「まあ、これ、いいですね！自分でも欲しくなっちゃう。フフ...」
彼女は、マコさんが作った、忍者の姿をしたネコを手にして笑った。

「そうですか。商品化できそうでしょうか」
キュレーター（学芸員）の、観月さんが聞いた。
「そーねぇ、売れるかな。ちょっとビミョーだわね、ウン」
はしゃぐように言う。


●派手派手な、バイヤー登場

雑貨店「つんでれ」にある、“スタジオつんでれ”。
ここで「ふしぎな生きもの」展が開かれている。
つんでれと契約している、サンセット・ギャラリーが企画した催しだ。

テーマに合わせて、「つんでれ」に集まるクリエイターたちが、
小さな作品を持ち寄って、展示している。

そこに、ふらりとあらわれたのが、猫森（ねこもり）さんだ。
彼女は、雑貨ショップ「トーイパーク」のバイヤーだ。
派手好きの女の子のような服装で、ちょっと見ただけではバイヤーには見えない。


●バイヤーと仕事の話をする！

「このマグもいいですね」
彼女は、そばにいたモモちゃんに言った。
イヌの写真をコラージュした小さいマグカップを眺めている。
「ありがとうございます」
モモちゃんは答えた。

「これも、グーだなあ」
ガラス細工のクリーチャーを手にとる彼女。

ひとしきり、賑やかな笑い声と感想をしゃべって、
猫森さんは帰って行った。

「ね、今の人、ちょっとミーハーっぽいね」
お店のルコちゃんが言った。
「うん、でもなかなか、作品を観る目は、スルドそうです」
観月さんは言った。

「こういうギャラリーをすると、いろんな方が観てくれますね」
モモちゃんが言った。
「そうです。ギャラリーや発表会に作品を出すと、バイヤーさんと仕事の話ができますね」
観月さんは、展示のプロらしく説明した。
「商業施設、たとえば百貨店やショッピングセンターの、企画の人も来るし」


●ブランドで、夢が広がる...

「ふうん、発表会か。いろんなお店で、自分のモノが売れたら、うれしいよね」
ルコちゃんが言う。

「そうですね。ルコさんも、コーヒーで自分のブランドを、作って見たら？」
観月さんが言った。
「いろんなところで、アピールできますよ」

「そうか！ルコ・ブランドか」
ルコちゃんは、夢見がちに言った。
「有名ブランドになって、会社でも作ろうか。そしたら、小学生で社長だ！」

「“若社長は、小学生”ね」
モモちゃんと観月さんは、顔を見合わせた。

「でも、なんか、童話のタイトルみたいだわね」m(。・ε・。)m