メイコとカイトが目の前で楽しそうに楽譜を見ている。
そんな二人を眺めながら、俺は今まで黙っていた言葉を声にした。
「俺さ――実はカイメイ派なんだよね」
穏やかな時間は、一瞬で気まずい沈黙に包まれた。
「はぁ!?」
「え、……え!?」
メイコは顔を赤くして、持っていた楽譜をぐしゃりと握り潰した。
ああ、せっかくカイメイで歌えるように用意したのに……。
カイトはすぐには理解できていなかったようだが、言葉の意味を読み取った瞬間赤面した。
可愛いよな、こいつら。
「ちょ、何言ってんの!?」
「そ、そうですよ! 今までそんなこと……っ」
言ってなかったじゃないか、って?
「ああ、うん。黙ってた。言って、変に二人の関係が壊れてもやだし」
さらっと俺が告げるとカイトはメイコの顔を一度だけ伺い、視線を俺に戻した。
カイトはすぐさま俺に詰め寄ると、顔を赤くしたまま(軽く涙が浮かんでいるようにも見える)俺の肩を掴んで抗議しに来た。
「それを、なんで今言ったんですか!?」
「なんとなく」
「マスター!?」
必死か。カイトに掴まれている肩が痛い。
「ちょ、落ち着け。つーか、そんなに取り乱すようなこと言ったか?」
「言いました!」
「何を?」
「俺は、マスターが好きなんです! そりゃ、めーちゃんも好きですけど!」
カイトは俺の肩を掴んだまま、真剣なまなざしで俺に告げる。
ちょ、待てまて。おかしいだろ。
なんか今、話が全然違う方に飛んだよな?
「はぁ? 何言い出すのよ。私だってマスターのことが好きなのよ!」
さっきまで黙っていたメイコが痺れを切らしたように、カイトに食いついた。
カイトは顔だけ振り向いてメイコを見る。
えええええ?
何この状況。
「てゆーか、マスターから離れなさいよ。痛がってるじゃない」
「あ、すみません」
カイトはおとなしく肩を離してくれたが、そのまま抱きついてきやがった。
同じくらいの背丈。人間ではない(VOCALOID)と言っても、男だ。
ちょ、ほんと嬉しくない。
「何、抱きついてんのよ。さっさと離れなさいよ」
顔はカイトでよく見えないが、イラッとしたメイコの声が耳に痛い。
いや、だから……どうしてこうなった?
俺、カイメイが好きだって言っただけじゃん……。
「やだ!」
そう言って、俺の後ろに回り込み再び抱きしめてきたカイト。
メイコに引き離されたくないということなのだろうが……お前、俺を盾にしてるよな?
「オマっ、カイト! 首に手を回すな!」
首に巻きつくカイトの腕。
そろそろ本気でメイコが怖い。
メイコの矛先がこちらに向く前に、力の限り振りほどこうと試みた。
結論、人間が機械に敵うわけねーだろ!
「はーなーれ~なーさーい~!」
「あ、こら! メイコもカイトを引っ張るな!」
意地になった二人には俺の声が届かないらしい。
がっちり俺(というか俺の首)を抱きしめるカイトをメイコは引っ張る形で引きはがそうとしたのだ。
ちょ! 他に方法あったろ!?
「ちょ、首締まっ……て……ぐっ!」
(マスター、どうしたの?)
(なんかすっごい疲れてる?)
(リン、レン)
(何?)
(ん?)
(……メイコは怒らせちゃダメだぞ)
(当たり前じゃん)
(当たり前だろ)
(マスター、メイコ姉に怒られちゃったの? よしよし)
(後で俺も一緒にメイコ姉に謝ってあげるから、元気出しなよ)
(リン、レン。……ありがとな)
うちのボカロ事情5
最後のマスターもう疲れて正直、双子の話なんて聞いてなかったりする。
二人の声にただ癒やされてたんだぜ! ずるいよな。
見るのも読むのもカイメイ派だけど、うちの子たちはただの仲良しなんだ。
双子は癒し。
そしてみんなマスターが大好きなんだ。
メイコもカイトもマスター好きだけど姉と兄だから我慢してたって話。
下がいなけりゃ喧嘩もするぜ!
メイコ「マスター。ごめんなさい」
カイト「マスター、すみませんでした」
マスター「いや、俺も……なんか、ごめん」
レン「どうなってんの?」
リン「さあ?」
カオス!w
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