「これ、パクリじゃんよ」
“アマガエルのフォギー”の絵を指さして、男の子が言う。
「あんたたち、人の作品に、ケチをつける気?」
女の人が、言い返す。

ここは、アート・ギャラリー(画廊)の「ゆうひ」。

何やら騒がしい声が、入り口の方でしたので、
絵を見ていたカイくんは、何かと思って振り向いた。
店に入ったところに、男の子がたむろしている。

3人連れの男の子の着ているTシャツには、“ミク・ドール”の絵がプリントされている。
バリエーションは違うが、3人ともおそろいだ。


●ケンカを止めに...入れない

ギャラリーの、絵の作者は、霧雨きょうこさん。
いま、お客の男の子たちに「パクリ」と言われ、
すごい剣幕で、怒っている。

カイくんはそれを見て、とまどった。
「どうしようか。ケンカを止めに入ろうか?」

いつもの彼なら、こんな時、まっ先に仲裁に入る。
でも、彼が迷っているのは...彼は、今、女装しているからだ。

オカマのような声で、自分がしゃしゃり出ても、その場がおさまるはずもない。


●ミクちゃんのファンが...

「どうやら、あの男の子たちは、ミクのファンのようだな」
男の子の胸には、ミクちゃんを描いた“ミク・ドール”がプリントされている。
それを見て、カイくんは思った。

グッズ・アーチストとして、そしてギャル社長として、いま人気のミクちゃん。
ミクちゃんは、カイくんの妹だ。
彼女に、熱心な男子のファンが増えていることを、彼は知っていた。

その“ミク・ドール”のパクリ、とウワサされている、ヒット商品。
それが、このギャラリーに展示している“アマガエルのフォギー”だ。


●あの女性に聞こうよ

マネをしたのか、偶然に似たのか。

きょう、カイくんは、女の人に化けて、作者の霧雨さんに近づき、
話をして、さり気なく確かめようとしたのだ。

そこに、思いがけないイザコザ。
ギャラリーの店長のモモちゃんも出てきて、
困った表情で、やりとりを見つめている。


すると、霧雨さんと言い合いをしていた男の子の一人が、
ふと、カイくんの方を見た。

「...あの女の人に、聞いてみよう。あのー、あなたはどう思います?」

彼は、カイくんの方に向かって歩いてくる。
「うわっ! ど、どうしようか」 (;゜⊿゜)ノ

(Part2に続く)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (112) ギャラリー・ゆうひの対決 (Part1)

予想外のところで、イザコザが起こってあわてることって、ありますね。

閲覧数:83

投稿日:2011/07/17 20:28:49

文字数:983文字

カテゴリ:小説

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    こんばんはtamaonionさん!
    ああ確かにありますね。予想していなかった事柄が絡んで「まずい何も考えていないまずいまずいまずい」みたいな状態。
    こういう要素を作品内で使うの良かったです! 予想外の事態にカイくんがどう対応するか、先を期待させられます。
    作品のこのテンポの良さと分かりやすさも良いですね。執筆おつかれさまです!

    2011/07/19 01:15:37

    • tamaonion

      tamaonion

      日枝学さん
      ありがとうございます!

      テンポの良さといってもらえて、うれしいです。

      書いているときも、乗って書いていると、
      予想外の展開の発想になったり...(笑)
      ごくたまにですが、そんなこともあります。

      緻密なアイデアで、進んでいくストーリーにも、とても惹かれるのですが、
      こんなスタンスのやり方も、楽しいかななんて思っています。

      またぜひ、感想を聞かせてください!

      2011/07/20 22:20:05

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