また、憐のペースに流された。

もう、あんなに苦しい恋はしたくないって思ったのに。


彼と別れられたら、私だけを好きになってくれる人に出逢えるかも知れない。




でも、そんなこと無理。


「私は、憐が好き、、」





小さな呟きは宵闇に消えていった。



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新しい服を買いに夕暮れの街へでた。

母からの仕送りもまだ途絶えてないし、自宅作業の仕事も順調に進んでいる。
お金には困らない。

憐に気に入られようと必死になって、
綺麗になろうと努力して、
結局いつも失敗に終わる。



「馬鹿」



自分にも、彼にも、世の中にさえも腹が立って、そう吐き出した。


何かが頭にぶつかって、顔を上げるとベージュのコートが目に入った。



「…あ、ごめんなさいっ…」



視線を上に上げると、整った顔立ちの男性だった。
27歳くらいだろうか。
私よりも少し年が上なのが、その落着きから見て取れた。


「お嬢さん、大丈夫?
心ここに非ずって感じだけど」


そう微笑んで彼は私を見た。
澄んだ目に吸い寄せられそうになる。


「いえ、私は大丈夫です。

すいません、考え事してて」



「…涙…?」





その一言に驚き、頬に手を当てる。

生温かい水が、肌を滑っていた。


「あ、やだ、私何でこんな…」



照れ笑いを浮かべて彼を見ると、とても優しい目があった。


その時、何かの枷が外れたように涙が溢れだした。
















「ごめんなさい、本当に‥」



今、私は彼の部屋にいる。


永瀬 原稀(はるき)と彼は名乗った。

割と有名な会社に勤めていて、家もかなり広かった。



「いや、いいんだよ。
咲蘭ちゃん、困ってたみたいだし」


屈託のない笑顔を見せてくれた。





「…ぅ…ぇえ…」



「咲蘭ちゃん!?」




また涙が溢れだした私に、永瀬さんは駆け寄ってくれた。




「馬鹿ぁっ…」



私の悪い癖で、泣き出すと感情が止まらない。
子供の様に泣きじゃくり、いつだって憐を困らせた。



「…どうした?」




優しく問いかけた彼に、私はすべてを吐き出した。















「そっかぁ…
そんな男、咲蘭ちゃんを困らせるだけだよ」


私の背中をさすりながら彼は言った。

「…そうなの‥かなぁ…
でも、私、憐と別れたら、
生き甲斐なくして死んじゃうかも」


冗談で言ったその台詞に、永瀬さんはこう答えた。




「…僕が生き甲斐になってあげるよ」

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

抱きしめて Ⅲ

やっとこさの第三弾!

新キャラ出せただけでも大きな成長w
鏡世の書き物には基本二人ぐらいしか出ないのでw
キャラ設定めんどいw


永瀬さんの名前は、苗字適当やけど
名前は昔書いた小説のちょいキャラを再利用してみました。

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閲覧数:248

投稿日:2011/12/27 01:49:25

文字数:1,139文字

カテゴリ:小説

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  • モモコ

    モモコ

    ご意見・ご感想

    こんばんわ~

    Ⅰ~Ⅲまで全部読ませて貰いました!

    やっぱり凄いですよ鏡世さん!
    新しい登場人物…。

    これからどうなっていくのやら…((お前誰!?

    第四段も楽しみにしておきます!

    もしよければ、私の作品もよんでみてくだs((図々しいわ!!

    それでわ、失礼します。

    2012/01/02 18:10:07

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