数日後。
 「あ、連絡が来た」
 リンあての通知が来た。
 「えーっと、…新曲の情報?」
 文章の冒頭を見ると、レンとの喧嘩の原因となった曲を作ったPの次の曲らしい。文章中には曲のタイトルと説明と歌詞が、そして添付ファイルには曲データがある。曲のタイトルは、レンとの喧嘩の原因になった曲と対になっていることを思わせるようなタイトルである。
 (ひょっとして…)
 いても立ってもいられず、曲データを再生する。
 ~♪
 (これって…)
 曲は、レンとの喧嘩の原因になった曲と対になる曲だった。問題の曲とは逆に、リンのパートが多く、曲調も対になっていることを意識させる曲調だった。改めて文章を読み返してみる。すると、最後に、本来レンと喧嘩になった曲と対に出すべき曲だったのに、手違いで一曲だけ先に出してしまったことで、気分を害してしまったら申し訳ない、という一文が添えられていた。何から何まで、雅彦のいうとおりだった。
 (マサ兄のいうとおりだ…、本当に、あったんだ…)
 自然と涙がこぼれる。リンは、その涙を拭おうとはしなかった。何度もその曲を聞いて、この曲が確かにあることを確かめていた。

 (…これから、どうしようか)
 ベッドに腰かけてリンは考えていた。雅彦のいうとおり、リン中心の曲はあった。今、すべきことは、レンと向き合って話すことだろう。しかし、そうしなければいけないということは頭では分かっているのに、肝心の体が動かない。このままではいけない、そう思うのだが…。
 (レンは、今、どうしているんだろう?)
 そんなことをふと思うリン。レンの元にも、同じようなメールがいっており、リンと同じくそのメールを読んで、喧嘩の原因となった曲と対になる曲があることを確認したのだろうか。そして、今、リンと同じようにどうしようか悩んでいるのだろうか。それは、ここにいるだけでは分からない。でも、体は動かない。リンは、今回のことで、自分の意思のなさが身に染みて分かっただけだった。
 (私って、こんなに弱かったんだ…)
 リンは、肝心な時に動けない自らの未熟さを実感した。いつもはレンを始めとして、他のボーカロイドには威勢の良いことを良くいっているが、それは、結局、虚勢だったのだろうか?
 (こんな私を見て、レンは私を笑うかな…)
 考え方が自虐的になってきたリン。しばらく考えは堂々巡りになっていた。そんな時、リンの部屋の扉をノックの音が聞こえる。リンは涙をふくと、ドアを開けた。

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初音ミクとパラダイムシフト3 1章21節

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投稿日:2017/02/26 23:27:14

文字数:1,043文字

カテゴリ:小説

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