アイ・ストーリー
第二話番外編「大切な人」 続き

 翌朝、私はKAITO達の様子を見に自分の家に戻ると
MEIKOさんとミクちゃんしか居なかった。
MEIKOさんはKAITOとレン君とルカさんは三人で出掛けたって
言ってたけど、ちょっと意外な三人組ね。何処行ったんだろう……?

「ね、美冬ちゃん。リンの様子はどう?」
「うーん……。まぁ、昨日より機嫌は直ったと思うけど……。」
「……そっか。」
「美冬ちゃん、ミク!私達も何処かに出掛けない?」
『は?』
 MEIKOさんのまさかの提案に私とミクちゃんはハモった。
「MEIKO姉さん……。リンの事はどうするの?」
「んー、そりゃあ私だってリンの事は心配よ。
でも、今回の件はリン自身が乗り越えなきゃいけない所も
あるんじゃないかしら?少しでも冷静になったのなら
もう一度一人で考えさせる時間が必要だと思うの。」
「な、なるほど……。」
 凄い。さすがMEIKOさんだ。好き勝手やってるように見えて
いざと言う時は的を射た発言をするなぁ……。

「……あら、そういえば千夏ちゃんは?」
「あ、千夏は外で待ってます。
実はさっき奏兄さんの所に行こうかって話してて……。
リンのメンテナンスの相談もしなちゃいけないし。」
「じゃ、私達も研究所に行きましょ!
暇つぶしに奏の研究の手伝いでもしてやろうかしら?」
「ひ、暇つぶしって……姉さん……。」
「あはは……じゃ、行きますか。」
「あ、ちょっと待って。荷物置きに一旦家に帰るわ。
先に行っててくれる?」
「あ、はい。分かりました。」
「美冬ちゃん、私も一旦帰るね。」
 私は二人の荷物に視線を向けた。
 ミクちゃんのリュックからはネギが二、三本はみ出してる。
MEIKOさんの荷物は……空の一升瓶が八本??


 そして私と千夏は研究所に着いた。
そこにはなんと春樹先輩と秋彦先輩も居た。
「あれ、先輩達も来てたんですね。」
「お、美冬と千夏じゃん。紅葉がまた研究所の中を
見学したいって言うからさ。俺達は付き添い。」
「あぁ……紅葉ちゃん、本気みたいですね。
マスター仲間が増えると、また楽しくなりそう!」
「…………。」
「秋彦先輩?どうしたんですか?
紅葉ちゃんがマスターになるのがそんなに心配なんですか?」
「……いや、心配というか。ただ、紅葉がどんな奴を
選ぶのか気になるだけ。紅葉のVOCALOIDになるって事は
俺とミクとも一緒に暮らすって事だし。」

『へぇ、ミク嬢と紅葉嬢の美しい二人と生活を共に
出来るのなら、俺が立候補しようかな?』

「えっ?あ、テッドさん!?」
「やぁ、美冬嬢に千夏嬢。君達も相変わらず美しいね。」
 いつのまにか私と千夏の後ろに居た男の人。
 彼はテッドさん。UTAUと呼ばれるVOCALOIDと同じように
歌う為に製作されたアンドロイド。ちなみにテッドさんは
テトちゃんというUTAUから男声用に派生されたコピー。
でも性格は全然違うんだよね。不思議。
「うわ、キザテッドだ。おまえよくそんなセリフが
スラスラ言えるよな~。」
「本当の事を言ってるだけさ。君には彼女達の
美しさが分からないのかい?可哀相に。」
「……はぁ。」
 春樹先輩は本当に興味が無さそうに空返事をした。
それはそれでちょっとムカッて思った。
「俺には全ての女性を歌で幸せにするという壮大な志があるからね。
秋彦君、それで?紅葉嬢を俺のマスターにしてもらえるのかい?」
「……決めるのは紅葉ですから。俺からは何とも言えません。」
 絶対嫌だ。という秋彦先輩の心の声が聞こえた気がした。

「テッちゃ~~~ん!!」
 ん?この声は……。
「げっ!?ル、ルコっ!!」
「んもぅ、探したんだよ~。テッちゃん、すぐどっかに
行っちゃうんだからぁ~。」
 この子の名前はルコちゃん。男声でも女声でも幅広く歌えるUTAU。
テッドさんの事が大好きな子なんだけど、逆にテッドさんは
ルコちゃんが苦手の様子。
「あ、ルコちゃんだ~。元気?」
「わぁ、なっちゃんにみっちゃん!ボクはいつも元気だよー♪」
 相変わらず明るくて可愛いなぁ、ルコちゃん。
「ね、ね!テッちゃん!これから一緒に歌の練習しようよ~。」
「なっ……こ、断る!俺は忙しい……。」
「あれぇ?テッド、おまえさっき、全ての女性を歌で幸せに
するって言ってなかったけ~?」
 春樹先輩が悪い顔つきになった。
「そーなのー?じゃあ、ボクも一割女なんだから幸せにしてよ~。」
「一割女って、ほぼ男だろ!!あぁ、くっつくなぁぁぁ~~~!!」
 テッドさんはもがいているけど、ルコちゃんの方が背が高くて
びくともしない。
 そこへ奏兄さんともう一人の男性がやって来た。
「テッド、そんな声を出して……。何してるの?」
「あー!律也~!!助けて~~~!!」
 この人は設楽律也(したら りつや)さん。
奏兄さんとは同期でUTAUの研究を主に行っている。
「おー、相変わらずおまえら仲良いな~。」
「本気で言ってるのか……奏……。」
 テッドさんはちょっと涙目になってる。
「あはは……ルコ、そんなに強く抱き締めてると
テッドが痛いってさ。離してあげなさい。」
「むぅ……はぁい。」
 さすが律也さん。UTAUの扱いに手慣れているなぁ。
「ま、こんな所で立ち話しててもあれだ。俺のラボに行こうぜ。
ちょうど暇してた所だし。」
「そんな事言って~。奏兄さん、ルカさんが居ないと
すぐ仕事サボるんだからー。」
「べ、別にいーだろ!たまには……。」

 みんながゾロゾロと奏兄さんに続いて行く中、私はふと
律也さんに視線を向けた。あれ?春樹先輩と何か話してる?
「…………。」
 何を話しているのかは聞こえない、けど……。
二人共悲しそうな表情……?

 その後、MEIKOさんとミクちゃんも合流した研究所は
とても賑やかだった。

……続く。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

アイ・ストーリー 第二話番外編の続き

第二話番外編の続き。
テッドとルコが登場!私の趣味です(汗)。
テッドを初めて見たのは某鬼畜眼鏡の曲を歌っている動画だったので
テッドのイメージは眼鏡キャラ(笑)。
ルコはボクっ娘(?)でテッドにデレデレな設定。
ルコは一割だけど、立派な可愛い女の子だと思う、うん。

クオリティと作業ペース悪し。
私のダークな部分が暴走して新たな話が始まった。
でも『私こういう路線もやっちゃいますよ、おk?』って事で
説明するのにはちょうど良かったかも。

追記:第一話本編・番外編→完成。
   第二話本編・番外編→完成。
   Lied→一応、完成。

閲覧数:257

投稿日:2009/04/12 05:10:19

文字数:2,446文字

カテゴリ:小説

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