「はーい、ありがとうございましたー」

ボイスレコーダーをオフにする。
すると、テーブルの向こうでめぇ姉が戸惑ったような表情を浮かべた。

「…ね、ねぇリン、今の本当にマスターに提出するの?」
「するよー?だってマスターからの直々の依頼だもん」
「…それにしたって、今のインタビューは…」
「いいじゃないめーちゃん、嘘はついてないんだし」
「そういうことじゃないわよっ!///」

何気なく肩を抱こうとしたカイ兄の手をばしっと払い、お酒を飲んだわけでもないのに頬を赤くしためぇ姉が、恥ずかしそうに頬を抑えた。普段は姉御肌のしっかり者なのに、こういうときのめぇ姉はまるであたしより年下かと思うほど純情だ。
なんていうか、ギャップ萌え?カイ兄がいつまで経ってもめぇ姉にラブラブなのも分かる気がする。

「あー、どうしよう、なんか余計なことまでたくさん話した気がする…」
「へへへ、偏にあたしのインタビュー技術の賜物だね」
「いやぁ、本当にリン上手だったよ。俺もついついマイクを向けられるがままに話しちゃった」
「「あんた(カイ兄)は喋りたかっただけでしょ」」
「いやぁアハハ…ってめーちゃんイタイイタイつねっちゃダメ」

頬をつねられているのに、嬉しそうに目尻を下げるカイ兄。
そんなカイ兄を見て、まったくもう、と苦笑するめぇ姉。

これが、あたし達がこの家に来た時から目にしてきた、二人の姿。

一緒に居ることが自然で、めぇ姉の側には当然のようにカイ兄が居て、カイ兄の側ではいつだってめぇ姉が笑ってた。
当たり前すぎて、こんな風にまじまじと馴れ初めを聞いたり二人の気持ちを聞いたことはなかった。
ミク姉が生まれた時には既に恋人同士だったという二人。
あたし達妹弟が知ることの出来ない二人の過去を解き明かしていくようで、新鮮で、ずっとわくわくしていた。


「…めぇ姉カイ兄、このあとちょっと時間ある?」
「え?うん、晩御飯の買出しに行くくらいだけど」
「俺もそれについていくだけだけど」
「実はね、公表するインタビューはさっきの終わりなんだけど、アンケート項目はまだあるんだ」
「え?」
「あ、そうなんだ」
「…もし二人が良ければ、答えてくれないかなー?これはお仕事じゃなくて、妹の純粋な好奇心として」

ちらり、と上目遣いで小首を傾げると、二人が正反対のリアクションで目を見開いた。

「え、いや、ちょっと待って」
「え何それ全然いいよ」
「ちょ、ちょっと、カイト!!」
「いいじゃんいいじゃん、可愛い妹のおねだりは聞いてあげるのが兄と姉の役目でしょ」
「い、いや、そういう問題じゃ…!」
「いいよリン、お兄ちゃん何でも答えてあげるv」
「わーいありがとカイ兄!じゃあまずはねぇ…」
「え、ちょ、リン、まっ…!!」



Q・ふたりがはじめてキスした思い出の場所はどこですか?

「ちょ、いきなり…どんな質問…!!」
「えーとねぇ、めーちゃんの部屋です」
「あんたも普通に答えないの!」
「いたたたた、へへへ痛いよめーちゃん」
「何笑ってんのよっ!!////」
「えーそれいつ頃のことー?」
「ミクが来るちょっと前くらいだねぇ」
「へぇぇぇ、そうなんだ、恋人になってどれくらいで?」
「いやぁ、厳密に言えばキスして恋人になっ…いひゃいひゃいひゃい」


Q・ふたりの仲を、はじめて打ち明けたのは誰ですか?

「……」
「めーちゃん、機嫌直してよー」
「…別に怒ってないっ//」
「リン、二人のこともっと知りたいな?」
「……っ」
「で、打ち明けたのは?」
「…マスター」
「そうそう、忘れもしないよ。俺殴られたんだもん」
「えっ!?マスターに?」
「…殴られてないじゃない、嘘つき」
「正確に言えば、殴られかけた、かな」
「…あんたが生意気な口聞くからよ」
「やだやだ、男の嫉妬は醜いよねぇまったく」
「……」
「……」
「え、なに、なんで二人して俺のこと見つめるの」


Q・目の前に、しあわせそうなあの人の寝顔。どんなイタズラをしますか?

「ちゅーします」
「うわカイ兄即答」
「え、だってちゅーでしょJK」
「あんたのJKの入り口はおかしいのよっ!//」
「めぇ姉はー?」
「…額に『肉』」
「うわ古典的」
「仕方ないじゃない思いつかないんだもん!」
「…で、カイ兄はなんでそんな満更でもない顔してんの?」


Q・今までのデートで、一番似合っていてドキっとした服装はなんでしたか?

「ちなみに衣装でも可です」
「あ、そうなの?じゃあDIVA2の時のスカーレット」
「意外、てっきり水着かと思ってたのに」
「もちろん1も2もめーちゃんの水着はセガさんの本気と言わざるを得ないほどの愛らしさだしもうなんていうか食べちゃいたいくらいだったけど、何ていうか、スカーレットは着エロっていうかなんていうかあの体のラインがぴったり出るのとスリットの入り具合がなんていうかもう」
「あー、はいはいどうもありがとう。めぇ姉どうぞ」
「…ネコサイバー」
「意外、クラシックとか結構かっこよかったのに」
「…なんていうか、ドキっとしたわね。放送コード的な意味で」
「あー…」


Q・ふたりの"おそろい"は、なんですか?

「ピアスかな、ほら」
「あー本当だ、…ってこれ、あたし達もお揃いの初期設定のやつじゃなくて?」
「うん、違うやつ。めーちゃんの誕生日の時にあげたんだ」
「えー!いつの間に!カイ兄仕事だったじゃん!」
「…仕事の合間にわざわざ帰ってきたのよ」
「ちょ、わざわざとかひどいなぁ、…嬉しくなかった?」
「……」
「ねぇ、嬉しくなかった?」
「……」
「…めーちゃーん?」
「めぇ姉、顔真っ赤」
「うるさいわねっ!///」


Q・どうしてこんなに、好きなんでしょう?

「…なに騒いでんの、こんな夜中に」
「お、レン、まだ寝てなかったのか」
「ご、ごめんね、うるさかった?」
「あ、レンレン、一緒にやる?『カイメイ☆インタビュー』」
「…なにそれ、結果がすごい予想できるんだけど」
「ちなみに今の質問は『どうしてこんなに、好きなんでしょう?』」
「…うん、パス。おやすみ」
「お、おやすみ、ごめんねレン」
「なんだよ、お兄ちゃんの富士山みたいな回答聞いていかないのか?」
「そうだそうだ、もっと熱くなれよー」
「うるせぇ修造に謝れおまえら」


Q・あの人の体、いちばんセクシーなのはどこですか?

「なんだよレンの奴ノリ悪いなぁ」
「…あれが普通なの、あんたが特殊」
「やだめーちゃん、特別だなんて照れちゃう」
「特別じゃなくて特殊って言ったのよ!」
「はいはい、次の質問ですよー」
「もちろん全身好きですが、イチオシはくびれですキリッ」
「ばっ…///ちょ、リンも何メモってるの!!」
「…くびれ…っと。はいめぇ姉どうぞー」
「…っ…ゆ、指先…です…」
「ヒソヒソ(…指先とか逆にエロいんですけど)」
「ヒソヒソ(ははは、お兄ちゃん照れちゃうな)」
「な、何よ二人とも!」
「「いえなんでもー」」


Q・この人にはかなわないな、と思うことはなんですか?

「基本的にめーちゃんには全部かなわないです、だがカイメイはそこがいいキリッ」
「…とかなんとか言ってる、ばかなところです」
「はは、めーちゃんたら照れ屋さんなんだから」
「ああ、こういうところかぁ」
「…(コクリ)」
「え?なにが?」
「なんでもないでーす。はい、じゃあ次でラストねー」


Q・一年後の今日、どんなふたりでいたいですか?

「……」
「……」
「…どっちからでもいいよー?」
「…めーちゃん、どうぞ?」
「…私は、このままがいい」
「…このまま?」
「このまま、ミクとリンとレンとルカが居て、お隣さんたちが居て、皆が側で笑ってくれて。そんな中で、カイトと居られるのが一番幸せだから」
「……」
「…カイ兄は?」
「俺?俺は、めーちゃんが幸せなのが幸せだから」
「……」
「だから、これからもずっと妹で居てくれな、リン」





優しい茶色の瞳と、あたしの頭を撫でる大きな掌。

――何それ、急にそんな、反則。
今あたし、インタビュアーだっつーの。

うっかりこぼれそうになってしまった涙を隠すために、あたしは抱えていたアンケート用紙に顔を埋めた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

【カイメイ】続・恋するふたりに質問です

あけましておめでとうございます!!
2011も元気にカイメイしていきます!!

◆以前の作品http://piapro.jp/content/lbpf6avo77xrvfezの続編です
◆某所でアンケートしたところ、トップはリンだったのでご登場願いました
◆ちょいちょい過去作品&これから書く作品の布石
◆質問出典はパルコ出版『ラヴァーズ・ダイアリー』
http://www.parco-publishing.jp/bestsellers/index.html

閲覧数:1,823

投稿日:2011/01/01 17:02:17

文字数:3,418文字

カテゴリ:小説

  • コメント3

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  • *ちるらむ*

    *ちるらむ*

    ご意見・ご感想

    「うるせぇ修造に謝れおまえら」にめっちゃ笑ったww
    カイメイすごいいいと思うw
    前回のも良かったと思うw
    ちなみに私はDIVA2のネコサイバーとふわふわ?コートが好きです!

    2011/01/31 20:45:39

    • キョン子

      キョン子

      >歌好音☆寧々様
      メッセージありがとうございます!!
      うちのレン君は不憫なツッコミなので拾っていただけて光栄ですw
      カイメイは正義ですよね!
      ふわふわコートも好きですー、めーちゃんの衣装はセガさんの本気がまぶしい…
      また読んでやってください!

      2011/02/10 14:08:53

  • くらびー

    くらびー

    ご意見・ご感想

    インタビューの前作から見てきましたー!!!
    …ちょ、ふざけんな表情筋返s((殴

    口調が乱れましたすいません。カイメイニヤニヤニヤニヤと思ってたら最後は感動って…ぐへ(吐血)

    とにかく最高でした!朝から元気を有り難うございます(@`▽´@)/

    2011/01/13 07:11:54

    • キョン子

      キョン子

      >鎖骨☆様
      口調が乱れるほどの萌えを提供できたと自惚れてもいいでしょうかwktk
      コメントありがとうございます!!カイメイがイチャついていることで元気に出来るならばこれからもどんどこイチャつかせますぞ!!←
      2011もカイメイが溢れて止まりません!!

      2011/01/18 01:30:18

  • マーブリング

    マーブリング

    ご意見・ご感想

    明けましておめでとうございます! ステキな新作がきてましたー。 インタビュー続編だなんて(*´Д`*) 今年もキョン子さんのカイメイに、にやにやさせていただきますね☆

    2011/01/02 21:08:26

    • キョン子

      キョン子

      >マーブリング様
      わー!!あけましておめでとうございます!!
      早速お越しいただいて光栄です!!今年もカイメイが力いっぱいイチャイチャする小説を書きたいと思いますので、また読んでやってくださいませ!!
      今年もよろしくお願いいたします☆

      2011/01/03 18:33:33

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