五畳半のせかい
きみがぼくを 拾った日のこと
きみならきっと 覚えているだろう
錆びた色の 空から降り注ぐ
水の雫 絶え間のない音
きみはぼくを その大きな手で
抱き上げると そっとほおずりして
濡れないよう ぼくをふところに
包み込んで 走り出したんだ
ぼくはあの日からずっと
きみのぬくもりのなかで
それを失わないために
生きてきた気がするんだ
ぼくときみの速度は違いすぎて
ときどき不安になるよ
ぼくが後ろを振り向いたとき
きみに笑っていてほしいよ
今日も明日も変わらない笑顔で
きっとそばにいてくれるから
ぼくはしっぽを
ピンと立てながらまっすぐに
歩いていけるんだ
きみとぼくの 穏やかな日々に
入り込んだ おんなのこのことを
ぼくがいったい どう思ってたか
なんてきみは 知らなかったよね
鼻の下をのばしてさ
面白いはずもないし
いくら毛を逆立てても
ぼくを見てくれなかったね
ぼくときみの言葉は違いすぎて
ときどきさみしくなるよ
ぼくがこんなに きみにこんなに
好きだって伝えたいのに
いつもいつも変わらない笑顔で
やさしく撫でてくれるから
ぼくはおなかを
きみに見せて「まあいいかな」って
思ってしまうんだ
きみがぼくを 拾ったあの日から
ぼくのせかい きみしか見えないんだ
ぼくのせかい きみしかいらない
五畳半の きみとぼくのせかい
きみとぼくの速度は違いすぎて
きみを置いていってしまう
この手と足が動かなくなって
目の前が暗くなっても
次があるならきっとまたきみに
会いに来るに決まってるから
涙を拭いて
いつもどおり笑ってみせてよ
ぼくが眠るまで
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