昔、ある国に天使と呼ばれる少女がいました。
天使は、美しい金髪と海よりも深い蒼い瞳を持っていました。
天使は歌が上手でした。
それこそまさに『天使の歌声』。透き通った声は国の全ての人に愛されました。
天使は国の教会で奉られ、神の使いとして、皆にあがめられました。
天使はある日、一人の少年に出会いました。
金髪と蒼い瞳の少年。
月がとても綺麗な晩。
天使は恋に堕ちました。
その少年は街で悪魔と呼ばれていました。
自分を生むために皆から愛されていた母親が死んでしまったからです。
街の皆は少年を蔑み、憎みました。
少年の父親ははるか昔に死んでしまっていました。
少年は、いつも一人でいました。誰にも愛を捧げられることもなく。
その悪魔に天使が恋に堕ちました。
悪魔も天使に心を奪われていました。
でも、『悪魔』と『天使』の恋。
許されることがあるはずもありません。
『天使』は少女として少年に恋に堕ち、『悪魔』も少年として少女に恋に堕ちました。
そんなことが国の人々にばれてしまったら大変です。
二人は夜中に、誰にも見られないようにひっそりと会っていました。
二人は会えることを幸せに思っていました。
二人にとって、会えることだけが幸せでした。
ある日、二人が一緒にいるところを神父は見ました。
神父は怒りました。『悪魔がきっと、天使を惑わせたに違いない』と。
天使は教会から出ることを禁じられ、悪魔は牢獄につながれました。
天使を惑わせた悪魔の罪は、国を広がりました。
天使は毎晩泣きました。たった一つの幸せが奪われてしまったこと、彼と会えなくなってしまったこと。
天使は目を真っ赤に腫らしながら泣きました。
幾月たって――
その年のお祭りがやってきました。
国を興して行われる聖なる祭り。その祭りの中で国の人々が一番楽しみにしているのが、天使の歌です。
お祭りの最後の夜に天使が教会の前の広場で歌います。国民がその歌声を聴くのです。
お祭りの最後の夜。
天使は広場の真ん中に立ちました。
静かな夜。あの日のように、綺麗な月。
少女は、歌い始めました。
ゆるやかに、儚げに。
叶うことのない想いを届けるように。
雪が降り始めました。
少女は歌いました。
永遠の想いを胸に刻み付けるように。
少女の歌声は少年にも聞こえていました。
少年は泣きました。
届くことのない想いが消えてしまうことが悲しくて。
愛する彼女の傍にいることが出来ないのが悔しくて。
少女の歌声がとても懐かしく感じて。
少年は 泣きました。
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ご意見・ご感想
kanpyo
その他
コラボ内での初投稿ですね。お疲れ様でした。
私ごときですが、感想をツラツラと書かせて頂きます。
一切、会話を使わず、物語を書ききった所が凄いなと思いました。
淡々とした短文ですが、良い意味で味があり、童話のように
映像を思い浮かばせる作風かと。
当然、私は鏡音さん達をイメージしましたが
タイトルの悪魔と天使にぴったりで可愛らしいです。
(その可愛らしいさが悲劇を更に引き立ててる)
もし良ければ、また作品を投稿してください。
とても面白かったです。
2012/02/28 19:54:19