優しい傷跡-君のために僕がいる- 第07話「それぞれの思惑」

投稿日:2009/06/21 21:30:46 | 文字数:2,655文字 | 閲覧数:987 | カテゴリ:小説

ライセンス:

【登場人物】
増田雪子
 すっかり空気のヒロイン

帯人
 すっかり空気の主人公
 あ、でも、画面の端でイチャイチャしてますよ。いつも(脳内で

咲音メイコ・始音カイト
 特務課刑事

メイト
 大学病院教授であり、ボーカロイド専門の医者
 酒は命の水

初音ミク
 「聖夜の悲劇」事件から眠り続けている女の子

ミクオ
 ミクの中から生まれた自己防衛プログラム
 いっつもツンツンしてればいい

本音デル
 クリプト学園生徒自治会会長
 不良だけど実は優しい

亜北ネル・弱音ハク
 増田雪子の同級生

鏡音リン・鏡音レン
 中等部からの飛び級組
 通称、天才双子

欲音ルコ
 飛び級ッ子
 不思議系でオカルト部所属

アカイト
 なにか企んでいる男

【コメント】
亜種万歳!(☆ワ☆)
でも七話まで来てストーリーが全然進展してないってどうよ!!!
と、いうわけで。
次回は一気に話を進めるので、いろいろスキップしたりします。
追いつけなくなったり、おいおいそりゃないぜ!ってことになったら
「おいこら、まてや!」めいたことを書き込んでくれると嬉しい。
みなさんのペースを見つつ、書いていこうと思います。

あ、また要らんこと書くけど。
盛り上がるシーンや戦闘シーンを書くときは、
いつも「集.結.の.園.」とか
   「キ.ミ.シ.ニ.タ.モ.ウ.コ.ト.ナ.カ.レ.」とか
   「P.a.r.a.d.i.s.e. L.o.s.t.」とか聞いてます。
おすすめですよー♪

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TEXT
 

「…ばか言うんじゃねぇよ」

メイトは扉を蹴破り、ミクをベッドに横にした。
その部屋は今までいた病室とは違い、いろいろな機械が置いてあった。
電源を入れると、画面に不思議な曲線が表示された。
部屋の奥には、ボーカロイドのボディがガラスの箱に入れられている。

携帯で誰かに連絡を取っていた。
きっと電話の向こうにいるのは、病室にいた彼らなのだろう。

メイトは言う。

「ミクの中で生まれた、ミク以外の人格だと?
 あほか。あほか。あほか。そんなんなぁ、あり得ないんだよ。
 俺たちはボーカロイドなんだぞ?」

俺は上半身を起こし、機械をいじくるメイトを見ていた。

「……変か」

「異常だぜ。ったく、今おまえの中身を調べてやるよ。
 どっかの部品がいかれちまって、
 おかしいことばっかり言ってるだけなんだろ」

異常。
確かに、俺がここにいること自体、おかしな話だ。
本当は彼女の中で、消えていく存在だったのに。

でも、今俺はここにいる。
いる意味があるはず。

「ほら、暴れるなよ。
 まあ、そんな元気もねえだろうがな」

俺にケーブルをつなぐ。
彼は画面を見ながら話し始める。

「ボーカロイドはプログラムなんだ。
 人工知能が発達していくことはあるが、新たな人格。
 つまり新たなプログラムを組み上げていくことはない。
 そういうことには規制がされているし、第一そんな例はない。
 自分の意思、なんてものはボーカロイドにはないんだよ」

ひどく、おかしなことを話しているように聞こえた。

彼女は……今、どうしているんだろう。
あの水面の向こうに見えた、笑顔は、彼女は、今、どこに、

「くそっ」

表示された数値やら曲線を見て、机をたたいた。大きな音がする。
彼の仮説を否定する、数値が現に出ているんだろう。

俺の顔を覗き込み、彼は怒鳴るように言った。

「おまえは誰なんだ!!!」

さあてね、誰だろうね。俺は笑った。

「そろそろ逃がしてくれない?
 あの子を捜さなきゃならなんだ。
 君たちが「ミク」と呼んでいた、あの子を…」

「ミクのボディで、ミクを探す?
 犬が自分の尻尾を追いかけてるのと同じにしか思えねぇよ。
 …絶対に逃がさねぇ。
 おまえが行けば、その身体(ミク)が危険にさらされる」

「そう、なら、勝手にさせてもらう」

「はぁ? おまえなにを……ッ!?」

勝手に動き出す機械。
慌て出すメイト。
俺はにいっと笑ってみせた。

「ボーカロイドには作られたものしか入っていない。
 だが、そこに新たな人格が生まれるかもしれない。
 たった一つの、限りなく低い可能性。
 それを人は進化と言うんだろ?
 ボーカロイドの中に生じた、彼女の中のアニムス。
 いずれ消える存在だったそれは、彼女の消失とともに
 自己防衛プログラムとして足場を手に入れた。
 大丈夫。
 彼女の記憶を継続することはない。
 俺は俺の意思で、彼女を捜す」

「おまえ……!!」

「悪いけど、この身体(ミク)を傷つけるわけにはいかないから、
 そっちのもらうよ」

ショートするコンピュータ。
部屋が白煙に包まれる。
視界が真っ白になると同時に、バリバリと漏電の音が響く。
メイコや雪子たちが駆けてきた。
扉を開けるや否や、部屋の白煙が薄くなる。

ガラスケースの中から髪の毛の先から、足の指まで真っ白なボディが
まるで生きているかのような動きで立ち上がる。

――空のはずの、ボディから。

羽化したばかりの蝉が、白から茶へ変わるように、
そのボディもまた空気に触れて、鮮やかな色に変わる。

短髪の明るい緑、そして瞳の美しい碧色。
肌はきめ細やかな絹のように滑らかに。

「へえ、入り心地もなかなかだね」

手を開いたり閉じたりして、接続の具合を確認する。

「名称はどうしよう。…ミクじゃ、紛らわしいから、……「39」。
 彼女が「1」なら、俺は「0」。……よし、「390」にしよう」

そばにあった白いシーツをまとい、彼は口元に笑みを浮かべた。
碧色の瞳が鮮やかな火を灯した。

   ◇

グランドピアノの音とともに、響く歌声。
古びた柱がきしみ、空気が振動する。
たった一席の観客席に座る赤毛の男は、満足そうな笑みを浮かべる。

演奏が終わると、男の拍手が淡々と続いた。

「見事だったよ。歌声も順調のようだね」

「ありがとうございます。…ついに本番なんですね。緊張します」

「大丈夫だよ。
 君ならきっと、すばらしい歌声をみんなに届けることができるはずさ」

「…はい。がんばります」

「さあ、そろそろ会場の下見に行こうか」

差し出された手を取り、フッと微笑んだ。

「行きましょう。どこまでも。《紅蓮の魔術師》様」

 私をどこまでも連れて行って。

「君を最上の舞台に案内してあげるよ。《災厄の歌姫》」

 すばらしい世界へ。

踊るように、二人は部屋を出た。

行き通う人々と、人間によく似たボーカロイド。
ボーカロイドは人に従い、人はボーカロイドに命令する。
容姿は一つも変わらぬというのに、実に奇っ怪な光景。

実に哀れな、愚かな、光景。

「――世の中の病を治しに行こう」

男の手には、古びた懐中時計が握られていた。


新たな世界まで、あともう少し。


   ◇

クッ。

動かない。
…それもそうか。
言語機能と発声機能が使えるだけ、まだよかった。

私の75%を占める、マスターの記憶。
彼が最期になにを言いたかったのか、この中にあるはず。
それを捜さなければ。

……でも、彼らが気づかないはずがない。
いずれ私という存在にたどり着く。

我が身を守る盾が必要だ。

(……聞こえる…?)

「久しぶりでござる。
 我が輩に連絡するなんて、いったいどういう風の吹き回しでござるか」

(…私を守れ…)

「冗談も言える状況ではなさそうでござるなぁ」ははは、と笑う男。

(…番犬)

「………」

(……おまえは、私の番犬よ)

「……フフ」

(もう一度言う……私を守れ!!)

懐かしい響きに、血が騒ぐ。

「御意」

 お護りしましょう、女王様。

 我は番犬。貴女様を護る、一騎の刃。

 戦えぬなら、手になって、愚者を切り裂いてみせませう。

 走れぬなら、足になって、風の如く踏み破ってみせませう。

 「護れと言うなら、そうするまで」

【お休み中】

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「優しい傷跡」は三部作ですが、三部の途中で書けなくなりました。
続きは書けませんが、そこまでのお話は残しておくつもりです。
二次創作やら派生やらは、一言いただければ基本okです。
これからは何となく書いた歌詞を載っけていくつもりです。
よろしくお願いします。

帯人・がくぽ・ミクオ・欲音ルコが大好きです。

下から飛べますよ♪

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優しい傷跡
http://piapro.jp/content/7q5hqtkfhff7gpll

優しい傷跡 番外編
http://piapro.jp/content/prenayotf2qetyrj

優しい傷跡-魔法の音楽時計-
http://piapro.jp/content/p6xkwgja3thb4jvs

優しい傷跡-君のために僕がいる- (中断)
http://piapro.jp/content/3itb7ja54w5dp7y1

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作品へのコメント2

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    ご意見・感想

    こんにちは。♪グレープ♪です。
    私の学校はもうすぐ夏休みです。宿題に読書感想文が出るのですが、もし、良かったら使用させてもらえませんか?

    余談ですが、休日に良く帯人を描いていたりするのですが、かっこいい帯人をイメージして描いているのですが、どうしても目が上手くいかず、目がくりくりした可愛い帯人になってしまいます。。。(□_・)

    この後はどんなストーリーになるんでしょうか?とても楽しみです。ミクオが登場するということはミクオが鍵なのでは?
    と勝手に想像したりしてます。

    2009/07/10 18:59:28 From  ♪グレープ♪

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    ご意見・感想

    こんばんはFOX2です。

    な、なんと!
    ミクオ登場ですかッ!!
    僕も大好きです!!亜種万歳!!!イィヤッホゥーーー!!!!
    彼方の小説から亜種に対する愛がこみ上げてくるようです。

    2009/06/21 23:00:45 From  FOX2

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