「暑い~…」



今にも溶けそうなほど暑い夏の日、私はしきりにペンを走らせていた。

ペンを握りっぱなしなので、指がかなり痛くなってきている。

さらに、手が少し黒くなっている。あとで手を洗わないとな…。



「なんで宿題あるんだろー…宿題なんてなくなればいいのに…」

「そんなこと言っても宿題は終わらないよ」

「えーっ、じゃあリリィちゃんは宿題がイヤじゃないの?」

「イヤだけど、やらないとどうにもならないでしょう?……ハイ、これ終わったよ」

「ありがとー…」



リリィちゃんが、終わらない私の宿題を手伝ってくれている。

そのおかげでいつもの数倍のスピードで宿題は片付いていく。

更にリリィちゃんはわからないところも教えてくれるので、理解も深めながら宿題(という名の勉強)ができる。

なんていい友達なんだろう。嫁にもらって帰りたいくらいには、凄くいい友達だ。



「あのさ。なんでこんなに宿題残ってるわけ?」

「え?そりゃ、夏を満喫しようと思いまして、それでですね」

「ようするに宿題やってなかったんだね?」

「うん…」



うん、私が悪いよ。

だけどそんなにバッサリ切り捨てるなんて、血も涙もないn…ごほんごほん。

何にも言ってないよ?別に、ハイスペックな友達を外道扱いしようとしたとか、そういうのじゃないよ?



「あと何教科残ってる?」

「んー…国語と社会と理科の三教科」

「英語終わったんだ…ミク、英語は苦手じゃなかったっけ?」

「英語はルカさんがわかりやすく教えてくれた」

「ルカさんさすがだな…」



こうやってgdgd話している間にも、私の貴重な夏休みがじりじりと削られていく。

外では、こちらの気も考えずに、蝉がやけに煩く鳴いていた。

正直な感想、あんなに大きな声(?)で鳴いて、蝉は疲れないのかと思う。



「あれ、もう五時半?じゃあ、今日はこの辺にしようかな」

「国語はウチの兄貴が得意だから、今度連れてこようか?」

「ぜひともよろしくお願いします」

「よし、じゃあまた後で会おう」



夕食後、リリィちゃんたちの家で一緒に花火をすることになっている。

本当に、隣のインタネ家にはお世話になってばかりだなあ…





*





「わあ、花火キレイですね」

「そうだな」

「ちょっとそこのお二人さーん?くっついてないで花火をしなさい!」

「そうだそうだ!離れろー!」



リンちゃんとレンくんが、リア充(神威さんとルカさん)につっかかっている。

いやいやいや、アナタたちも花火をしましょうよ。



「ちょっとー、リンとレン。あんた達も、二人を追い掛け回してないで、花火しなさいよー!…ひっく」

「めーちゃん…お酒を片手に言ってたら、説得力がないと思うよ…」

「あーん?あたしはあたしよ!大体、酔っ払って花火したら危ないれしょーが!ひっく!」

「正論を言っているのに、僕には君が花火をしようとしているようにしか見えないんだけど」

「うるさーい!あんたなんか、こんなんくらっていればいーんれしょ!」



メイコ姉が飲みすぎで酔っ払っていた。しかも呂律が回らなくなっている。

珍しいな。いつも酔っ払うことなんてないのに。

そしてネズミ花火に着火。カイト兄が「やべー」と言いながらも、普通に笑ってネズミ花火を避けていた。



「あーもう、リン!ぶつかんないでよー、あたし今花火してるんだからさー!」

「あ、ごめん…リア充(仮)を追い掛け回すのに必死で…火傷しなかった?」

「してないけど、リア充(仮)を見てたら心が嫉妬で火傷しそうだったよ(棒読み)」



グミちゃんがリンちゃんに注意していた。

暴走する双子にツッコミをしてくれる人がいてよかった。

さすがグミちゃん、双子(ってかリンちゃんだけ)へのツッコミだけでなく、リア充(仮)へのコメントも忘れない。



「それにしても、暑い夏もそろそろ終わるね」

「そうだね…」



弾けていく線香花火の火花を見つめながら、夏の音に耳を澄ませる。

微かに聞こえる縁日の音、楽しそうに鳴く虫たちの合唱、空に響く打ち上げ花火の音。



「…ん?あれ、打ち上げ花火?」

「そうか、今日花火大会だったね」

「……って、リリィちゃん線香花火!」

「え?……危ない危ない危ない、あー落ちちゃった……」



よそ見をしていたら、リリィちゃんの線香花火の光は落ちてしまった。

線香花火はよそ見厳禁である。



「うぅ…なんてこと……」

「そんな人生の終わりみたいな顔しなくても…」

「でもほら、もう花火全部無いし…」

「あらら、次は来年かなー…じゃあ、今日は打ち上げ花火見とこうか」



未だに駆けずり回っている双子を止め、花火の後始末をする。

ふと見上げた黒い夜空には、大輪の花が美しく咲いていた。

来年も、こんな夜空を見上げることができたらいいな。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

H&F works

去年、ここ(旧コラボ)に投稿したものを、少し書き加えて再投稿しました。
カイトとメイコも登場させてさぁ投稿!と思ったら、グミちゃんを忘れていたので、急遽グミちゃんも追加。

去年の8月のお題が「初音ミク・Lily・宿題・花火」だったので、それを全部入れて書いたような気がします。
タイトルは、「Homework(宿題)」と「Fireworks(花火)」を混ぜたもの…だったっけ←

閲覧数:598

投稿日:2013/08/09 19:08:45

文字数:2,066文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • 雪りんご*イン率低下

    雪りんご*イン率低下

    ご意見・ご感想

    知ってるか? 私、今年は花火を直に見てないんだぜ? ずっと部屋にいて「あ、花火やってるんだなー」ってプチヒッキーな自分を嗤うんだぜ? うふふふふ……

    いいかい黄色い双子。リア充()の邪魔しちゃいけないんだよ?
    あんないいムード(ゆるりーイリュージョン)の邪魔したら穴二つなんだよ?(それどんな呪い
    グミちゃんもなんて辛らつなんだ……そして何でそんなに言ってることがうまいんだ……←

    【感想】花火やりたい(切実)←

    2013/08/25 21:41:13

    • ゆるりー

      ゆるりー

      大丈夫、私も引きこもりになりかけてるから(´・ω・`)
      知ってるか?親戚の家に行く途中で、花火の見物客が電車にも道路にも多くて、すごく通りづらかったんだぜ?
      花火なんてほとんど気にしてなかった←

      イリュージョンw
      多分、我が家のリア充()の邪魔をすると、もれなくチョークが飛んできますw
      なんか、言ってることに関しては、けっこう適当に書いてみた←

      切実w
      もう夏が終わる…

      2013/08/26 00:42:38

  • Turndog~ターンドッグ~

    Turndog~ターンドッグ~

    ご意見・ご感想

    ついでにペンの持ち過ぎでペンダコが潰れたり親指の爪が皮膚を貫通したりすることもよくあったww(それはお前の持ち方の問題だ

    因みに線香花火を十数本まとめて点火すると時々最後まで落ちずに鎮火するというイリュージョンが起きます←

    2013/08/11 20:40:57

    • ゆるりー

      ゆるりー

      すごい状況ですな!w

      そ、そんなイリュージョンが起きるとは←
      私が線香花火をすると、十数秒で落ちます…悲しいですね!((

      2013/08/11 20:51:52

  • しるる

    しるる

    その他

    出だしのペンの持ちすぎで手が痛くなるの……確かに見覚えあるww
    そして、グミちゃん……正直言って、本当に急遽された感が出ちゃってるwww←
    でも、かわいいから&うまいこと言ったからおkなのさw

    【ゆるりーは、花火セット(5)を手に入れた】
    すすき花火、ロケット花火、線香花火、打ち上げ花火とお得なパック

    あと、茶猫さんを紹介してくれたことによる追加アイテムを、リビング版にて差し上げちゃいますw

    2013/08/09 21:30:38

    • ゆるりー

      ゆるりー

      誰もが経験するであろう、ペンの持ちすぎによる手痛い現象(←)w
      すいませんw
      グミちゃんはいつでもかわいいですよねw

      夏を思いっきり楽しめるアイテムですな。

      おお!
      ありがとうございますw

      2013/08/09 22:26:35

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