺は1つ学んだ。『三番目とは二度とホラー映画は見ない』と。さて、その後のカフェでは、


「楽しかったねぇ！」


笑顔でグミがそう言い、


「・・・そうだな。」


俺はそれに、疲労顔で答えた。疲れた・・・。それでも楽しかったからよかったのだが。ただ、これだけは言っておかないといけない。


「俺は―――」


一番目にも、二番目にも言った言葉。三番目はどういう反応をするのだろうか・・・？


「・・・そっかぁ。　でも、待つから！」


悲しそうな顔をしたのも一瞬、笑顔でグミはそう言った。　やっぱり三番目は明るかった。


「お、おう！　待っててくれっ！」


つられて俺も明るく返す。明るいグミに初めて助けられた。


「じゃあねっ！　ばいばいっ!!」


グミはそういうと帰り出した。　ん・・・？　あぁ、言い忘れていた事があった。俺は去って行く、グミの背中に、


「四番目に土曜にカフェって言っといてくれ!!」


俺がそう言った時にグミはすでにその場から立ち去ろうとしていたが、俺はグミに聞こえた事を願った。



四番目はどんなグミなのだろう・・・今のところ、俺の脳内メモによると・・・



一番目・・・俺に告白をしてきたグミ。通常のグミ。


二番目・・・おとなしい。ネガティブ。


三番目・・・陽気っ子。明るすぎる。



となっている。さて、土曜日を楽しみに待とうじゃないか。