「ふぅん。そう、それじゃあー、あれなのー?」

相変わらず、のんびりとした調子で、ゆくりさんは聞いた。
「あのお人形が、不思議なしゃべり方をするのは、仕掛けがあったってわけなんだ」

「うん、そういう感じもしますね」
レンくんは、カウンターの中で、店のチラシやクーポン券を揃えながら言った。

ゆくりさんの店、「ゆっくり」。
平日の午前中、まだ店を開けたばかりだ。

カウンターの横には、りりィさんがいるが、ほかに店内にお客さんはいない。

「そうね。なんとなく予想できてたけど」
りりィさんは2人に言った。

「例えば、外からメールで、喋らせたいコトバを送信する、とかでしょう、大体」
「なるほど。霧雨さんの人形が、妙なしゃべり方をするのは、ソレも“特注”だからですね」
レンくんはうなずいた。


●霧雨さんと仲のいい人だ!

「多分ね。そうやって、操作できるような“はっちゅーね人形”がいくつかあるのでしょう」
りりィさんは言った。

「そうかー。それを、タイミングよく、ドラマチックにしゃべらすのねー。イベント会場とかでね~」
ゆくりさんも、カウンターに肩肘をついて、つぶやく。

「それで、いまでもその、“特注”…カスタマイズの注文、受けつけてるのかしらー?」
ゆくりさんは、レンくんに聞いた。

「いえ、どうも今は、そんな時間は、無いようですよ。ニコビレの、ぱみゅさんの話だと…」
レンくんは答えた。
「デフォ子さんは、新しい事務所の場所さがしで、忙しいみたいですし」

「そうなのー」

2人が頷いた、ちょうどその時、店に一人のお客が入ってきた。
その人を見て、レンくんはオヤ、と思った。

それは、駿河ちゃんだった。

「あ、あの人、コヨミさんのバンドの人だ。たしか、霧雨さんと仲がいいんだっけ」


●また、来ちゃいました!

その頃。

テトさんは、自分の店「カフェ・つんでれ」で、マスターの吉さんと話していた。
「新しいドールも、上手くいくといいですね」
「ええ、ありがとう」

時間は、まだ午前。
夜にはお酒も出す「バー」タイプになるこの店も、今の時間は、喫茶店のスタイルだ。
若者や、年配の客などがお茶を飲み、しゃべったりしている。

そこにまた、一人のお客さんが現れた。

それは、霧雨さんだった。
彼女は、テトさんに向かって挨拶した。

「この間は、イベント会場でちょっとご一緒でしたね。また、来ちゃいました」('-'*)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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玩具屋カイくんの販売日誌(206) いらっしゃいませ!

さて霧雨さんと駿河ちゃん。お騒がせコンビ?が、それぞれ現れましたネ。

閲覧数:118

投稿日:2013/08/18 22:09:21

文字数:1,026文字

カテゴリ:小説

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  • enarin

    enarin

    ご意見・ご感想

    こんにちは! 続き拝読させて頂きました!

    おっ! 続々とイベントメーカーな方々が集まってきましたね~♪ 霧雨さん関連で。

    なにか大きなムーヴメントが起きそうな予感です!

    では、続き行きます!

    2013/09/08 13:40:17

    • tamaonion

      tamaonion

      enarinさん、メッセージありがとうございます!

      >おっ! 続々とイベントメーカーな方々が集まってきましたね?♪ 霧雨さん関連で。

      イベントメーカー、って楽しい表現ですね。トラブル、というより「賑やか」師という感じがしますね。気に入りました。

      また、感想を聞かせてください!

      では、また。

      2013/09/16 20:42:04

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