<母香炉女学園の謎! MEIKO vs GUMI! 第9話 弾は一発あれば十分だ>

(2010年4月11日(4日目)・夜・時計塔最上階・造成の間)

ダーク・マター:グルルルル・・・・
テト:どうした?、まだ“策”はまとまらないのか?。
MEIKO:い、今考えている所よ!。もうちょっと待ってよ!。
テト:ふむ。しかし、このダーク・マターの方も、きちんと待って飛んでいるだけなのか?。ヒーロー戦隊モノのお約束じゃあるまいし・・・。おい人間、こいつ、どうやら“自律行動”できないらしいぞ。
MEIKO:そ、そうか!。それならまだ勝機があるわ!。
テト:いや、その“勝機”を見いだす作戦は封じさせて貰う。“一方的にタコ殴りにして勝つ”なんぞ、策でもなんでもないし、つまらん。こいつのマスターは私が勤めさせて貰う。

テトは両手をダーク・マターの頭にかざし、なにやら呟いていた。

テト:・・・・オマエの能力、全て理解した。

テトは両手を元に戻すと、MEIKO達の方を振り向いた。

テト:こいつの制御は完璧にできるようになった。こいつに命令を下す代わりに、私からは直接“攻撃も補助も回復もしない”ので安心しろ。それに・・・、

テトは今度は突然右手を上げた。

MEIKO:!

テト:クリムゾンフレア!!!!。
ダーク・マター:ゴファ!!!!!

ダーク・マターは巨大な火球を1つ吐き出した!。火球は一直線にMEIKOに向かって飛んでいった!。

MEIKO:う、うわ!!!!。

???:絶対零度!!

ペキペキペキ、ゴトン

どこからか飛んできた白い冷気を帯びた突風が火球を包み、瞬時に凍らせて、冷たい岩石に変えた。岩石は床に落ちて転がっていった。

MEIKO:!!!!、カ、カイ子さん!!。

カイ子はMEIKOの方へ左手をつきだしていた。先ほどの“絶対零度”は彼女のスキルだった。

カイ子:ま、間に合った・・・・・。

レン子:よかった・・・
リン:遅れてごめん!。
M・GUMI:待たせた!
学歩:すまぬ!。
ルカ:ご、ごめんね!。
ミク:す、すみません。

MEIKO、GUMI:み、みんな・・・・

M・GUMI:各フロアの上の階段に封印が施されていて、上へ進めなかったのよ。
学歩:自分の上の階のボスが倒されることで解除される仕組みになっていたのだ。

ルカ:はぁはぁ・・こ、この下の階段の封印は、学園長がそいつに変わることで解除されたんだと思うわ。
ミク:あ、あなた達の声と音は聞こえていたから、だ、だいたいの事情は把握しています。
ルカ:ミクちゃん、気が付いたばかりなんだから、安静にしていて。
ミク:ルカさんこそ、重傷でしょ。

レン子:とにかく、ルカさんとミクさんの二人は、そこの壁にもたれかかって、後衛に廻っていてください。
ルカ:ごめん、そうさせて貰うわ。
ミク:すいません。

MEIKO:みんなあいつらの撃破で大変だったみたいなのに、終着点がこんな修羅場で・・・ごめん。
GUMI:最悪の状況になっちゃったのよ。
カイ子:うん、それは理解できるよ。
M・GUMI:それより、まずやることがあるようね。
学歩:ああ。

M・GUMIは呆然と座っているネルの方へ、学歩は腰を抜かしているハクの方へ歩いていった。

M・GUMIと学歩はそれぞれの日本刀をネル、ハクに突きつけた。

M・GUMI:正直、学園長と同じくらいの罰を私たちから与えたいが、今はそんなことを言っている場合でない事は理解している。
学歩:もうわかると思うが、私達に強制的に協力してもらう。どのようなスキルを持っているか知らないが、自分で出来ると思う最前の事をやって、援護しろ。
M・GUMI:ミクさんだって、戦闘用でないのに、歌でルカさんを助けたそうだ。況や戦闘用マギカントであるオマエラが戦えない訳がないだろう。
ネル、ハク:は、はい。協力します。今度こそ絶対に裏切りません。
学歩:当然だ。

ネル:私はモノのサーチができます。コア宝石の位置もわかります。
ハク:私は“体力回復”が出来ます。でも“蘇生“は当然ですが出来ません。

MEIKO:・・・ちょっと複雑だけど、四の五の言っていられないから。頼むよ。
M・GUMI:正直、人間の私達ではどうしようもないような気がするから。

ネル、ハク:はい、わかりました。

テトはその光景を眺めながら、言葉を挟むことにした。

テト:そういうわけだ。おまえ達二人には、1体の人間、1体の愛玩用マギカント以外に、戦闘用マギカントという“仲間”が多数加わったわけだ。それだけいれば、十分に楽しませてくれるだろう。ダーク・マターの制御しか行わない私と、おまえ達、これなら“イーブン”と言ってもいいのではないか?。

MEIKO:力の均衡とか関係ないわ。“オマエを楽しませながら勝つこと”、それしか考えない!。
テト:よくわかっているではないか。なら、戦闘再開といこうか。
GUMI:今度はこちらがイニシアチブを握る!。
テト:面白い!。なら本格戦闘の挨拶をしなければいかんな。

テトは今度は腕で十字を切った。

テト:クロスフレア!
ダーク・マター:グオ!、グオオオ!。

ダーク・マターはその場でとどまりながら、今度は火炎を縦に吐いた後、横にも吐き、十字架型の火炎を飛ばしてきた!。今度は“弾”ではなく、もろに“炎”だった。

MEIKO:うわ!、これで挨拶なの!。
GUMI:回避!。

MEIKOとGUMIはとにかく回避に専念し、十字架の炎から遠ざかった。

カイ子:ブリザード!。

カイ子は腕を右から左になぎ払い、冷気の風を起こし、火炎を鎮めようとした、が、火炎の威力の方が強かった!。

カイ子:な!、あっちが上か!。

リン、レン子:波動障壁!。

リンとレン子は一緒に下から上に腕を払って、波動の壁を作った。風には弱かったのか、壁に当たった火炎は消えてしまった。

MEIKO、GUMI:ありがとう。
カイ子:助かった!。
リン:今度こそ“全員攻撃”しないと話にならないようね。

学歩:そういうことだ!。

学歩は高く飛び上がり、日本刀を構えてダーク・マターにつっこんでいった!。

テト:ほぉ、面白い。物理パワーも試してみるか。“テイルスタンピング!”

ダーク・マター:グオン!!!。

ダーク・マターはしっぽを前方へ振り、学歩をしっぽでたたき落とそうとした!。

学歩:斬り落とす!!。

ガキン!!

学歩:な!、固い!。

日本刀で斬りかかった学歩は、逆にはじき飛ばされて後ろの壁に激突した!。

ハク:ヒーリング!!。

ハクの白い波動が学歩を包み、学歩の傷は、幾分かは治療されたようだ。

学歩:す、すまぬ。くっ!、みんな!、あいつの表皮への物理攻撃は効かん!。たぶん、効果があるのは冷気だけかもしれん!。

テト:それはどうかな?。ブリザードブレス!。

ダーク・マターは思いっきり頭部を振り回し、白い冷気のブレスを吐き出した!。MEIKO達の方向に円弧状に広がる冷気!。

学歩:な!。火炎属性ではないのか!。

ルカ:火炎召還!。

ルカは後方の壁に寄りかかりながら、あらかじめ描いておいた魔法造成陣に、火炎を意味する言霊を速記し、ライターの炎をベースに火炎流を召還した!。

火炎流は冷気を飲み込み、ダーク・マターをも包んだが、どうやら本体に火炎属性、冷気属性、どちらもないらしく、ケロっとしていた。

ルカ:な・・・属性魔法すら効かない・・・・。
カイ子:確かに防御は出来ると思う。しかし、それではテトの心証を損ねてしまう・・・・。
MEIKO:結局、派手に立ち回れる効果のある攻撃を与えないと、だめってことね。
GUMI:ど、どうしましょう。私たちのハンドガンでは話にならないし・・・・。

テト:あらあら、データ取りの攻撃だから、今回はいいけど、むやみに“同じ攻撃”を繰り返すだけしか手がないのなら、ここを爆破して幕を引いてもいいんですよ。つまらないから。

ルカ:・・・ミクちゃん、“歌”って効果あると思う?。
ミク:今のターゲットは“自律行動できないダーク・マター”。思考とか感情がない相手では全く効果ないと思います。特に封印もないし。

MEIKO:・・・・そろそろ見つかった?、ネルちゃん?。
ネル:今の攻撃でようやっと全体の表面スキャンが出来たので、サーチしました。コア宝石の反応は・・・さっきの造成で見たとおり“頭部”にあります。でも、表面に剥き出しにはなってません。内部です。
MEIKO:くっ、突き破れない表面に包まれた内部・・・・。困ったな・・・・。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

母香炉女学園の謎! MEIKO vs GUMI! 第9話 弾は一発あれば十分だ

☆オリジナル作品第5弾である、「母香炉女学園の謎! MEIKO vs GUMI!」の第9話です。

☆今回は、時計塔最上階でのダーク・マター戦+ラストバトル前です。。

☆ダーク・マター戦は結局は、テトとの知恵比べ戦となりました。

☆やっとこ勝ったというのに、MEIKOさんはいったいこれから何をしようとしているのでしょうか?。テトを奪い返す、最初のマギカントを倒す、果たして出来る事なのでしょうか?。

******

hata_hata様が、第1作目のきのこ研究所のイメージイラストを描いて下さいました!。まことに有り難う御座います!。
『「却下します!」』:http://piapro.jp/content/oqe6g94mutfez8ct

☆hata_hata様が、第2作目のきのこ商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『causality』:http://piapro.jp/content/c0ylmw2ir06mbhc5

☆nonta様も、同じく商店街のイメージイラストを描いて下さいました!。本当に有り難う御座います!。
『ようこそ!、きのこ駅前商店街へ!』:http://piapro.jp/content/dmwg3okh7vq1j8i1

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投稿日:2010/03/02 20:03:07

文字数:3,582文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    hata_hata様、こんにちは!

    > いやー・・・手に汗握りました

    はい。今回はシリアスアクションシーンでしたね。知略も少しありました。

    > 何という逆転劇!!

    はい。テトの言っているとおりですね。実際の所、力の差は歴然。人間の知恵を振り絞った作戦でした。

    > 「めーちゃん、やったぜ!」てばもんです。しびれる格好良さ♪。MEIKOさんはギャンブラーとしても

    まさにギャンブラーですね。残り1発をちゃんと計算に入れた上でのカケ。練習なんてしてないから、ぶっつけ本番です。最後にテトが言ったとおりに闇攻撃が来たから良かったです。

    > ネルとハクを裏切り者のままにしておかないのも良いですね。

    これは”大事な役回り”が彼女たちにあったこと、と、シナリオ原案で全然違う役だったことから来る”お詫び”でもあります。ハクさんはピンチを救う役だったんです~。

    > MEIKOさん、まだいきますかっ!!

    はい。これまでで公開情報0なので、この発言は、どう考えても無謀です。でもちゃんと”最終話で語られる根拠”がありますのでご安心を!。

    > 確かにテトを救えるモノなら・・・でも・・いや、しかし。

    正確には”寄生マギカントだが故、シナリオ上、テトを救う代わりに・・・・・”ってのがヒントです。本体を失っている最初のマギカントにとって、存在するためには”本体”が絶対必要です。ということは・・・・。

    > 次回は最終回になるのでしょうか?wktkして待っております!

    はい。次が最終話です。さっき文字カウントしたら11000オーバーしていたので、これから数回の修正を加えても、長めの話になってしまいそうです。

    ご閲覧、コメント、ありがとうございます!

    2009/06/10 09:55:16

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nai☆様、こんにちは!

    > 一仕事終わったので

    お疲れさまでした!。ごゆっくりされてくださいませ!。

    > いよいよラストバトル!?

    はい。ラストバトルです。というかゲームで言うなら、真のラスボスではなく、シナリオ上名前があがっている方のボス戦ですね。

    > そのようなギミックがあったんですね~。納得

    よかった~。これ、結構後付だったんです。でも、”各階のボス戦は選ばれた人物だけでやる”ってボスが言っていたので、つじつまは合ってますね。”助太刀禁止”です。

    > とてもラスボス?っぽいです。

    ラスボスです。ただあくまでMEIKOさんの目的の通り、相手は”最初のマギカント”であり、テトではないです。しかしどうやれば”最初のマギカント”と戦えるのでしょうか?。

    > テトの余裕

    テトは”一発でここを葬る事ができる”わけなので、余裕も余裕だったりします。そして自身で語っているとおり、彼女にとってコレまでのことは”余興”に過ぎないのです~。

    > 刀と悪魔を合t(ry…あ、いえ、なんでもありません

    練気の剣+ベリアルの壺→???・・・・・・最後にヒノカグツチ・・。あ、いや、なんでも・・・。えっとそのシリーズに影響を受けてます~。今回のフィーチャーは”アクションRPGの最新作”です。属性弾丸による弱点攻撃。最後は闇属性に対して光属性強力弾丸を使った弱点攻撃でした。

    > 「弾は一発あれば十分」の意味はこれでしたか!

    はい。他の弾丸は”当たってくれればありがたい”レベルの弾。最後の一発が切り札。”ダーク”・マターだから、きっとあるだろう”闇攻撃”を待っていたんですね。

    > …って、MEIKOさん? まだ何かなさるおつもりで? MEIKOさん? もしも~し!?

    大丈夫です。ブラフではないですよ。ここまでで公開情報0の事を根拠に、このような事を切り出してます。最終話をお楽しみに!。

    ご閲覧、コメント、ありがとうございます!。

    2009/06/10 09:37:54

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    nonta様、こんにちは!

    > マギカントの力を借りてのギリギリでの賭けの上での勝利。ハラハラしました。

    はい、まさにギリギリです。あの一発の弾丸を打ち込むために、他の弾丸をある意味”犠牲”にしたとも言えます。

    > 読ませていただいてるだけで、ドッと疲れが(゜∀゜;)

    グッ!。今回のMEIKOさん主役起用では、最初から”MEIKOさんが行う事はお笑い少な目でマジメ路線”って事を念頭に置いていたので、MEIKOさんのアクションシーンは出来るだけシリアスにしました。MEIKOさん自身のキャラも、イラストや音楽を参照する限り、マジメな物が多い気がします。ミクさんは今回ほぼマジメ役。そして他のメンツにギャグをやって貰いました。

    > て、MEIKOさん、まだやる気!。何を考えついたのか、全く想像つきません。

    はい。MEIKOさんが”やれる根拠として使った情報”はこれまでに書かれてません。ここまでの情報で、読者様が”ご想像できる”ようになってないんです。最終話でその情報、そして展開がされることになります。ちょっと最後は急ぎ足のような気もしますが、事態はゆっくり進める状態ではないので、大丈夫だと思います。

    ご閲覧、コメント、ありがとうございます!

    2009/06/10 09:19:04

  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    月々様、こんにちは!

    > 今日で総体が終わり、やっと自由に自分の好きなことをやれるようになりました

    総体お疲れさまでした!。これで自分の時間を作れるようになりましたね!。ゆっくり羽を伸ばしてくださいませ!

    > いよいよマギカントとの最終決戦になりましたね!やはりenarinさんのバトルシーンは熱いですね

    ありがとうございます!。はい。”自律行動できない”ため、テトの支配下で動くことになってしまったので、ラストバトルなんですが、おわかりの通り、ダーク・マターは”1回目のラスボス戦”です。最後の最後、本当のラスボスは”テト(最初のマギカント)”ということになります。

    あと、毎回”知略戦”の傾向が薄く、”熱い”バトルの表現になるのは、私の趣味、趣向が多分に影響してます~。アクション(ロボ)アニメ、SFアクション映画、好きなので。日本の実写アクションならライダーとかヒーロー戦隊物ですかね。

    > ところでテトの中にいる最初のマギカントっていったい何したいのでしょうか?

    教えていただき、大変感謝しております!。ラストではなく最終話のストーリー構成をガラリを変える一言でした。というか、作っていて”気づかなかった事”です。”行動目的”って大事ですよね。実は最初のマギカントは、自分で言っているとおり”歴史の証人”になることをマギカント創造者に作られた時に埋め込まれてます。当方、それが目的だと思っていたのですが、人物が生きていく”目的”としては希薄でした。もっと人間味のある目的でないと・・・。

    それをシナリオに巧くとけ込む形で最終話に盛り込みました。最終話を読んでいただければ、貴方がご指摘された点、違和感無く納得できる形になっていると思います。ありがとうございました!。

    > MEIKOさんの作戦って何ぞ?とワクワクしながら最終話(違ったらすみません)を楽しみにしています。

    MEIKOさんの作戦目的は”テト自身を返して貰うこと”。つまり”最初のマギカントは出て行け”って事です。しかし問題は実に山積み。力の差は歴然、心証を損なうと一発死。さてどうするのでしょうか?。

    ご閲覧、コメント、ありがとうございます!

    2009/06/10 09:09:07

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