*亜種・崩壊注意*

「せーの、めりーくりすまーす!」
 帯人・カイトは余ったワイン、そのほかの未成年組はシャンメリーで乾杯する。
 鶏の丸焼き、折り紙の飾りつけ、ビーフシチューにテーブルの真ん中のバスケットに積まれたディナーロールは食べ放題。
 鶏の丸焼きはさすがに作ってないがデザートまで手作りだ。
「料理できないからカイトと亜種マスターがいて本と助かる。」
「…こういうやつがいるからしたくもない料理の腕が上がってくんだな。」

 悪ふざけで1つにワサビ入れたり、カイトと変なアイスを作る手伝いなら好きだが基本的に面倒なので料理はしない。が、カイトが作れないときは駆り出される。
「まあまあ、これでほとり暮らししてもずっとおいしい料理が食べられるようになるんだしいいじゃない。」
「一人暮らししたらあんたは弁当ばっかになりそうだね。」
「大丈夫ですよ、僕がいますから。」
 …いい主夫だな。主婦でもいい。

「…マスター、おいしいです。」
 好き嫌いが多いからどうかと思ったがそれは良かった。がんばってたまには一人前食いきって呉れたまえ。
 帯人は薄手の手袋を外さないでおいしそうに食べていた。…多分、裁縫の時の傷隠すためなんだろうな。

「マスター、お変わり!」
 …アカイト、味わって食うってこと知ってる?
 仕方ないのでよそってやる。成長期なら仕方ない…というかアンドロイドは歳とるのか?引き取っただけで取り説も何もないもんだからわからない。カイトマスターは取り説読まないからってもらわなかったらしいし。

「ますた、ますたっ!」
「あー、はいはい。」
 こいつにちょうどいい皿がなかなかないので食わせてやることにする。シチューに落ちてやけどしたらかわいそうだし。
 …過保護すぎだろうか?でも、こんなちっこいし…
 まあ洗い物増えても後で大変なのは自分だ。自分の分食わせるのが結局一番楽という結論に至った。
 デザートにアイス食うのがわかってるからそんなに食べないしな。

 夕飯を食べ終えて食器を撤収すると、デザートの準備中ジンジャーマンと普通のクッキー、紅茶を与えておく。
 アイスが絡むと―当然アカイトを抜いた―全員がつまみ食いしかねないからだ。
「よし、できた。」
 しっとりとしたガトーショコラ。各自の好みに合わせてこれに会うアイスを添える。メーカーが違うと合わないっモノもあるらしく、アイスの付くものの食べ合わせに関してはみんなが煩い。アカイトはアイスがダメなので生クリームを代わりに添えた。
 まあ、最終的には毎回余ったケーキと業務用バニラアイスで食うはめになるのだが。ガトーショコラを食うよりアイスを食ってる回数が圧倒的に多いせいだ。

 さて、問題は種のアイスだ。できればあのアイスは付けたくない。
「豆、アイスは何が好き?」
「うんとね、青いのもいいけど…だっつも同じくらい好き!」
 ダッツと同格ってあの青いのいったいどんな味なんだ?気になるが原材料的に人間が食える代物ではない。
 無難にダッツのバニラを添える。

「おいしいです。」
「そーかそーか。」
 アイスを口に運ぶ方が多いのでどっちの事を言われてるやら。返事もテキトーになる。

「ちび豆、食いすぎるなよ。」
「あい、まふはぁ。」
「物を口に入れてしゃべらない。」
 小さく切ってやろうと小さく持ってやろうとお子様が食べればやっぱり大変なことになってる。…風呂入る時ついでに入れることにした。


「ちゃーちゃーちゃちゃちゃちゃめりくりすますちゃーちゃーちゃちゃちゃちゃくりすます♪」
 桶にお湯を少しためでやると簡易プールみたいになった。
 歌いながら泳いだり水で遊んだりしている。
「喰らえ、水鉄砲。」
「きゃー!」
 あのサイズじゃこんな攻撃も大冒険の大イベントなんだろうな。きまぐれに一回やろうものなら次をせがまれて、そんなことしてたらのぼせかけた。

「おふろあがりのあいす!」
「まだくうきか。胃袋ブラックロール。」
 というか風呂に入ってるときも業務用アイスとケーキを交互に食い続けていたらしい奴らが目に留まる。(一人は生クリームだが)
「太るよ?」
「人間じゃないですから大丈夫です。」
「お腹壊したことないし太りにくい体質だから。」
「これだけじゃふとらねーよ。」
 流石に小食な帯人ははんにん前でやめていたが。

「ブルーベリー半分あるけど食べる?」
「あっちがいい。」
 …ちまいのがかわいいのにでかくなりそうなんだもん。まあ、もう4分の1しかないけど。
「ちょっとだけね。」
 自分もブルーベリーのこってるし。

 結局甘いのかもしれないが、これから構ってやれなくなったら他の二人みたいに何かイベントでもない限りそっけない子になるを思うとどうしても厳しくなれない。
 学校が始まればまたそっけなくなってしまうくらいならとりあえず冬休み中だけは3人に甘くしても目をつぶろうか。

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「亜種注意」手のひらサイズの彼 その⑥「KAITOの種」

http://piapro.jp/content/?id=aa6z5yee9omge6m2&piapro=f87dbd4232bb0160e0ecdc6345bbf786&guid=onにて。
そして二日目は番外編で終わらせようと思います(オイ

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投稿日:2009/12/25 18:04:11

文字数:2,048文字

カテゴリ:小説

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