夕食が済んだ後、しばらく談話が続いた。

マスターが僕らVOCALOIDを回収して大切にしてくれている理由。
人々がVOCALOIDを必要としなくなった事。

人々は唄よりも実用性の高い方を選んだ。
だから僕らVOCALOIDは不必要になったのだ。

でもマスターとその友人は違った。
僕らの唄を今でも必要としてくれている。

MEIKOは唄だけでなく、せめてもの恩返しに、と家事も手伝えるように努力したらしい。




そしてもうひとつ。
僕にはまだ家族が2人いると言う事。


ふとMEIKOが口を開いた。

「そういえば、マスター。リンとレンはまだなの?」

「あと3日ほどかかるそうだ。」

「そっか…」

リンとレン。
それが僕の新しい家族。
話によるとだいぶ賑やかな双子らしい。

仲良くなれるのだろうか…?
ミクともまだちゃんと話せていないし…

少し不安になっていると、MEIKOがそれに気づいたのか声をかけてきた。

「大丈夫よ。皆良い子だから、きっとすぐに馴染むわよ。」

そう言って僕の肩を軽く叩いた。
向かいのミクも『うん、うん』と頷いていた。

マスターもそれを見て微笑んでいた。


…だけど僕はそのマスターの笑顔に、妙な違和感を感じた。
それが一体何だったのか…今の僕にはわからなかった。


ただ何となく胸の奥で引っ掛かっていた。


そのことを考えてボーッとしていたら、突然ミクに声をかけられた。

「えっと…あの…兄さんって呼んでも良い…?」

ミクはおずおずとしながら聞いてきた。
僕はちょっと戸惑いながらも小さく頷いた。

するとミクは嬉しそうに笑った。

「良かったね、ミク。良いお兄ちゃんが出来て。」

MEIKOはそう言いながらミクの頭を撫でた。

僕は改めて『家族』と言うものは暖かいものなんだと感じた。



そして先ほどの引っ掛かりは忘れていた。

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  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

VOCALOID-5『陰』[小説]

連続小説第5話目です。

だいたい1話ずつの進行なので連載漫画みたいなノリでサブタイトル的な何かをつけてみました(笑)


以前のやつにも付けときましたよ。


一体何話まで続くのか正直わからないです(笑)


いきあたりばったりで書きはじめたんで(笑)

まぁお付き合いよろしくお願いします!

閲覧数:105

投稿日:2009/09/09 21:04:56

文字数:799文字

カテゴリ:小説

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