「すごいね。取材とかが結構、来ているね」
ルコ坊が、モモちゃんに言う。
「そうね。ちょっとビックリだな」
目を丸くして、モモちゃんが答える。

先日、新しくオープンしたカフェ・ギャラリーの「ゆうひ」。
お茶や軽食をとりながら、壁面に展示したアートや絵画を楽しめるお店だ。

きょうは、店長のモモちゃんが作ったスクラップブッキングの、アートの展示会の初日。
看板に大きく、「桃野モモ・スクラップブッキング・アート展“タルト”」と書かれている。

彼女がブログにアップした、ネコの写真を使ったアートの「タルト」。
この人気がすごく、この度いろんなバリエーションの「タルト」のアートを、展示したのだ。

たくさんの来場者に混じって、人気の噂を聞きつけた、雑誌やメディアが取材に訪れている。


●個展、おめでとう!

「あらあ、すてきな作品ですねー」
特徴のある声に、モモちゃんとルコ坊はふりむいた。
そこにはデザイナーのゆくりさんが立っていた。

「あ!ゆくりさん、いらっしゃい」
「どうもー。おじゃまします」
挨拶する2人に、笑顔でゆっくりした口調で言うゆくりさん。
「個展おめでとう御座います」
「ありがとうございます」
頭を下げるモモちゃん。

「このタルトっていうネコちゃんのアート、可愛いですねー」
ゆくりさんの言葉に、にこにこするモモちゃん。
「ね、ちょっとお茶にしません?」
ルコ坊の提案に、みなはテーブルに座った。



ルコ坊が入れたご自慢のコーヒーで、くつろぐ3人。
「ねえ、タルトっていうネコちゃん、キャラクター商品にしたら売れると思いますよー」
ゆくりさんが言う。
「そういえば、ゆくりさんはキャラクターのデザインをされてるんですよね」
モモちゃんが言う。
「ええ。ネコちゃんの顔のお菓子とか、作りたいなー」
彼女は、目を輝かせた。


●私が主役なら...?

「ところで、このコーヒー、美味しいですねー」
「あれ、うれしいな」
ゆくりさんの言葉に、ルコ坊はよろこんだ。
「うーん、なんだか、イメージがわく美味しい味だなー」
ゆくりさんは、うなずいて言った。

「あら、どんなイメージですか?」
モモちゃんが聞いた。
「ここにいるみんなが、お話のキャラクターに見えてきました。“オズの魔法使い”、ですー」

「へえ!楽しそう! それで、役柄は?」
ルコ坊が身を乗り出す。

「主役のドロシーは、ネコちゃん」
「ふんふん」
2人は、うなずく。
「で、モモさんはしっかりしてるイメージだから、ライオンさん役ですー」
「ライオンかー」
モモちゃんはうなずく。

「じゃ、ワタシはカカシか、きこりでしょ」
ルコ坊はちょっと口をとがらせる。
「いえいえー、ルコちゃんは愛嬌があるから、飼い犬のトトちゃん役」
「あら、どうも!」
まんざらでもなさそうだ。
「私がカカシでいいですよー」
ゆくりさんは笑って、コーヒーを飲む。

モモちゃんは思った。
「ゆくりさんって、センスが豊かで、素敵な方だな」
ルコ坊としゃべっている彼女に、モモちゃんは言ってみた。
「やっぱり、ドロシー役は、ゆくりさんがいいと思いますよ?」

「いえいえー。私が主役だとねー」
ゆくりさんは笑った。
「怪物くんになっちゃいますよ」(=⌒▽⌒=)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

玩具屋カイくんの販売日誌 (105) モモちゃんの個展開催

5月22日はUTAUの桃音モモさんの誕生日ですね。おめでとうございます!

閲覧数:84

投稿日:2011/05/22 21:35:55

文字数:1,363文字

カテゴリ:小説

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