モモ「アッー!?」


カイト「な…何だ?」


モモ「キャーッ!!イ…イヤッー!!」


カイト「モモ、何があった!?」


モモ「¨G¨が出たんですよ¨G¨が!!」


カイト「…G?一体何なんだそれは?」


ルナ「¨ゴリラ¨の事ではなくて?」


カイト「ここ動物園じゃねーぞ!?」


メイコ「¨ジャイアン¨の事じゃないかしら?」


カイト「ド○えもんでも無いからな!?」


レン「まさかの¨ジョニー・デップ¨!?」


カイト「ないない…しかもそれは¨G¨じゃなくて¨J¨だよ……」




3月28日。
春の息吹が感じられるようになってきたこの日、MARTの朝はとんだ大騒ぎになっていた。


お分かりだと思いますが、Gとは¨ゴキさん¨の事です…え?ゴキブリじゃないかって?いいえ、ゴキさんです。敬意を込めて。


そんなこんなで、MARTの台所や居間にすぐさま「ゴキブリホイホイ」が設置された。




カイト「よし、これで大丈夫だ。しかしこの季節にゴキブリが出るなんてな…まだ3月だっていうのに。」


メイコ「もう…朝から驚いたわ。」


ルナ「残念ですわ…てっきりド○キーコングでも出たのかと、期待しましたのに……」


カイト「いい加減ゴリラから離れろって…」




リンとレンの2人もゴキブリホイホイの設置に向かった。場所は冷蔵庫の上。リンは椅子を使ってゴキブリホイホイを置いた。




レン「リンちゃん、もう終わった?」


リン「うん。置けるだけ置いてみたよ。でもこの季節はゴキブリはよく出たりするの?」


レン「うーん、普段なら夏ぐらいにしか出ないけど今年は違うみたいだね。それに毎日みんなで掃除してるから、清潔なはずなんだけど…」


リン「そうだよね…あっ、そう言えば知ってる?ゴキブリって3億年前から姿を変えずに生き続けてるんだよ。ヒトの生まれる前からずっと生きてるって、すごいよね。」


レン「へぇ、3億年も前から…僕たちアンドロイドって、まだ作られてから数十年しか経ってないんだよね?」


リン「うん。ヒトでもロボットでもないのがアンドロイドだって、ルカさんが言ってたんだけど…そういえば、最初のアンドロイドってどうやって生まれたのかな?」


レン「どうなんだろう、でも何のために……あっ、リンちゃん手の上に!!」


リン「…え?な…なんじゃこりゃあ!?」




リンの手の上には特大のゴキブリが堂々と居座っていた。レンはゴキブリより、リンのオッサン声と化した叫びにビビった。




レン「あ、危ない!リンちゃん落ちるって!」


リン「うおーっ!?なんじゃこりゃあ!?」


レン「そ、そのオッサン口調もどうにかして!」


リン「お、落ちる…あーっ!」


レン「うわっ!?」




¨ドシャーン!¨




リン「ああっ…」


レン「いててて…リンちゃん大丈夫…っ!?」




どこかのアニメで見ただろうか、椅子から落ちたら男女が馬乗りになる展開。正に今、その状態である。




レン(…うおっ!?何この体勢…!)


リン「レ、レン君大丈夫!?」




リンはすぐレンの上からどいて、心配そうな目でレンを見ていた。それが余計、レンの顔を赤くしてしまう。




レン「う…うん、僕は大丈夫だけど…リンちゃんこそ大丈夫?」


リン「私は大丈夫だよ。ごめんね、あんな大きいゴキブリがいてびっくりしちゃって…」


レン「いいよいいよ、リンちゃんにケガがなくて本当によかった。」


リン「…あ!レン君、鼻血が出てるよ!」


レン「え、ええ!?」


リン「多分落ちる時に私の腕が当たったんだよ…横になって!ティッシュ取って来る!」


レン「あ、ありがとう…!」


リン「モモさーん!レン君が鼻血を出してしまって…」


モモ「どれどれ…レン君ティッシュよ。これで鼻を抑えて。」


レン「あ、ありがとうございます。」


モモ「よかった、症状は軽いみたいだよ。リンちゃんもゴキブリが出て驚いたから仕方なかっただろうけど、十分気をつけてね。」


リン「ごめんね、レン君…」


レン「う、うん…」


モモ「よしよし、私はまた台所で昼食の準備するから、また何かあったら呼んでね。」


リン「モモさん、ありがとうございました!」


モモ「どういたしまして♪」




モモは颯爽と2人を後にして去っていった。久し振りに、モモがしっかり者に見えた一瞬だった。




リン「…そういえばレン君、さっきのゴキブリって、どこに行ったのかな?」


レン「あ、確かさっき台所の方へいったような……」


リン・レン「…まさか!?」




そのまさかだった。




モモ「アッー!?」


カイト「な…何だ?」


モモ「キャーッ!!イ…イヤッー!!」


カイト「モモ、何があった!?」


モモ「¨G¨が出たんですよ¨G¨が!!」


ルナ「遂に出ましたわね、キングコング!」


カイト「だからゴリラは出ねぇって!」


メイコ「無限ループって恐いわね…」




そしてその夜。
ゴキブリ騒動が一段落したところで、MARTは夕食を迎えた。またいつものように自由時間が訪れたのだった。




リン「ふーっ、良いお湯でした♪ルナさんお先に入りましたー!」


ルナ「分かりましたわ……モモ!またメイコさんにお酒を飲まされてしまいましたわね…!?」


モモ「フフッ…フヘッ……ここで一曲行きましょうかぁ~☆」


ルナ「はいはい、気の済むまで聞いてあげますわよ…」




¨核融合炉にさ 飛び込んでみたいと 思う~♪¨




レン「リンちゃん、携帯の電話が鳴ってるよ!」


リン「はいは~い!」




レンは出会ってからずっと、リンの溌剌さに惹かれていた。そのポジティブさが、自然にレンに笑顔を与えていたからだ。




リン「もしもし?」


ルカ「リンちゃん、私よ。」


リン「ルカさん!」


ルカ「まだ1ヶ月も経ってないのに、とても久しぶりな感じがするわ。」


リン「ルカさん、そっちの方はどうですか?」


ルカ「みんな元気にしてるわ。でもリンちゃんがいなくなってから、少し寂しくなったわ…リンちゃん、MART本部での生活はどう?」


リン「とても充実してますよ!皆さんとても優しいし親切だし…でも仕事がまだ覚えられなくて……」


ルカ「焦らなくてもいいのよ。まだ来て少ししか経ってないんだから。カイト総長は優しい人だから、困ったことがあれば何でも話しなさい。またまだ大変な事はあるかもしれないけど、少しずつ頑張るのよ。私もMART北部のみんなも応援してるから!」


リン「はい!ありがとうございます!」




電話の相手はMART北部支局長・巡音ルカ。彼女もまたMARTの主要メンバーなのてある。カイトとは旧来からの親友であり、交流も深い。




リン「…ルカさん、また会いに行きますね!」


ルカ「うん、楽しみにしてるわ。元気でね!」


リン「お休みなさい!」


ルカ「またね、リンちゃん。」


リン(私も頑張らなくっちゃ!)


レン「リンちゃん、サタデームービーが始まるよ!」


リン「あ、今日は土曜日だったね!今回は何やるのかな?」


レン「えっと、確か¨魔法使いの卵¨だったよ!」


リン「ホントに!?私、本も映画も全部見たんだよ!すっごく面白いから観ようよ!」


レン「うん!」




午後10時。
魔法使いの卵を見終えた2人は、いつものように就寝時間を迎えた。だが今夜は何やら雰囲気がおかしい。




レン(な…何で僕はリンちゃんと同じ布団で寝てるんだ…!?)


リン「あったかーい!レン君と一緒だと気持ち良いね!」


レン(く、くぅ…)


リン「私ね、ここのMARTに来る前は寝る時にみんな1つの布団に固まって、おしくらまんじゅうみたいに寝てたの。」


レン「そうなんだ…」


リン「でもみんな寝癖がすっごく悪いから、次の日の朝が大変なの。部屋の中はぐしゃぐしゃだし、寝返りで隣の部屋まで転がっていた子もいたんだよ!ふふっ、思い出すと懐かしいなぁ…」


レン「カイトさんだったら、間違いなく困り果ててるな。」


リン「今度里帰りの日ができたら、レン君もMARTの北部支局に遊びに来てよ!ルカさんが、またレン君に会いたいって。」


レン「本当に?それなら行かないとね!」


リン「楽しみだね。」


レン(リンちゃんの顔が近いっ…!)




それもこれも、モモの仕組んだともとれる失敗から、こうなってしまった。



「ごめんね2人とも…干してた布団が通り雨でみんなずぶ濡れになっちゃって…だから今晩は1つの布団で仲良く寝てね!それじゃあ良い夜を~☆」



レン(モモさん…もしかして狙った…!?)


リン「たまにはこんなのも悪くないよね。こうやって手を握って…」


レン(!?)


リン「やだレン君、手汗びっしょり!もしかして熱い?顔も何だか赤いし…」


レン「そ、そんな事ないよ!だってリンちゃんがこんなにも近い…から…!」


リン「あっ…くっつきすぎだよね、ごめんね……」




そういって、リンは少しだけ離れた。




レン「リンちゃん…!」


リン「うん…?」


レン「ありがとう。あったかいよ、リンちゃんの手…」


リン「くすっ…熱すぎるよ、レン君の手……でも放したら冷たくなっちゃうから放さない。」


レン「僕も同じだよ…ねぇ、リンちゃん…?」


リン「何…?」


レン「これからも…ずっとよろしくね!」


リン「ふふっ、こちらこそ♪」




反則なほど仲良く密着した2人は、温かい温もりに包まれて、次の日を迎えたのだった。




ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

「VOCALOID HEARTS」~第12話・イエローカード

ピアプロの皆さん、今晩は!今回の鏡音回にアンケートの票を下さったMAMIさん、mikoさん本当にありがとうございました!

次回はいよいよ日枝学さんに票を頂いたウィスパーボイス刑事・雪歌ユフと上司・氷山キヨテルの捜査日課を執筆したいと思います!
第13話、皆さんまた見に来てやって下さい!

追伸:メッセージのお返事がまた遅れてしまって本当にすみません…先程書き終えたので、見て下さい!

追伸2:作中にmikoさんの執筆されている小説「魔法使いの卵」を登場させて頂きました!

↓mikoさん作「魔法使いの卵」へはこちら!
http://piapro.jp/t/qkN8

閲覧数:625

投稿日:2013/01/27 20:04:27

文字数:4,078文字

カテゴリ:小説

  • コメント4

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  • 日枝学

    日枝学

    ご意見・ご感想

    Gうわああああああああかと思っていたらいつの間にかニヤニヤする展開になっていた! なんか面白い! ――と思っていたらその後がもっとニヤニヤする展開だった! 何これすごく甘い! 自分の隣でそういう展開が繰り広げられていたら黙って出て行くレベル!(※おい SUGEEEEEE!!!!(※おい
    というわけで読みました! 良かったです!
    あ、次ユフとキヨテルの話核のですね。楽しみにしてます! ファイトです!

    2011/08/14 20:42:13

    • オレアリア

      オレアリア

      日枝楽さん今晩は!
      今回もメッセージありがとうございます!

      Gうあああ→鏡音ラブムード→更なるハッテn
      といった感じの構成にしました!トラウマGさんには一役買って頂いたり←

      僕も隣でこんな展開が起こっていたら黙って出て行くレベルでs(ry
      ベタな内容なのに甘く感じて頂いて嬉しいです!!

      次は日枝学さんから票を下さったユフ刑事の回を執筆したいと思います!
      また良かったら見に来てやって下さい!

      2011/08/16 23:47:00

  • 瓶底眼鏡

    瓶底眼鏡

    ご意見・ご感想

    お邪魔です!気付くのが遅れすみません!!

    G……奴は恐るべき存在だ……あの素早い動きに翻弄されていると、いつの間にか懐に侵入され、そして、飛ぶのだ……←

    それはともかく!レン、お主もやりおるなぁ……嫁が出来たんだから浮気は駄目だよ!!←

    そして、さり気初登場のルカ姉様。これからの活躍はあるのか!?

    2011/08/14 16:15:45

    • オレアリア

      オレアリア

      びんさん今晩は!メッセージありがとうございます!
      いえいえ、僕もこの馬鹿みたいな返信遅れのスローペースな奴ですので←いつも読んで下さって本当に嬉しいです!!

      Gさんの移動速度は恐らく昆虫界屈指のスピードですよね…あれには何度翻弄された事かw

      しかも時たま低空飛行も行うだとか!直に見た事は無いのですが、あの恐怖の黒いフォルムがこれは何とも素晴らしい精神攻撃だ…!

      これでリンちゃんはレン君の嫁になった訳でめでたしめでたし…ん?まだそこまで行ってないですよっ!?
      でも鏡音さんだから良いですよね、細かい事は!←

      ルカさんも本当にさり気なく初登場して貰いましたww
      更にこれから彼女にも活躍して頂く予定です!

      2011/08/16 23:38:37

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    今晩は! 早速拝読させていただきました。

    しっっっっっっしゅんき~~~~♪♪♪

    さすが恋愛担当のリンちゃんとレン君、羨ましいぞ!!!! こういう設定が、リンレンが愛される理由なのでしょうね♪ 読んでいて、久々に、ぽっ、っとなってしまいました! いやー青い春だねぇ~♪

    さて、ラブラブの二人を導いたGさんですが、リアル今年は暑すぎるのか、例年大群で襲ってくるのに、今年はほとんどいないです。というかしぶといGすら生きるのが難しいほど、今年は暑いのかも…

    次回も楽しみにしております~♪

    P.S コンクール銀賞、おめでとうございます! こういうの嬉しいですよね!

    ではでは~♪

    2011/08/12 20:38:14

    • オレアリア

      オレアリア

      enarinさん今晩は!
      いつもメッセージを寄せて下さってありがとうございます!!

      リンちゃんレン君はの2人は「VOCALOID HEARTS」の恋愛担当として美味しくいちゃって貰ってますww

      2人とも14歳の思春期と言うキャラクターとして愛される理由が凄く分かります。最近僕も鏡音さんに心を奪われつつありまして←

      そんなとんでも無いです!この話は青春紛いの奴が書いた妄(ry

      Gさんについて此方は不思議と良く出るんですよ…(泣)
      ただどうしてかカメムシ・ムカデ・カマドフマなんかはこれっぽっちも見ないんです。何故なんでしょうか…?

      コンクールは何ヶ月もかけてきた成果だったので、舞台で力を発揮できて嬉しかったです!
      ありがとうございます!

      また良かったら13話も見に来てやって下さい!

      2011/08/16 23:00:13

  • ミル

    ミル

    ご意見・ご感想

    オセロットさんおせばんは!
    久しぶりにこの挨拶ができて嬉しいですw

    これこそがまさに"いちゃみね"ですね!!
    中盤から後半にかけて終始2828のゴキブリ物語……じゃなかった俺得物語でした!
    いや~すごく美味しかったです←

    ルナ様のゴリラへの感心自重www
    流石のカイト兄貴もこれには呆れるか…w

    ナイスリンレン小説でした!次回のユフ刑事編も楽しみにしてますね!

    2011/08/12 18:49:31

    • オレアリア

      オレアリア

      ミル兵長、おせばんは!
      おお!この挨拶を使って頂けて嬉しいですww

      いちゃみね目指して頑張ってみたんですけど、ちょっとベタすぎたかな…?
      ともあれゴキブリ小説…ではなくて2828小説を楽しんで頂けて良かったです!

      ルナさんについては意味不なキャラになっちゃいましたww
      許してや、天音さん…

      はい!ユフ刑事編も頑張りたいと思います!

      2011/08/16 18:54:56

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