-戦-
 声が――
 声が、呼びかけてくる。お前の弟は人殺しだと、狂ったように。
 頭が痛い、割れてしまいそう、苦しい――。
「――大丈夫かい?」
「あ、カイト兄。大丈夫…」
「顔色がよくないね。取り合えず、出口へ出ようか。外の空気をすったほうが良いかもしれない」
「うん」
 そう言ってカイトの方を借り、頭を抱えながらその部屋を出ようとしたときだった。後ろから、何か殺気に似たような冷たい空気のような、何かを感じ取ったのだ。勢いよく振り向く。
「――ッ!?」
「…そのまま帰すと思ってらっしゃるんですか?」
 そこには長いストレートの髪を揺らしながら、ランやカイトのほうへと目を向けたミリアムの姿があった。薄く青みがかったその髪は窓から入り込む光を受けて、きらきらと輝いていた。
「私が、あなた方を中へ通して後は買い物に行っているとでも思っていたんですか?私もこちら側ですから」
「…。―――う…ダメ、頭が…」
「レンを連れて、下におりられるかい。ここは俺がどうにかするよ」
「うん、カイト兄、気をつけて」
 妹の言葉には答えず、カイトはミリアムのほうへと目をやって余裕とは違う微笑を浮かべて見せた。それをみたミリアムは準備ができたというように呪文を唱え始め、部屋のドアに開かないように魔法で強い鍵を取り付けた。
 マフラーを巻いたカイトの背中を、いやな汗が伝っていった。

 じりじりと間合いを取りながら、メイコは攻撃の機会をうかがっているようだ。それは相手も同じこと、ソニカは銀に光るナイフをちらつかせながら、メイコに隙ができるのを狙っていた。こうしている間にも、二人の精神力は磨り減っていく。
「…攻撃、しないのかしら?」
「そっちこそ。このままじゃアタシは倒せないよ」
「そうね」
 そういい、剣を持つ手にぐっと力をこめた。
 その瞬間、ソニカが動き出した。
 両手にもった無数のナイフがメイコのほうへ向かって放たれ、メイコがそれを剣で跳ね返したと同時にソニカがメイコの後ろへと回りこみ、ナイフを構えた。細いソニカの手から離れたナイフがメイコの髪を、少し切って床へと落ちて高い音を鳴らした。
 それから、しばらく音がなくなっていた。
 メイコが持った剣の切っ先がソニカへと向けられ、ソニカの体勢は石の階段にしりもちをついた状態だった。
「…私の後ろが階段だってことを忘れたのがいけなかったわね」
「わざと、階段の前に立ったの?」
「…どうかしら」
 そういってメイコは剣をどけ、ソニカにそっと右手を差し出した。
 その手に自分の右手を重ね、どうにか立ち上がるとソニカは少しつまらなそうにしてみせると、階段からよけて牢の近くにあった鍵を使って牢の扉を開き、中にいた二人を外に出した。中にいたのは、プリマとアンだった。
 驚いているメイコに少し近づいて微笑んだ。
「じゃあ、今度、もう一回やろう。…その子達はちょっと気になってたんだ。だから、外に出してあげて」
「…ありがとう。えーと…ソニカちゃん」
「だけど、今度一戦交えてくれるなら、だからね。わすれないで、メイコさん」
「ええ。楽しみにしているわ」

「…ソニカ、どうしてもどってきたのですか」
「いったでしょ。アタシはあんた達の作戦に同意はできない、潰してやるって」
 そう、ソニカは一度、彼らの計画に賛同できずに仲間から抜けたものだったのだ。
「ただの脅しかとおもっていましたわ」
 そういうローラも少しほっとしたような表情をしているように見える。
 それをみたソニカは、
「…こんなこと、意味無いよ」

 ぴりぴりと神経を刺激するようなとげのある空気の中で、リンはレオンを睨みつけたまま、動かなかった。動けば、その瞬間に殺されてしまうような気がしたのだ。
 声を出すことができない。余裕の表情で目の前に立つレオンはリンに対して、何か汚れ物でも見るかのような目で見てくる。
「…。ルカ、帰ろう」
「リン様」
「どうしたの?帰るよ。そろそろ母さんも出口についているころじゃないかな」
 そういってレオンに背を向けたリンは、部屋を出ようと―――。
「リン様、あぶな――っ」
「え?」
 ドスッ
 鈍く何か鋭利なものが柔らかいものに突き刺さるような音が鳴ったかと思うと、ルカの目の前でリンがその場にうつぶせに倒れた。
 手をかざし、何か呪文を唱え続けるレオンの手元から、見えるはずの無い闇色の光が放たれていた。
「リン様ッ」
「俺たちの計画を邪魔しようとするから、こうなるんだ。自業自得だよ」
 
「お聞きしたいことがあるだけです。…レオンはどの部屋にいました?」
「え?あの、金髪の?彼ならこの下の――」
「ありがとうございますっ」
 そういうと、ミリアムは素早くドアにかけた魔法を解いてその部屋を飛び出していった。唖然とするカイトにはわけがわからず、ぽかんとしているだけだった。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

鏡の悪魔Ⅲ 15

こんばんは。
ながいっすね。
今日の要約言っときますか。
『走れミリアム(笑)』
ここ笑うところですよー。テストに出ますからねー。
はいそこちゃんとノーととるー。
それじゃあ、また明日っ

閲覧数:497

投稿日:2009/08/20 23:02:40

文字数:2,039文字

カテゴリ:小説

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  • リオン

    リオン

    ご意見・ご感想

    みずたまりさん、こんにちはー。
    えっ?ノートとり忘れたんですか!?とりあえず適当な紙にメモして置いてください!!
    テストの内容は基本的にそういうやつばっかりですから!!(←え。

    え、あ、一番すきなんですか。へぇ。聞いてみますか。
    レ「嘘だ」
    リ「レン弱すぎるからー」
    レ「ちょ…おま…!ひどッ」
    リ「一回、やってみる?私と」
    レ「いい。まだ腹の傷が治りきってない」
    リ「大丈夫、大丈夫!わざとそこを狙うから!!」
    レ「らめぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええ!!!」
    いやあ、平和ですねぇ。
    ル「二人とも、五月蝿いですわ」
    レ「メイコさぁあん!!助けて!!」
    メ「はーい、離れてね、危ないわよ。おなべ持っているんだから(←聞いてない」
    この後レンは、なべの中のカレーとかをモロかぶるんですね、わかります(?)
    て、テストに出るんですか!?じ、じゃあ、ノートノート!!レン、ちょ、ノートもってこい!!
    レ「俺はパシリか!!」
    きっとレンは結構常識人。

    レオンのキャラ…ここで真面目にしておいてやら無いと、もう真面目になるところが無いって…。
    流石にそれはかわいそうだからやめて、とミリアムさんからお願いがありまして。
    残ってますよ!!ばりばり変態です!!!レオンから変態を取ったら何が残るんだ!!
    ノート、レンに届けさせますから。
    ちょ、レン、五月蝿い!後ろでギャーギャー言うな!!
    レ「俺はパシリじゃねぇ!!」
    リ「あ、レン、レオン君来たけどー?」
    レ「ダッシュで行ってきます!!ノートかしてッ!いってき!!」
    ちゃんとしたノートになっているかどうか…。まあ、みてからのお楽しみということで。
    では、次の投稿も見てやってくださいね。

    2009/08/21 18:32:10

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