その日の夜。
 「…眠れねえ…」
 レンは眠れなかった。何度も寝返りを打つが、睡魔がやって来る様子は無い。なぜか目が冴えてしまうのだ。
 「しかたねえなあ…」
 レンは諦めて、起きることにした。キッチンまでいって、冷蔵庫から自分のコップに飲みものを入れ、部屋に戻って椅子に座る。
 (…何で、眠れねえんだろう?)
 しばらく考えるレン。すると、リンへの意識が頭に残っていて、それが眠れない原因であると分かった。ミクのデート発言が原因なのは疑いようが無い。リンとレンは同い年なので、周囲から見るとデートをしているカップルに見えるのだろう。
 (俺が、リンを意識したのはいつからだろう?)
 頭を巡らせるレン。そうすると、以前、リンと喧嘩して、その仲直りにリンを抱きしめた時からだということが思い当たった。確か、あの時はKAITOの仲直りの時のスキンシップを真似てリンを抱きしめたのだ。あの時から、少なくともリンへの態度が変わっていたはずだ。
 (…リン、あの時、良い匂いがしたんだよな)
 そんなことを考え、再び顔が赤くなるレン。確かにその時のリンの匂いは、はっきりと記憶に残っている。後にも先にも、レンの中でリンの匂いが記憶に残っているのはその時の匂いだけである。活発なリンらしい、はつらつさを感じさせるような匂いだった。
 (リンは、どう思っているのかな?)
 レンがリンを抱きしめたのは、その時が初めてだったので、リンがそのことを覚えているという確信はあった。しかし、そのことをどう思っているだろう?いつものスキンシップの延長か?あるいは、レンを意識しているのか?
 (誰かに、相談に乗ってもらった方が良いな)
 レンが何かに困って相談に乗ってもらう場合、大抵は同性であるKAITOか雅彦である。どちらも、二人のことだから、間違いなくレンのことに対して親身になって相談に乗ってくれるだろう。しかし、どちらが良いだろうか?KAITOは同じボーカロイドだが、レンと比べると、少し年齢が開いてしまっているため、特に色恋沙汰に関しては相談しにくいということはあった。一方雅彦は、多少年齢は離れているとはいえ、同じ10代である。以前は多少理詰めに考える悪い癖はあったが、ミクとの喧嘩を乗り越えた雅彦は、その癖も出にくくなっているので、相談しやすいかもしれない。
 (よし、マサ兄に相談しよう)
 自分の考えた結果に満足するレン。満足したので、寝ようとするのだが、色々と考えた結果、かえって目が冴えてしまい、ますます睡魔が遠のいた気がする。再び眠気がやって来るまでどうすれば良いか考えるレン。
 (しかたねえ、眠くなるまでゲームするか)
 そういって、自分の携帯ゲーム機を引っ張り出すレン。しかし、レンがその日眠れることはなかった。

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初音ミクとパラダイムシフト4 1章10節

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投稿日:2017/03/08 21:30:52

文字数:1,163文字

カテゴリ:小説

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