ゆっくりとした時間が流れる。
 鏡音リンは窓の外に目を向けた。飛行機雲。

 転校生。この時期に珍しい。
 そう思いながら、レンは柔らかな雰囲気を醸し出す少女が、教卓の横であわあわと自己紹介をしているのを見ていた。柔らかそうな大きなポニーテールと、少し垂れ気味の目元、スカイブルーの瞳が印象的な美少女である。
「よろしくお願いします」
 はっとして顔をあげると、今さっきまで自己紹介をしていた少女が、レンの隣に腰を下ろしていた。そういえば、この席、空いてたっけ。
 そんなことをレンが思っているうちに、転校生・レンカは椅子に座り、先生の話に耳を傾けていた…。

「リンちゃん! やっほーっ!」
 昼休み開始のチャイムが鳴り始めたのとほぼ同時に、リンの教室――二年A組のドアが開いて、リンの友人であるグミが手を振っていた。
「ぐーちゃん! 待ってて、今行くから!!」
 大きく言って、リンは鞄の中から一つ弁当箱を取り出すと、ドアのトコロで待っているグミの胸へとダイブした。するとグミはそれをさっと避ける。
「行こ!」
 転びかけたリンはこくりと頷いて、ばたばたとグミの後を追って走り始めた。二人の少女が廊下を走っているだけとは思えない足音を立てながら、隣の教室の前を突っ切ろうとしたとき、ガラッとドアが開いて、リンによくにた少年が顔を出した。レンである。
「廊下は走るな。弁当崩れる」
 すると、更にもう一つ先の教室から、
「見たくもないパンチラ見せられるこっちの身にもなれっつーの」
 と、別の少年が顔を出した。
「何! グミヤ、あたしのパンツの何処が嫌だっての!? 今日はイチゴだよ!?」
「見せんな!!!」
 怒鳴りながら、グミヤはまだパンツを見せているグミを近くにあった英和辞典の角で殴った。
「いったーい」
 文句を言いながら、グミはへらへと笑っている。
 レンに呼び止められたリンのほうは、綿密な『鏡音レンの制服着こなしチェック』を受けていた。スカートが短いだの、胸元が開きすぎだのと煩いが、リンは甘んじてレンのチェックを受けている。
 満足いくまでピッチリとコーディネートを済ませてしまうと、レンはリンの腹の辺りをぽんとたたいた。OKの合図である。
「ぐーちゃん、行こ!」
「おっ、そうだね。いこいこ。グミヤのバーカ!」
「んだと!」
 身を乗り出して抗議しかけたグミヤだったが、すぐにリンとグミの後姿は遠くなり、グミヤは顔を引っ込めた。

 帰り道、昼休みの四人組で、とぼとぼ歩いていた。
「そーいえばさー」
 ふと、リンが言った。隣を歩いていたレンが顔をあげる。
「ウチのクラス、転校生きたんだよねー」
「へぇ」
 軽くレンが相槌を打ったが、それよりも大きな反応を示すものがいて、レンの反応はかき消されてしまった。
「へーっ! イケメンだった?」
「まあ、イケメンだったけどー」
 レンがピク、と反応を示した。
「ちょっと強面って感じだった。とっつきにくそうで…」
「でも強面ってさ、実はギャップがあったりして、ポイント高くない?」
「それはあるかも!」
 リンがころりと態度を翻した。
 また、レンが反応を示してしまう。次第にリンとの距離が離れていった。フォローするように、少し後ろを離れていたグミヤがレンのほうを見ようともしないで、
「おい、落ち着けよ。別にあれがそのまま好みに繋がるわけじゃないし」
「わかってる。俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい…」
「落ち着け!!」

 自己暗示をやめ、落ち着いたレンは、リンとグミの話に入っていった。
「俺のクラスにも来たよ」
「転校生? イケメン?」
「いや、女の子。かわいい感じの」
 自然に話題に入り込むことができたが、別の女のこの話を切り出してしまったことで、最早自己嫌悪。
「友達になりたいなぁ」
 ぽうっとして言ったリンの横顔を見て、レンはゆっくりと、そうだね、とだけ言った。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

Some First Loves 1

こんばんは、リオンです。
お久しぶりです、ご無沙汰してます!
久しぶりの新シリーズになります。
ピアプロやってる友人に軽い気持ちで
「メッセくれたら新しいの出すわ」
って言ったら、本当にメッセ来たので今急いで書きました。
今回のシリーズ、楽しんでいただけると幸いです!!

閲覧数:603

投稿日:2011/12/01 22:52:39

文字数:1,658文字

カテゴリ:小説

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  • 美里

    美里

    ご意見・ご感想

    こんにちわ、美里です。

    リオンさんの新しい小説をしばらく楽しみにしてて、今日生きててよかったです。
    しかも、かぐみねだと…!これはブクマすべき作品じゃぁありませんか!
    リンレンとリトレカとミヤグミは最強です。

    続き頑張ってください!あと、最近寒くなってきてるのでお体に気をつけてください!

    2011/12/02 20:22:20

    • リオン

      リオン

      こんばんは、メッセありがとうございます!

      生きててよかっただなんて…もう恐れ多すぎます! もっと軽く思ってくれていいんですよ!?
      かぐみね可愛いですよね! 信者多くてよかったです^^
      その三組の可愛さったらもう! 破壊力最強ですよね!(笑

      続きも頑張りますので、よろしくお願いします。美里さんもお体にお気をつけて^^

      2011/12/02 20:33:20

  • アストリア@生きてるよ

    コメ1げとー!!←
    こんにちは、アストリアです^^

    リオンさんの新しい小説楽しみにしてましたー!!
    かぐみねの4人は私大好きなので、今回も楽しく読ませて貰ってます^^

    頑張ってください!続き楽しみにしてます!それでわ!


    レン「俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい……」
      「うん、その通りだと思うよb」

    2011/12/01 23:46:36

    • リオン

      リオン

      こんにちは、返信遅くなってすみません><

      頭の中でぼんやり考えていたネタなので、楽しんでいただけると幸いです!
      私もかぐみね大好きです! 本当にかわいいですよね^^

      一生懸命がんばらせていただきます! 最後までお付き合いお願いします^^

      レン「俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい、俺は格好いい…」
      リン「レン何やってるのー?」
      レン ハッ!(`ロ´:)

      2011/12/02 16:08:49

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